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華僑からみた中国事情を伝えるこうみくさん #noteクリエイターファイル

noteで活躍するクリエイターを紹介する#noteクリエイターファイル。今回は、華僑から見た中国事情をわかりやすく発信するこうみくさんを紹介します。

2018年8月、つい3ヶ月程前に、中国の文化、価値観を発信するクリエイターとして彗星のごとく現れたこうみくさん。

noteのマガジン「華僑心理学〜隣の中国人は何を考えているのか〜」は、多くのインフルエンサーたちを巻き込むかたちで大きな反響を呼び、注目を集めています。

日本人の中国人に対する“心のモヤモヤ”を溶かして、距離を近づけるために

中国に生まれ、中国国籍を持つこうみくさんは、両親の仕事の都合で6歳の時に家族で来日。以来29歳まで、中国へ戻っていた2年間をのぞいて、ずっと日本で暮らしてきました。早稲田大学卒業後は、日系の総合商社に勤め、アフリカをはじめ、中国とは無関係の海外ビジネスに従事してきたそう。

「総合商社で働いた時に、世界中どこへ行っても、ビジネスのどの領域でも、中国の存在感は無視できないと気付きました。私自身、中国にバックグラウンドがありながらも、中国で暮らしてはこなかったので、一度中国へ戻って、現地でビジネスの最前線を学ぼうと思いました。」

そう決意したこうみくさんは、会社を休職。現在は、上海交通大学のMBAに在籍しています。そして、中国での暮らしがスタートするのとほぼ同時にnoteでの発信を始めました。

「私自身は長く日本で暮らしてきましたが、両親や親戚など、中国人に囲まれて育ってきたので、中国人の価値観や文化に関しては理解しているつもりです。これまで、日本の友人や会社の先輩から『どうして中国人はこういう行動をとるの?』とよく聞かれましたが、きちんと説明する機会がなくて。せっかく中国にいるんだから、その疑問に答えたいと思い、noteを始めました。」

「華僑心理学」と題して、こうみくさんが発信したnoteは、記事公開後すぐに出版社から書籍化のオファーが複数来るほどの大反響でした。今も、ビジネスやカルチャーの領域で中国進出を視野に入れているインフルエンサーたちを中心に、ネット上でバズを生み続けています。Skypeで行っていた今回の取材中も作家の小野美由紀さんが中国を題材にした小説を執筆するため、こうみくさんを訪ねて中国に来ていました。

(noteを初めてから、世界中に読者さんが出来ましたと話すこうみくさん。ミャンマーにて読者の方々に歓迎会を開いていただいている様子)

こうみくさんはこの反響をどう捉えているのでしょう。

「やっぱり日本人の中国に対する関心は高いんだと思います。ただ、頭では中国が気になっていても、心ではネガティブな先入観や偏見があって、モヤモヤしている人も多いと感じます。日本人とは異なる中国人の価値観がつくられた背景やリアルな中国の現場感を伝えることで、“心のモヤモヤ”を溶かして、中国をフラットに捉えるきっかけになればいいなと思っています。」

そんな明確な思いを持って発信しているこうみくさんが、noteの反響で最も嬉しいのは、サポートに沿えられるメッセージ。こうみくさんのnoteはすべて無料公開ですが、これまで150を超える人たちがサポートしているそう。

「サポートしてくださる方からの『中国が好きになりました』、『中国がより近くなりました』といったメッセージはすっごく嬉しいし、励みになっています。これまでブログやSNSでを通じてPVを稼ぐことはあっても、直接メッセージいただくことはなかったので、ちゃんと届いたのだと喜びを噛み締めています。このサポート機能は、noteならではの魅力ですね。」

目指すはnote界の辻希美! 中国を“わかりやすく”伝える

noteもTwitterもつい3ヶ月前に始めたばかりとは思えないほどの存在感を放ち、中国の情報を現地から伝えてくれる人として、注目を集めるこうみくさん。華僑心理学を連載するにあたって、いちばん参考になったのは、意外にも、辻希美さんの料理本『辻ちゃんのウマかわゴハン』でした。

この本には、半熟玉子の茹で方や「納豆たくわん」など、簡単で基礎的なレシピが掲載されていて、Amazonでの評価は平均★2.4とあまり高くなく、中には「ママゴト本」など辛辣なコメントも寄せられています。それでも、『辻ちゃんのウマかわゴハン2』が発売され、売れている様子。

「出版はとてもシビアな業界なので、いくら有名人であろうと、売れていなかったら、ぜったいに続編は出せません。つまり、どんなにレビューで叩かれようと、この本は絶対に、商業的には成功しているんです。その成功の理由は、ポジショニングです。

今までの料理本市場では、料理研究家といった専門家の方々が出す料理本が一般的でした。しかし、料理研究家による難しくて手が込んだ、たとえばキッシュやコース料理の作り方よりも、一般家庭においては、もっと基礎的な半熟玉子の茹で方のほうが知りたいし、熟練者市場よりも初心者市場の方が圧倒的にサイズも大きい。

しかし、それらの初心者向けの超基礎的な知識を扱ったキャッチーな料理本は、今までなかったんですね。そこで、料理の専門家ではない、新米主婦であった辻ちゃんが、上手くハマったのでしょう。新米主婦の辻ちゃんが、おなじ料理初心者の新米主婦に語る本であるからこそ、キャッチ―で説得力があり、大ヒットにつながったのだと予想しています」

辻希美さんの料理本にすごく感銘を受けたと力説してくれたこうみくさん。

「同様に、中国に関しても、学者やジャーナリストが論じたものはたくさんありますが、目線が高すぎて、一般の人にとっては難しいものが多い。識者からみたら私は、すごく基礎的なことを言っていると、ばかにされるかもしれないけれど、ボリュームゾーンである中国初心者の読者に目線をあわせて、わかりやすく伝えることはできる。そして、中国籍の私だからこその説得力もある。その掛け算に、自分の価値を見出したんです。

だから私もnote界の辻ちゃんとして、ジャック・マーって誰?とか、なんで中国の人たちは声が大きいの?といった、今更聞けない中国の基礎的なこと、識者が語らない中国のもっと柔らかくてかわいいコンテンツを届けて、日本人が遠くに感じている中国との距離を縮めたいです!」

(フォロワーの大学生に、日本で大流行している中国発のゲーム「荒野行動」について教えてもらったそう。自身の経験則やデータだけでなく、リアルな現場の情報収集も欠かさないこうみくさん)

次に目指すのは、中国ビジネスの基礎を伝えるYouTuber !?

こうみくさんの今後の展望は、「さまざまな分野の識者とコラボレーションしながら、色々な視点から役に立つ中国情報を届けていくこと。」

取材の前日、こんなツイートをしていたこうみくさんは、動画コンテンツにも挑戦していきたいと話します。

「次は、ビジネスマン向けの動画をYoutubeで配信したいと思っています。例えば、中国でビジネスをしておく際に抑えておきたいビジネスマナーや教養、歴史、経済といった中国進出をする際に欠かせないビジネス教養的なコンテンツですね。その後に、中国語のチュートリアル動画も考えています。」

なお、Youtubeに関しては、Excelユーチューバーとして名を馳せた、同じ総合商社出身の長内さん(@yousefulhakase)さんとタックを組んで取り掛かるそう。

「総合商社では、若手のうちから海外のお客さんと接したり、駐在したりする機会が多くありました。私自身が商社マンとして海外ビジネスをしてきた経験をもとに、中国ビジネスに関わる全ての方々が欲しいと思うであろう情報を、通勤時間でサッと見られる、3~5分の動画にしてお届けする予定です。完成次第、Twitterで告知していく予定なので、是非フォローください!」

「SNSは初心者なので」と笑うこうみくさんはどこまで行くのか。末恐ろしい……!

■クリエイターファイル
こうみく

中国のトレンド最前線/先端Tech/Web/華僑の価値観などを発信します。 1989年中国生まれ、上海交通大学MBA在籍中、北京在住。依頼はこちら: mikukou@gmail.com ◆パーソナルブログ:https://goo.gl/rjHJkU (アフリカの石原さとみ)
note:@future392
Twitter:@love2010624 

text by 徳 瑠里香 / 写真提供 こうみく




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