趣味

最近読書を始めた。ずっと前から気になっていた趣味だ。それで思うのは、趣味とは他の人間と自分とをつなぐためのものだということ。無趣味とは他が示してくれる「私への興味」に無関心を突きつけるということ。

「趣味が欲しい」と口先で言いながらも長いこと見つからず、というか理由をつけて行動するのを避けてきたのは、周囲と好きなことを共有するのに興味がなかったか内の世界に籠ることに満足していたからだと思う。多分両方。だから、滲み出る外との関わりへの「無関心」に周囲はきっと怖気てしまって、人との付き合いはいつも淡白になってしまったし相手の私への興味がすぐに離れていく感覚をまま感じることがあった。

こういう価値観に変わったのはプチSNS断ちがきっかけになる。それまで自分には「寂しい」という感情がないと思っていた。けれど、どこに住んでいるかもよく知らない人間の「呟き」にいつでも繋がることの出来る環境から距離を置いてみて、なぜ自分がこれまでそこに固執していていたのか気づいた。誰よりも「自分のこと」を共有したいと欲していたのはわたしだった。それで趣味を始めたのだ。

その大小や自覚の有無こそ差はあれど誰しも心に孤独を抱えていて、だからこそ他人と交わろうとする。誰かと興味を分かちあったり互いの価値観を開示するのに「好きなもの」の話からはじめるのは恐らくかなり順当だし手っ取り早い。趣味とはそういうものなのだ。誰かと繋がりたいとか自分を理解して欲しいとか、そういう欲求を満たすのに「好きなことの輪郭をとる」というのはわかりやすいし賢いやり方だ。

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