近年、ブロックチェーン技術の進化に伴い、NFT（Non-Fungible Token：非代替性トークン）の活用が注目されています。SBIグループが提供する「SHIMENAWA」というサービスは、NFTを活用して、新たなトレーサビリティ体験を提供しています。今回は、このトレーサビリティ×NFTの可能性に迫ります。

SHIMENAWAサービスの概要

SHIMENAWAサービスの核となるのは、NFCタグを利用した商品の追跡と管理です。このシステムでは、商品にNFCタグが装着され、消費者が商品を開封すると、その情報が検知されます。具体的には、消費者がスマートフォンでNFCタグを読み取ると、特定のNFTが発行され、消費者の行動がデジタル上で記録されます。

SHIMENAWAの仕組みは、Cordaというブロックチェーンネットワークを基盤にしています。これは、SBI R3 Japanが運営する金融機関向けの企業間取引プラットフォームであり、従来のブロックチェーンサービスと異なる特徴を持ちます。特に、ガス代の削減を含むコスト効率の高さが注目されています。

事業者と消費者の接点

このシステムは、事業者にとって商品の配送と消費状況を追跡する手段を提供します。また、消費者にとっては、商品を開封し利用することが、ブランドのファンであることの証明となります。これにより、消費者と事業者間の新たなつながりが生まれる可能性があります。

実証実験: 奈良の油長酒造

奈良の油長酒造株式会社は、このシステムの実証実験として、日本酒「風の森 山乃かみ」にNFTバッジを実装し、SBIグループ社員向けに試験販売を行っています。これは、ブロックチェーンとNFTを利用して商品のトレーサビリティを向上させる試みであり、その成果は今後のサービス展開に大きな影響を与えることが予想されます。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000100112.html

NFCタグとNFTの相乗効果

油長酒造による実証実験では、消費者が商品を開封すると、その行動がNFTによってデジタルに記録されます。これにより、事業者は商品が適切に配送されたこと、さらには消費者が実際に商品を使用していることを確認できるようになります。同時に、消費者は自分が商品を消費した証としてNFTを受け取ることができます。

事業者にとっての利点

このシステムの最大の利点は、商品の流通過程の可視化です。事業者は、商品が不正に横流しされていないかを確認することができ、また、真のファンを識別する手段を得ることができます。これにより、事業者はより効果的にマーケティング戦略を立て、顧客に対してパーソナライズされたサービスを提供することが可能になります。

SHIMENAWAの料金体系

SHIMENAWAの料金体系は、5000円の日本酒に対して40円程度という手頃な価格設定になっています。これは商品単価の1%未満であり、事業者にとっても導入しやすい価格帯となっています。このシステムは、イチゴやお米などの農産物にも応用可能であり、それぞれの商品に応じた利用料が設定されています。

まとめ

NFCタグとNFTの組み合わせにより、消費者のエンゲージメントが見える化されます。例えば、ある消費者が商品を贈り物として購入した場合、実際には商品を自分自身で消費していないにも関わらず、ファンとして特定される可能性があります。このシステムにより、事業者はより精度の高い顧客分析を行うことができます。
SBIグループによるSHIMENAWAの取り組みは、ブロックチェーンとNFTの組み合わせを通じて、新たな顧客体験と事業者の商品管理方法を提供しています。

この革新的な取り組みは、トレーサビリティとデジタル資産の管理を結びつけることで、業界に新たな可能性を示唆しています。将来的には、この技術がさまざまな分野で活用されることで、消費者と事業者の関係がより強固になることが期待されます。
これからのトレーサビリティにおけるNFT活用の未来が楽しみです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。