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ハエとミドリムシ、世界を救う2つの生物~持続可能な未来を築く新技術~

私たちの生活を取り巻く環境問題が日々増加する中、解決の鍵を握るかもしれない2つの生物に焦点を当ててみます。
その名も、「イエバエ」と「ミドリムシ」。
一見無関係に見えるこの2つの生物が、どのようにして未来を変える可能性を持っているのかをご紹介します。


ムスカのイエバエ:環境負荷低減の新技術

ムスカのイエバエ技術の起源

ムスカのイエバエ技術の歴史は、驚くべきことに旧ソ連の宇宙プロジェクトにその起源を持っています。長い45年間にわたり、約1100世代の品種改良を繰り返してきたこの技術は、日本のムスカが引き継ぎ、さらに研鑽を積むことで事業化の道を進んできました。

イエバエはその驚異的な成長速度と、畜産排泄物を効率的に分解する能力で注目を集めています。このハエの成長サイクルは想像を超える速さで、その速度を利用して飼料化や肥料化の実現を目指しています。

循環システムの実現

ムスカが目指しているのは、畜産排泄物の分解から得られる肥料と、成長したイエバエの幼虫を養殖魚の飼料として利用する持続可能な循環システムの構築です。これにより、資源の再利用と環境負荷の低減が期待されています。
ムスカはその独自の事業モデルで、TechCrunch やグッドライフアワードなど、多くのビジネスコンテストで受賞してきました。

さらに、大手企業の伊藤忠商事からの出資を受けるなど、多方面からの支援を得て、事業の拡大とシステムの横展開を進めています。
2023年8月には、農林水産省から環境負荷低減事業活動としての認定を受けるなど、国レベルでの注目と支援を受けています。この認定は、ムスカのイエバエ技術を利用した循環システムが環境に対しても非常に有益であることを示しています。

ムスカの今後

ムスカのイエバエ技術は、今後さらに多くの工場を建設し、事業モデルを拡大していくことが期待される。持続可能な農業や養殖産業の推進に寄与するムスカの技術は、今後の環境問題にも一石を投じることになるはずです。

ミドリムシとは?ユーグレナが切り開く新たな可能性

ミドリムシ、多くの人には馴染みの薄い生物でしょう。しかし、この小さな微生物が、私たちの未来の持続可能な社会を形成する鍵となる可能性を秘めています。特にユーグレナ社の進める研究や事業展開は、ミドリムシの驚異的な可能性を日々明らかにしています。
なぜなら、ミドリムシは、高栄養価の微生物であり、ユーグレナ社はこの微生物の増殖の難しさを克服し、大規模プールでの生産を成功させ、新たな事業モデルを展開しています。

バイオマスの5Fとミドリムシの役割

バイオマスの5Fは、Food(食糧)、Fiber(繊維)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)の5つを指します。ミドリムシはこれらの原料としての可能性を秘めており、特に食品や燃料の分野で注目されています。
※書籍「ミドリムシ博士の超・起業思考 ユーグレナ最強の研究者が語る世界の変え方」より

引用:ミドリムシ博士の超・起業思考 ユーグレナ最強の研究者が語る世界の変え方

ユーグレナ社の事業は、「バイオマスの5F」モデルに基づいています。中心となる事業はFoodとFiber。これらは高い単価での販売が可能であり、マーケティングを駆使してさらなる価値向上が可能です。特に、ミドリムシを使用した飲料や食品は、他社との競合が少なく、マーケットリーダーとしてのポジションが独自です。

化粧品事業に関しては、ミドリムシの効能が肌の健康に寄与するという考えから展開。精神的な健康にも繋がるとの視点があります。

ユーグレナの戦略

ユーグレナの永田暁彦氏は、Feed、Fertilizer、Fuelの3Fは価格競争が激しく、単価を高くするのは難しいと指摘。特に燃料事業は、石油燃料との価格競争が厳しい。しかし、燃料の副産物として生じるタンパク質は、飼料や肥料としての価値があります。

ユーグレナは、食品や化粧品といった高単価商品でしっかりと収益を上げ、その後で燃料などの大量生産が求められる領域へと事業を広げる戦略を取っています。

ミドリムシ燃料:未来への一歩

埼玉県で実施されているミドリムシ燃料の実証実験は、新しいエネルギー源としての大きな可能性を示しています。ミドリムシ燃料はCO2排出量の大幅な削減が期待され、環境に優しいエネルギーとしての役割が期待されています。

ミドリムシの今後

ミドリムシを活用した技術は、持続可能なエネルギー源としての大きな可能性を秘めています。飛行機や車の燃料として、そして多岐にわたる商品として、ミドリムシは今後の持続可能な社会を形成する鍵となるでしょう。

まとめ

ハエとミドリムシ、一見些細な生物に思えるが、彼らが未来の持続可能な社会の鍵を握っています。
ムスカのイエバエ技術は、旧ソ連の宇宙プロジェクトから継承され、持続可能な循環システムの実現を目指す。畜産排泄物の資源再利用と環境負荷低減、その実現に向けた動きは国レベルでの注目と支援を受けています。
一方、ミドリムシは高栄養価の微生物として、食糧やエネルギー源としてのポテンシャルを持ちます。特にユーグレナ社は、ミドリムシを活用した多岐にわたる事業展開で未来をリードしています。この2つの生物が示す革新的な技術は、持続可能な未来への道しるべとなるはずです。

ミドリムシに関するおすすめの本として、書籍「ミドリムシ博士の超・起業思考 ユーグレナ最強の研究者が語る世界の変え方」があります。この本はユーグレーナという会社の研究者であり、立ち上げに携わった鈴木氏が書かれたものです。興味深い話や学びになる思考が満載です。
ぜひ、読んでみていただけると嬉しいです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

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