うきしづむ

言葉は人生をゆたかにする。

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54字の宴のその後

先日の櫟 茉莉花さん主催の54字の宴。 興奮冷めやらぬなか、お題募集で敢えなく選ばれなかった言葉たちのお救け企画のはじまり。 こんなんばっかですんません(ノ∀`)タハー

    • #54字の宴

      *櫟茉莉花さん企画のイベントです。

      • 王様とわたし

        わが家には王様がいる。 わたしは王様の妻だけれど、自称王妃ではない。 王妃は王様のお世話はしない。 わたしの位置づけはあくまで奉公人、使用人、小間使いそんなところだ。 とりあえず、こうした下働きの方々に敬意を表し、小間使いの敬称として〈お小間さん〉と、自身をそう名乗らせていただくことにする。 わが家の王様は時間にとても厳しい。 朝食は6時15分、昼食は12時ちょうど、夕食は19時30分。 遅れることは絶対に許されない。いや、正しくは王様自身が王様の権限で時間をずらすのは問

        • あとかたもなく

          鈍色《にびいろ》の思い出に咲くネモフィラの儚き青はうたかたの夢

        54字の宴のその後

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        記事

          じれた口紅

          逢いたいと急くる想いを抑え引く滲む輪郭口紅の朱

          じれた口紅

          地上の星

          *本作は中島みゆきさんの「地上の星」をイメージしたオリジナルショートストーリーです。歌詞とは一切関係ありません。 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎ サンは貧しい村に生まれた。学校にも行けず、生活用の水を汲みに毎日遠い湖まで何往復も歩かなければならない。太陽がカンカンに照りつけようと、突然のスコールに遭おうとサンが水汲みに行かなければ家族は死んでしまうのだ。 あるとき、サンが父親にこう言った。 「おとうさん、地上の星って知ってる?それは希望の星なんだって!どこかにあるって誰かが言

          償い

          *本作は、さだまさしさんの「償い」をイメージしたオリジナルショートストーリーです。歌詞とは一切関係ありません。 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎ あなたへ 今年もあなたが好きだったクチナシが甘い香りをのせて真っ白な花を咲かせました。 はじめて八重咲きのクチナシの花を見たとき「綺麗」と言った私に「綺麗だけど僕は一重咲きの可憐さの方が好きだよ」と言って微笑んでましたね。 あなたのそんな穏やかな陽だまりのような優しさが大好きでした。 あなたが私の前から突然いなくなってから7年が経ちます

          火口

          悲しいのは琴線さえも触れられずわれ傷口に マグマ 吹き出し

          少年時代

          本作は井上陽水さんの「少年時代」をイメージしたオリジナルショートストーリーです。歌詞とは一切関係ありません。 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎ 俺が空き巣で身を立てるようになって5年。足を洗おうと毎回思うが、じゃ明日っから飯はどうすんだ⁈といつも内なる声に負けちまう。 さてと… 今日の家はここだ。蜩が鳴きだす前にさっさと片付けちまおう。古い屋根つきの門扉を開けたとき中から声がした。マズい。すると 「秀夫〜、帰ったのか〜」 聞き覚えのある声。 は…⁈ なんだ⁈ 「お〜い、秀

          最高の片思い

          ♢♢♢♢♢ その日は翌週のバンドコンテストの打ち合わせでみんなスタジオに集まっていた。出場バンドが多数ガヤガヤとひしめき合っていて、その喧騒がまた楽しかった。 そんな中、見覚えのある顔が遅れて入ってきた。 「コウちゃん⁈」 私の心臓が一気に32ビートを刻む。 「うわぁ!久しぶり!おぉスゲーじゃん!!」 コウちゃんが変わらない陽だまりの笑顔で私に向かってそう言った。 私はうなずく。平静を装って。 ♢♢♢♢♢ コウちゃんは前のバイト先で知り合った2つ年下のドラマ

          最高の片思い

          惑乱の澱

          体内に残りし君の残響が我を離さずうなじ迷わす

          Aphrodite

          去りし日の記憶辿りて相まみえ静寂の炎時に溶けゆく 愛という儀式の中に身を委ね渇く間もなく君を求めん

          銀の雨

          *本作は松山千春さんの「銀の雨」をイメージしたオリジナルショートストーリーです。歌詞とは一切関係ありません。 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎ 好きなだけじゃどうしようもないことがあるってこと、あなたと出逢って初めて知った。 ゆるやかに穏やかに過ぎていた平らな時間。 通り過ぎてみればあれが幸せということだったのね。あなたとの想い出が記された日記は、今はまだ苦しくて読み返せそうにもないけど、いつか懐かしく開けるときが来ることを願っています。 人はみんな寂しさを抱えて、それでも前

          捨て置かれた記憶

          バタバタと動き出す朝いたずらに遠い記憶の我を眺むる 記憶を眺める私を記憶のわたしが眺める…

          捨て置かれた記憶

          Wine & Roses

          本作はRED WARRIORSの「Wine&Roses」をイメージしたオリジナルショートストーリーです。歌詞とは一切関係ありません。また本作は過去作「SOMEDAY」の続編として書いたものです。そちらにもお立ち寄りいただけたらこの上なく幸せです。 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎ サラとつきあい出してから、俺は懸命に働いた。仲間は人が変わった俺をみて笑った。でもそんなのどうでも良かった。 今日はサラの誕生日。俺はせっせと貯めた金をプラザホテルのスイートリザーブと薔薇の花束に使っ

          愛の落日

          はなれゆく蒼き炎を見送りて我ぬけがらを抱きみる月 終わりが静かに頬をつたう…