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ネコに「ラーメン二郎」を食べさせたい

うちのネコはでかい。一般的なネコの体重は4~5kgといわれているが、我が家のネコ『文福』は約6kgある。どっしりとしたボディが、たまらなくかわいい。

ただ、身体が大きいがゆえの悩みがひとつある。ごはんを食べるときに、身体をかがめなければいけないのだ。まさに猫背の姿勢でガフガフごはんを食べる姿はかわいいが、身体にはあまりよくないそうだ。

そこで今回、うちの愛猫のために、ごはん台をつくることにした。どうせなら、ごはんがおいしそうに見える台をつくろう。



■ラーメンといえば「二郎」

今まで使っていた台。高さは合うが見栄えが悪い。
いつもの食事風景。見てください、このもったりボディ。


ごはんがおいしそうに見える台。つまり、ラーメン屋のカウンターだ。あの赤が私たちの本能に働きかけて食欲を刺激する。HOT LIMITだ。

なかでも特に好きなのが「ラーメン二郎」のカウンターだ。普通のラーメン屋だと、カウンターがどんな素材だったか意識することもないだろう。しかし、独特の緊張感がある二郎では、ラーメンを待つ間、じっとカウンターを見つめているので記憶に強く刻まれている。


ちなみにこれがラーメン二郎。説明しなくても伝わるド迫力。
「カニカマいれますか?」


ということで、ラーメン二郎風のごはん台をつくった。

看板は二郎をもじって「ニャ郎」にした。こういうゆるめのユーモアは以前はちょっと苦手だったが、ネコを飼うようになったら、いつの間にか平気になっていた。ペット用品は変な名前のものの方が優秀だからだろうか。人はいろんなものに慣れていく。

ラーメン二郎はコロナ禍以前からずっと黙食。


■カウンターをつくろう

二郎のビジュアルを構成しているものは、大きくわけて3つだ。「黄色い看板」「赤いカウンター」「どんぶりからはみ出るボリューム感」。

これらが揃っていれば、写真でしか見たことのない人でも「二郎だ!」と思うだろう。

「看板が白い二郎もあるぞ!」と思った人は、いったん二郎を食べてから記事を読んでほしい。お腹がパンパンで、そんなことはもうどうでもよくなっているはずだ。

ざっくり、感覚で設計図を書く。数値も単位もひとつもない。
見かねた同居人が描いてくれた『猫二郎』のイメージ図。


材料は近所のホームセンターと100円ショップでほぼ揃った。木材と塗料、接着剤だ。

趣味のDIYをもう少し本格的に楽しめるように、憧れの電動工具も購入した。木材を切るのが下手で、ノコギリで切ると必ず曲がって大変なことになっていたから、これで大幅な効率化と改善が見込める。

今回手に入れたマルチツール。なんでもできるすごいやつ。少しうるさい。


木材を購入するときに、お店で切ってもらうこともできるのだけど、あらかじめ必要な長さを測っておかなければならず、かなり面倒だった。

これからはその場で自分で切ればいいので、計測も設計図もいらない。数字とか見なくていいのが、DIYのいいところだ。

木材加工で面倒な作業筆頭の「やすり」もかなり楽になる。買ってよかった。
ちょっとホラーな見た目になった。


ラッカースプレーで着色しようとしたら、木材がどんどんスプレーを吸い込んでいって、赤ではない色になってしまった。

ラーメン屋の「赤」がほしいのに、板はどんどん赤黒く染まっていく。あと、ものすごく臭い。中毒になりそう。「二郎は中毒になる」と評されるが、あくまでも比喩だ。本当の中毒にはなりたくない。

赤く塗った木材と比べて発色がものすごくいい。最初からこっちにすればよかった。
塗る前に重ねてみたときは、いい感じだったのにね。


結局、材料をすべて買い直した。ホームセンターをもう2周して探したら、赤いパネルが売っていたので、カウンターはそのパネルでつくることにした。

軽くて薄い素材なので、カッターで加工できる。つまり、せっかく買った電動工具を使う必要がない。そんな……。

文福の前に置くから「文福前店」にした。ゆるめのユーモアです。


目分量で切った材料を、接着剤で貼り合わせれば完成だ。看板やトッピングの案内などもつくったら、かなりそれっぽく仕上がった。

二郎といえばニンニクだが、ネコにニンニクは毒なので、トッピングはカニカマをいれることにした。文福の大好物。きっと喜んでもらえるはず。

穴とサイズがあわなかったので、テープを巻き付けて調整。目分量。

工作で工夫した部分を一ヶ所だけ見てほしい。カウンター上部の板に、棚ダボという金具を埋め込んだ。本来は棚板の高さを変える部品だけど、ここにステンレスのパイプを差し込んで看板を立てられるようにしている。

これが「棚ダボ」。ダボってなんか、不良が叫んでいるみたいな響き。

ホームセンターや100円ショップを回遊しつつ、使えそうなものを見つけたときの「これだ!」という感覚は、何よりも気持ちいい。たぶん真犯人を指摘する金田一少年もこのくらい気持ちよくなっていると思う。

ちなみに、ステンレスのパイプは100円ショップのキャンプ用品コーナーで見つけた折りたたみハンガーだ。本来の使い方をせず、材料としてうまく転用できたときも、やっぱり気持ちいい。

高さが合わなかったので、結局ダンボールの上に載せて調整した。目分量だからだよ。


■どか盛りどんぶりを食べてもらう

カリカリの上にちゅーるをかけて、そのうえにパウチのウエットフード、最後にトッピングのカニカマをのせれば完成だ。

二郎でいうなら「ニンニク、ヤサイ、アブラ」だろうか。全部、普段から食べさせているごはんだけど、こんなに豪華なのは初めてだ。

このでろっとした感じ。


パウチのフードをお皿に出したとき、見た目が二郎の「アブラ」にそっくりで思わず笑ってしまった。カロリーの高いごはんのことを冗談で「エサ」と言ったりするが、本当にエサとよく似ていたのだ。

たくさん食べて、一緒に太ろう。俺も引越しを機に、二郎に通うようになってしまい、順調に体重が増えている。


試行錯誤した末、いいものができた。たらふく食べてくれ。
一匹さまご来店です! へい、らっしゃい!
ガフガフいいながら食べている。自分もそうだから、なんだか親近感がわくね。
今回のベストショット。「ラーメン屋で隣の客がネコだった」みたいな写真が撮れた。
食べ終わったのに退店せず、どんぶりにお尻を向ける。お店でやったら出禁です。
食べこぼしがひどすぎる。出禁だ出禁!


■他のネコにも食べさせたい

ごはん台を持って外出。これを想定して看板は取り外せるようにしておきました。

文福が出禁になったので、他のお客さんにも利用してもらおう。江古田にある猫居酒屋『赤茄子』さんにお願いして写真を撮らせていただいた。

赤茄子は、4匹のネコが店内を自由に行き交う居酒屋だ。ちなみに赤茄子のある江古田駅の一つ隣の駅、桜台駅には「ラーメン二郎 桜台駅前店」がある。

この子はチーちゃん。普段から看板猫として接客しているだけあって、お行儀がいい。
三毛猫のタビちゃん。文福に負けないふくよかボディ。
入れ替わり立ち替わりの大盛況。行列のできる店だ。

たくさんネコがいるので、同居人に描いてもらったイメージ図のようになるかと期待したのだけど、ごはん台が小さすぎた。このサイズだと一匹ずつしか食べられなかった。

多頭飼いをしている家だと、ごはんの奪い合いになるらしいので、次は仕切りを設けて「味集中カウンター」をつくってもいいかもしれない。

いい食べっぷり。こっちまでうれしくなる。
スマートなマコちゃん。パッと食べてサッと去るのが粋。
ノンちゃんは看板に頬を擦り付けている。気に入ってくれたみたい。
店主としての貫禄がある。(ブレてます)。

めでたく11周年を迎えた『赤茄子』だが、マスターが高齢のため年内での閉店を予定しているそうだ。かわいいネコに会いたい方は年内まで! 急げ!(ニャ郎のごはん台はありません)



飼ってはじめて知った気持ち

ごはん台をつくって、気づいたことがある。ネコが一緒にごはんを食べてくれるとうれしいのだ。

以前は、ネコ用のケーキなどが売られているのを見て「ネコが食べてもしょうがないでしょ」なんて笑っていたが、そうではなかった。ネコが自分と同じものを食べていると、たまらなくうれしい気持ちになる。

だからきっと、ケーキを一緒に食べるのは、すごく楽しいのだと思う。今度一回試してみよう。何事もやってみないとわからない。

ネコといっしょに食べた『家二郎』。人間用。おいしかった。


■撮影協力
江古田 赤茄子 Twitter@Cat_Bar_Akanasu
https://akanasucat.wixsite.com/ekoda-akanasu
営業時間/17:00~23:10(金土のみ営業時間延長あり)
定休日/月曜日 火曜日
住所/東京都練馬区旭丘1-77-2-2F 「江古田駅」南口から徒歩1分


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