メモ=腕・毛伸び


冬になると、個人的に嬉しいことがあります。それは「腕に文字を大書できる」ということです。既にご存知の通り、腕というのは私有財産であり、広大無辺なメモパットの役割も果たします。そのため、肌寒くなって長袖を着用するようになると、誰の目を気にすることなく、腕に様々な文字を書きなぐることが可能になるのです。素晴らしき哉、人体!

もちろん、何の考えもなしに腕に文字を書き連ねるわけではありません。私は矮小な現存在ですが、それなりに小細工を弄するのです。腕に文字を書く際には、語呂合わせを用いるのがベストです。例えば、納豆の場合は「710」と書きますし、ゴミ袋の場合は「53296」と書きます。だからどうした!?

腕にそのまま「ゴミ袋」と書いた場合、通行人がすれ違いざまに腕の上にゴミを置いていく可能性があります。そのような出来事に遭遇した際に「なんで人の腕にゴミを置いていくんだ!非常識だろ!」と憤慨するのはお門違いです。通行人からすれば「ゴミ袋」と書いてある場所にゴミを捨てるのは至極当然のことです。貴方の腕が「移動式のゴミステーション」に間違われないように自衛しましょう。

文字を腕に書いている場合は「何かしらの意味が込められた言葉が書いてあるな」と一目でわかります。ですが、数字を腕に書いている場合は「何か書いてあるけど判読できない。もしかしたら、ただ単に腕毛が濃い人なのかもしれないな」と勘違いする可能性があります。そのわずかな可能性に賭けるのです。一縷の望みは一毛の重みなのです。

これは腕毛に限った話ではありませんが、はっきりしないものやモヤモヤしたものに対して、あれやこれやと想像力を働かせるのは人間の性です。貴方が腕に何らかの文字列を書き加えることによって、周囲の生活空間に「小さなカオス」が発生します。腕に覚えがある人は是非とも試してみて下さい。その際に発生した責任と腕に付いた汚れは取りませんのであしからず。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?