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「思考回路を学んでほしい」 エコノミストのエミン・ユルマズさんが有料記事を書く理由

『世界インフレ時代の経済指標』など多数の著書を持ち、テレビやYouTubeなど数々のメディアで活躍するエコノミストのエミン・ユルマズさん。

Emin Yurumazu Magazine」は、エミンさんが株式、為替、債券をはじめとした金融市場の相場展望や経済情勢などの分析、手法、考え方などを発信している人気の定期購読マガジンです。

Emin Yurumazu Magazine
Emin Yurumazu Magazine」は月額980円で月4本以上の記事が読める定期購読マガジン。ここでしか読めない、エミンさんが注目する話題を深掘りした記事が届けられます。

noteで個人メディアを運営する理由やその意義を、エミンさんにお聞きしました。

読者からの要望で「よりタイムリーに」情報発信

――エミンさんはすでに本の出版なども多数されていて、実績があるエコノミストですよね。なぜnoteでの執筆をはじめたのでしょうか。

エミン・ユルマズさん(以下、エミン):私は多くの本を出版していますが、執筆から約半年ほど経ってから読者の手に届くため、執筆時と比べて情報が少し古くなっていることがあります。

また、今年はすでに2冊の本を出版していますが、実は昨年3月に『エブリシング・バブルの崩壊』という本を出してから、1年近く本を出していなかったんです。

すると、Twitter(現X)のフォロワーさんから「もっとタイムリーにエミンさんの意見を聞きたい」という要望が多くありました。そこで適切なプラットフォームがないかと探し、noteで書くことにしたのです。

そういう意味では、私の執筆活動の延長線上にnoteがあります。本と異なり短い内容ですが、よりタイムリーに私が考える金融市場や経済環境に対する見方・分析などを伝えています。

――ブログサービスは数多くありますが、その中でnoteを選ばれた理由は何でしょうか。

エミン:noteはユーザー数も多いので、私のことをTwitterやYouTubeで知っている方はもちろんのこと、まだ知らない方にも記事を届けられるのでは、と期待しました。

noteはTwitterなどと比べて、より長くまとまった意見が綺麗なフォーマットで読めます。そのため、他のSNSより投資に関するノウハウや考え方を書くことに相性もよく、痒いところに手が届くありがたい存在ですね。

画面操作も簡単で使いやすいので執筆しやすく、読者にとっても読みやすいサイト構成になっています。私たちクリエイターにとっても、読者にとっても使い勝手がいいのも魅力的ですね。

有料定期購読にすることで執筆が習慣化

――はじめは有料の単発記事を執筆されていましたが、定期購読マガジンを2023年1月からはじめられましたね。

エミン:フォロワーの方から、単発記事ではなくサブスクリプションにしてほしいという要望があり、定期購読マガジンを開始しました。

それまで1本300円で販売していた単発記事を、月980円で複数の記事が読める定期購読マガジンにしたことは読者にとってもメリットがあると思います。

同時に、自分自身にとっても大きなメリットがありました。それは執筆を習慣化することです。

私の定期購読マガジンは「1ヶ月4本以上の最新記事」という約束をしています。約束している以上は、月に4本以上の記事を書かなければいけない、と自分にプレッシャーをかけることになります。

やはり人間、自分を追い詰めないとサボって書かない側面がありますよね(苦笑)。そういった意味でも、読者との約束という「締切り」があるので、単発の有料記事より執筆のリズムが良くなって、居心地良く続けられています。

――普段はYouTubeやTwitterなどでも積極的に活動されていますが、使い分けを意識されていますか。

エミン:はい、執筆している内容もそれぞれで異なりますね。たとえば、書籍は長期的なテーマやファンダメンタルズ(基礎的な要因)の内容を中心に執筆していますし、Twitterは金融市場が動いた際などに、瞬間的にコメントするといった使い方をしています。

ただ、Twitterは特性上、投稿が意図しない解釈をされてしまうなど、どうしてもエッセンスが伝わらないときがあるんです。

noteであれば、その背景や考えに至るまでの経緯などをじっくり書けるので、誤解なく伝えることができます。加えて、Twitterはかなり昔にコメントした内容が探しにくいのがネックですが、noteであれば過去の記事を検索しやすく、いま書いている記事に過去記事を埋め込めることもポイントです。

――定期購読マガジンはTwitterやYouTubeのように、無料ですべてを読むことはできません。有料購読してもらうために工夫している点などありますか。

エミン:工夫ではないですが、書いている記事は、すべてかなりの時間と手間をかけています。記事の焼き直しは嫌いなので、特にリサーチやインプットには時間をかけ、その知見を得るに至ったものをアウトプットしているんですよ。最終的に、「お金を払ってもいいよね」とみなさんに思ってもらえるような記事を目指しています。

たとえば、チャートを多く使ってわかりやすい記事にしたり、読者のニーズに合う題材を選んだり。それをみなさんが評価していただいた結果、多くの方に購読していただけているのかなと思います。

逆にいえば、コンテンツクリエイターは、つねに努力しなければいけないんですよね。定期購読マガジンをはじめるのは比較的簡単ですが、やっぱり「読みたい」「読み続けたい」と思わせるようなものをつくり続けなければいけない。そういったものを提供するために日々努力しています。

――具体的に、どのくらいの時間をかけているんですか?

エミン:よりいいアウトプットをするためには、インプットの時間がかなり必要です。たとえば、2時間で記事を書くとしても、その裏には少なくとも5倍から10倍近い時間を費やして、リサーチやインプットをし、頭の中でいろいろ模索したり、考えをまとめたりする時間があるわけです。

自分なりに「この新しい視点を伝えたい」という記事をつくり出すためには、かなりの時間が必要です。自分の中でも絶えず、「この内容で大丈夫なのかな」とブラッシュアップしながらやっているので、私の時間の約8割はインプットに費やしていますね。

記事を通して「思考回路」を学んでほしい

――エミンさんの記事を読むことで、読者にはどのようになってほしいと考えていますか。

エミン:私が書いている記事の中に「投資の助言」はありません。あくまで、私の金融市場や経済情勢に対する見方や考え方、その考えにどう至ったのか、ということを伝えています。

投資をする際にも、単純に「エミンさんが〇〇がいいと言っていたから投資しよう」ではなく、私が市場に対する見方を伝えるなかで、その思考回路やノウハウを自分のものにしてほしいと思っています。私と同じ考え方ができれば、いつかは私に頼らずとも、自分の判断でよりいい相場判断や分析ができるはずです。

「Emin Yurumazu Magazine」で勉強して、最終的には卒業して同じ考え方を身につけていただくことが理想ですね。

――定期購読マガジンの読者数も大きく伸びていますが、今後の目標や将来的に考えていることはありますか。

エミン:購読者を増やしたいというよりは、より私のコンテンツで満足していただけるように質を高めていきたいです。たとえば、今書いている記事以外で「こんな記事を書いてほしい」というものがあれば、チャレンジしてみたいと思います。

また、将来的には、その月だけ執筆してくれる「ゲストライター」などを招待して、よりコンテンツを豊富にしていくこともできそうですよね。複数人で執筆していくなど、いろいろと検討して、楽しい内容やより中身のある内容にしていきたいと思っています。

最終的には、みなさんが相場や経済を考えるときには「“エミンマガジン”を参考にしよう」といわれるような媒体にしたいです。

エミン・ユルマズさん
note:https://note.com/eminyurumazu
Twitter:https://twitter.com/yurumazu


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