英語が聞き取れない理由(2)

前回は、どんなに勉強しても聞き取りができない問題について書きました。

子供向きのディズニー映画が理解できない。
英語の歌詞もぜんぜん聞き取れない。
英語の音に霞がかかっているような感じがする。
用は足りるけど、何を言われているのか実はわかっていない。
質疑応答や討論の時間はいつも黙っている。
雑談からも取り残されるので、日本人同士で固まっている。
中国人やメキシコ人がいると、それなりの英語で話せるのでほっとする。

そこで「日本人なんだからこの程度で充分」
「帰国子女でなければそんなに上達しない」という
後ろ向きの考えに行きついてしまう。

でも英語が聞き取れない本当の理由は、勉強の方法が間違っていることです。今までと同じ勉強をやめない限り、いつまで経っても頭の中に霞がかかったままの状態が続きます。

以下は読者の方から相談です。

「現在、仕事で週二回カナダ、アメリカとの会議を行っていますが、ネイティブ同士が話しだすと途端についていけなくなります。単語は聞けても全体の意味が汲み取れない場合が殆どです。自分が内容を知ってる話は良いのですが、それ以外となるとひたすら分かりません」

外国人と定期的に会議を行っている英語圏の人たちは、「外国人向きにわかりやすく話す方法」を心得ています。でも「ネイティブ同士が話しだす」と普通の話し方に戻るので、日本人は途端に理解できなくなります。その理由は3つあります。

①カタカナで聞き取ろうとしている
②辞書の音声と同じ音を全部聞き取ろうとしている
③自分で話すことばかり考えて、聞き取りの訓練が足りない

これらの問題を解決する方法を以下に説明します。

①カタカナで聞き取ろうとしている
カタカナ頭から卒業するためには、まず英語の正しい発音を基礎から勉強することが必要です。英語の話し言葉は母音と子音の複雑な組み合わせでできているので、まずはその構成要素をすべて頭に入れることが不可欠。もともと頭に入っていない情報は脳が処理できないので、英語の音を聞いても言語として認識できないのです。

カタカナ英語はすべて、子音を基準に構成されています。なので日本人学習者は、英語でも子音から先に聞き取ろうとします。でも英語の発音は母音が中心で、実は子音の中には全く聞こえないものもたくさんあります。聞き取りの上達には、英語の複雑な母音を正確に聞き取る能力が特に大切です。

②辞書の音声と同じ音を全部聞き取ろうとしている
発音教室に通った人でも普通の会話が聞き取れない理由は、辞書の音声と同じ音を日常会話でも全部聞き取ろうとすることです。テレビやラジオと違って日常会話の発音は省略が多く、省略のための規則はたくさんあります。「ネイティブ」の人はそういう規則を意識しないでどんどん省略して話します。それが普通の英語ですから、日本人が聞くとわからなくなるわけです。

英語の話し言葉は、はっきり発音する部分と、省略して曖昧に発音する部分に分かれています。省略される部分は辞書の音声通りにはなりません。発音を省略するための複雑な規則を頭に入れることも大事です。

③自分で話すことばかり考えて、聞き取りの訓練が足りない
聞き取りの訓練が足りない大きな理由は、どんなに聞いても全然わからないから投げてしまう人が多いことです。先が見えないから嫌になってしまうわけです。これを解決するには、①で説明した発音の基礎をしっかり頭に入れ、次に②で説明した発音の省略について勉強することが必要です。覚えなければならないことはたくさんありますが、逆に言うと、ごく当たり前のことを勉強する機会がないから行き詰ってしまうわけです。

使える英語が身につかない原因は勉強の方法が間違っていること、基礎的な知識が足りないことです。そんな状態で「度胸」「慣れ」「場数」などと言われても人前で恥をかく機会が増えるだけですから、勉強の方法を変えることはとても大切です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?