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松見坂下のボラーチョ

 秋、始まりました。芸術の秋、スポーツの秋、いろいろな秋がありますが、僕はまったく、食欲の秋であります。本日は日本民藝館にてアイヌの手仕事に関心したあと、向かうは淡島通り沿い、松見坂のボラーチョ。イタリアンをメインに古き良き洋食を、今に継承する貴重なお店。グリーンとピンクの電飾がかわいい看板が目印です。中へ入ると、小さなお店だが、清潔でクラシックなたたずまい、ちょっと80'sな雰囲気でトキめいてしまいます。木製でビリヤード台のような緑のテーブル、革製の店名のステッチの入ったメニューブック、大人な室内灯がなんともいい風情。

 さてさて本日はどんな料理を頂くべきか。まずは瓶ビールで軽く喉を潤した後、本日は魚介系を中心に勝負していこうではないか。シーフードサラダ、看板メニューのマッシュルームガーリックは外せないとして、秋ですし、カキグラタン、そしてイカスミスパゲティといきましょうかな。

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 まずはおいでなすったナ、マッシュルームガーリック。見た目も秋ぽくていいでないですか。バゲットが2個ついてくる、マッシュルームのアヒージョ的な印象。まずはマッシュを1つパクり。おぉ、ガーリック効いてる!ガーリック、オリーブオイル、塩、バター、パセリのシンプルな味付けだが、逆にマッシュルームの森味を引き立てている。ビールが進んじゃうなぁ。バゲットもついているので、こちらも徐に手でちぎりつつオイルをつけてパクり、おぉ〜、より強きガーリックを感じつつ、しっかりした濃厚な味わいが怒涛の如く押し寄せる!これはウマい、バゲットがススム君な一品、シンプルイズベストな罪な奴だ。ついつい初回バゲットを食べ尽くし、追加バゲットのオーダーとあいなった次第。追加で赤ワインも頼んでしまおう。そしてシーフードサラダ、グリーンサラダの上に様々な魚介と明太子と刻み海苔!おもしろいなぁ、でも味わいも優しくて、このお店の店柄がうかがえる。貝類が結構盛りが良くて、なんだかお刺身食べている気分、よしよし、今日はシーフード攻めという自分の作戦大当たり!盛り上がってきた!

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 そしてまいりました、カキグラタン!やっぱりカキだよなぁ、グラタンだよなぁ!しかし良い色合い、白が綺麗です。お味は、熱っ!ついつい火傷しちゃうのもグラタンだよねぇ、と納得の僕ちゃん。白きホワイトソースがなんとも優しい味、なんか初めて食べるホワイトソースだ、しかもチーズは粉チーズのみであっさり仕立て。さてカキちゃんはどこぞ、と、あった!パク!あーッ牡蠣だ牡蠣だ、いいお味!うれしい、楽しい、大好き!しかしカキってなんでこんなうまいんだろう、フライにしてもよし、生でもよしだが、グラタンもいいぞ!これももちろんバゲットあわせでしょう、ということでバゲットの上にカキを乗せパックンチョ、あぁ僕シアワセ!マカロニと、僕の大好き缶詰的マッシュルームも入っていて、いいグラタンだ、うまし!こちらもマッシュルームガーリックに負けず劣らず、バゲット合いまくりな逸品につき、ボラーチョ秋のパン祭り絶賛開催中であります!

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 パン祭りがひととおり落ち着きをみせたグリーンテーブル、最終局面はこいつに託そう、イカスミスパゲティ!パスタじゃなくてスパゲティなんだぜ。「チーズかけますか?」とお姉さんの問いは愚問であろう、「もチーズ!」などとは答えてはいないが、黒きスパには白きチーズであろうことよ。モノトーンのコントラスト、ちと柔めな麺、優しい海味の善良なイカスミスパゲッティだ!!懐かしくも、飽きのこない優しい味、まるでシチリアの、ママンの手料理のようでフォーク止まらず、ついつい本気食い。唇も口中も真っ黒だ!ワインも回り、思わずボラーチョ!と叫びたくなる大団円であった。

 まだ夜も7時半だというのに、お店を出たら真っ暗だった。帰宅すべく渋谷方面に歩き出し、ふと見返ると、ボラーチョのあの電飾看板がさよならしてくれた。いい秋になりそうだ。

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