カタカナでは英語は話せない

「とにかくカタカナでもいいから話す」という根性論の問題点について。

①カタカナ英語は日本の外では通じない。
英会話学校の先生に通じる英語は、残念ながら教室の外では理解されません。日本で働いている英語圏の人たちも、日本人が話す英語に慣れているのでカタカナでもわかってくれます。これは日本の中だけの特殊な事情です。相手に理解されないことを、どんなに「度胸と根性」で叫んでも、意思の疎通はできません。

②カタカナでは普通の速度で話せない。
カタカナ英語には、英語には不要な母音が大量に含まれています。さらに、日本語の子音の多くは英語と比べて音が強すぎるので、余計な強拍が増えて話す速度が落ちます。そしてカタカナ英語は英語圏の人にはわかりにくいので、非常にゆっくり話さないと理解されません。もともと日本語の話し言葉は英語より遅いのに、それがさらに極端になるわけです。

③日本語の音の組み合わせは50種類(50音)のみ、英語はほぼ無限
英語にしかない音をカタカナで表記するのは不可能です。ほんの一例を挙げましょう。以下の単語はすべて違う母音で始まりますが、カタカナ英語ではすべて「ア」と表記されます。
 almond
 eye
 out
 apple
 up
 attend
 art
 urgent
これらをすべて同じように発音していたら通じるわけがないし、筋肉の動きが間違っているので速度も大幅に落ちます。もちろん相手の言っていることも理解できません。

「大人になったら発音は直らない」などということはありません。これまでに正しい勉強をしてこなかっただけです。勉強を始める時期は「今すぐ」が最善。遅れれば遅れるほど頑固な悪癖が固定して矯正に手間がかかりますから、「そのうち時間ができたら始めよう」などと思っていると余計な苦労を抱え込むことになります。

大人が今から正しい話し方を覚えるのは確かに簡単ではありません。でも、語学力は生涯年収にも人生設計にも職業選択にも居住地にも大きく影響する大事な「実学」ですから、来週の会議や3か月先のTOEICに向かって詰め込み勉強をするのではなく、今から長期的な計画を立てて、根気強く学習を続けることをぜひお勧めします。

今回のワークショップは7月28日午後(東京)のみ空席あり。







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