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音の鳴る箱での出来事

学祭を終えて余韻に浸かる暇もなく次のライブがやってくる。
ただその合間、ここ2か月ほどサボっていたインプットをできるライブ3本が立て続けにあった。いろいろ思うことがあったので雑多にまとめておきたい。


ライブハウスにて。

1本目は先輩のバンド。
といっても付き合いで見に行っているのではなく、素直に彼らの鳴らす音を浴びたくて見に行っている。ここ1年半で4回目になる。自分の周りでもこんな回数見に行っている人もそう多くない。
彼らの音楽はブリットポップをベースに、ドンドン色鮮やかな側面が出てきて、彼らの音を獲得してきているように感じる。ストレート、且つ丁寧にかき鳴らされる音にいつも心を打たれる。俺も何か物を作る手を止めてはいけないなと思わされる。バンドやらねーとなぁ、曲作らないとなぁ、って思わされる。
今回も最高な演奏だったけど、音がでかすぎてさすがに聴き疲れしてしまった。楽器の音を前面に押し出していった結果、ボーカルの素直なレンジが奪れてしまっていたように聞こえた。今までそんなこと感じたことなくて、自分のことを大きな音も好んでいるタイプと思い込んでいたので少しびっくりした。

2本目はKroiのツアーファイナル。
Zeppで踊りまくれると思ってワクワクしながらホールに入ると、ここ数年で一番込み合っていた。1500人、Soldだったようだ。今回は音を優先して聞きたかったので、PA籍のやや前、一番バランスよく音が聞こえるような場所を選んだ。前は埋まっていたし。
演奏が始まって、おどろいた。音が硬い。バランスもとれていない。自分のつたない経験で語るのはおこがましいが、キーボードの音は使いやすい。音量調整だけでバランスを調整できる。それに対して竿、ボーカル、そして特にドラムはEQやエフェクトの処理も行わなければ全体のバランスを崩してしまう。今回のKroiの出音は、竿物が後ろに引っ込んでいて、やたらとキーボードが前に出ていたように感じた。ベースなんかはアタックこそ拾っていても基音が弱くファンクバンドとしては考えられないほど存在感が薄かった。そしてボーカルの豊かなレンジ感もなく、レオ君のカッコいい声が硬く聴いていて疲れてしまった。
2本続けて自分の耳を疑いたくなってしまった。大きい音が苦手になったのか。
その一方で彼らの進化を存分に目の当たりにすることができた。めちゃくちゃいい演奏だった。癖になるルーズさはいつも通りで、その一方でずっとやっている曲はどんどんタイトになってきていた。Pixieとか、中々に禍々しい雰囲気を纏っていて素晴らしかった。そしてエンタテインメントの側面もより強くなっていた。個人的には24K Magicが聴けたのは大きかった。

3本目はグソクムズとゆうらん船の対バン。
Kroiの翌日で、中々気持ちの振り方がわからず、心がそわそわしたまま見に行った。自分はグソクムズを、誘ってくれた後輩はゆうらん船を楽しみにしていた。その後輩はゆうらん船が大好きで、「先輩は絶対気に入るのでライブ行きましょう」と誘ってくれた。
グソクムズからはじまった。なんと、たなかさんの使うギター、俺の使うGrecoのSUPER SOUNDSと全く同じだった。センのボディ、ラージヘッド等しっかり一緒だった。そして演奏。バランスが取れていてこの上なく心地よい音がスッと体に染み込んできて大変ご機嫌になった。終始穏やかに進むセットリストに心地よく時間が過ぎてあっという間に終わってしまった。その一方で終盤に演奏していたグッドナイトでは締まったリズムに体が揺れた。

少し休憩をはさんでゆうらん船の出番。本村君がライダースで登場して、いで立ちが厳つすぎて怖かった。まあ演奏が始まればいつも通りにこやかに、時に激しく頭を揺らしていた。
バンドの演奏としては、WindParadeでみたフィッシュマンズやくるりのような構築力とバランスに圧倒された。まさかここでこんなに完成されたものを見ることになるとは思わなかった。圧巻と言う外なかった。後輩の言う通り俺は大好きなタイプのバンドで、すっかりはまってしまった。フォークを基盤にハウスやテクノらしさ、「炎~あなたがここにいてほしい」で見られるプログレ由来のロック~ポップさも時折見受けられた。原曲から大きく離れたダイナミックなアレンジで、展開の仕方が豊かだった。「PIANO」ではいつピアノが入ってくるのか、というスリルも味わった。会場も不思議な盛り上がり方で、内村君の壊れそうにきらめく笑顔ともとれるはかない表情に心を打たれた。
そして何より驚いたのは、控えめな音量に対して、飽和感が強かったこと。音量の大きさで圧倒するバンドはたくさんいるが、あの音量の小ささで箱を音で満たしていたことにずっと感動していた。すごいPAとすごい演奏技量だ。自分の耳に合っていたような気もする。音の大きさだけでは飽和感や音を浴びる感覚は作れないってことに気が付けた。
曲をそこまで聞きこんでいなかったが、今までで5本の指に入るほど楽しいライブだったように思う。

いや~、大満足な3本だった。
ライブに行くと音楽に没頭するのは当たり前だが、俺にとっては演奏の最中自分と向き合う空間でもある。この先のことをたくさん考えた。ライブ三本の時間があったが、ライブ中って実際に過ぎている時間があやふやになる。伸び縮みするというか、精神と時の部屋というか、断界というか。意識が濃くなって矢継ぎ早にいろんなことを思い浮かべては流れていった。
その中で1つ決めたことは、絶対に俺は曲を作らなきゃいけない、ということ。学生もあと数か月で終わってしまう。素材はあるから年内に1曲仕上げてしまいたいなと。
そして来週にもライブを見に行く。先輩からチケットが回ってきて、幾何学模様のファイナル追加公演に行くことになった。フジロックの配信で虹色に輝くサイケをこの耳できいてサイケの魅力を知った。生で聴ける機会に恵まれて本当にラッキーだなと。楽しんできます。

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