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上海 トイレ不潔問題の影に潜む政府の陰謀

上海。

きらびやかな街並みで有名な外滩に、人々の活気に満ちた人民広場といった多数の観光地を誇る言わずと知れた中国第2の都市である。

多くの日本人の中国に対する「汚い」「未開発」といったイメージとは裏腹に上海の街には多くのショッピングモールや各種専門店が立ち並び、もはやその街並みは東京と大差無い。

しかしそんな圧倒的な近代化を果たした上海ですらいまだに東京に遠く及ばない分野がある。


トイレだ

まず皆さんには上海の一般的なトイレを見て頂きたい。

これは上海市内にある某クドナルドのトイレである。

このトイレを見た人々が一番最初に抱く感想は恐らく「和式」であろう。

多くの外資系企業が街を侵食し、海外の価値観に慣れた上海市ですら高級ショッピングモールなどを除いた多くのトイレはいまだに和式である。

このトイレ和式問題は黒の革ジャンを着てピッチリスキニーを履き、我が物顔で街を歩く女性も時には地面に踏ん張りこむ時もあるのだなぁと妄想できるといった思わぬ利点もあるが、基本的に洋式のほうが気分が良いのは言うまでもない。

問題はトイレの方式だけではない。上海市ではトイレの数も圧倒的に少ない。

日本では飲食店やコンビニにはほぼ確実にトイレがあるので、危険水位に達した時にはすぐさま近くの店に駆け込むということもできる。

しかし上海では基本的にそうした店にトイレが存在することは無いので危険を感じた時に時間稼ぎをするようなお守りが不可欠である。

僕ももし日頃からストッパ下痢止めを携帯してなければ今ごろジーンズを何枚失っていたか分からない。

危険水位をどうにか持ちこたえ、念願の放出を果たす。

しかしまだ安心できないのが上海のトイレである。

先ほどの写真からすでにお気づきの根っからトイレ愛好家の方々もいるかもしれない。

紙がない。

東京のトイレでは当たり前のように備えつけられている紙だが、上海のトイレで紙があることはまずない。

時よりトイレ内に有料の紙が売られていることもあるが、紙を忘れた者には使用済み紙ゴミ箱に入っている紙を使うか、ひたすらに乾燥を待つといった悲惨な結末が待っている。

なぜ上海のトイレには紙がないのか。

たったの1元(15円)でも需要のある場所から金を救いとろうとする中国人の商売根性。

はたまた単に盗難防止。

様々な要因が考えられるが、僕はここで新たな説を提唱したい。

神としてのトイレ大切にしている

元々トイレというのは人間の尊厳を失いかけた人々を救ういわば神のような存在だ。

「そこにトイレがある」と信じて駆け込んだ者を救う。「信じる者は救われる」という某宗教の関係と何ら違いはない。

さらに信じた者を必ずしも救っているとは言い難い某宗教とは違い、トイレが裏切ることは決してない。

しかし主要な施設には当たり前のようにトイレのある東京ではトイレを有り難く思うという感覚が薄れていると感じる。

突然催してしまった時でも必ず周囲に洋式で紙の常備されたトイレがある。

「駅や飲食店にトイレがあるのは当たり前」

「トイレが洋式で綺麗なのは当たり前」

「トイレに紙があるのは当たり前」

このような認識が蔓延すれば、トイレへの感謝が薄れるのも無理はない。

上海では状況は異なる。

突然催した時、周囲にトイレがあるというのはほぼない。

そこにまずトイレを探すという労力が発生する。

決壊寸前の臀部を踏ん張りつつトイレを探し出した時、私たちはトイレに第一の感謝を覚える。

トイレへの感謝度合いはトイレを探した時間に比例するのだ。

そして個室の空き具合を確認した後、緊張の面持ちでドアを開ける。

この時ドアの先が最初に見せたような一般的な上海トイレであったとしても、「上海のトイレは和式が当たり前」という価値観を持っているのでそれほど落胆はない。

だがしかしドアの先が高級ショッピングモールにしかないような紙のついた洋式トイレがだったらどうだろうか。

歓喜だ

あの夢にまで見た清潔な洋式トイレで用を足すことができる。

しかも紙の心配をする必要もない。

これまでの汚いトイレの記憶は一瞬にして消え去り、清潔なトイレに酔いしれる。

ここまでくれば立派なトイレ信者の完成である。

「紙をなくすことで神を際立たせる」

この某執筆家の発言のようにあえて当たり前の環境を無くすことで当たり前の環境の有り難みを理解させる。

流石は中国14億人を統べる共産党政権だ。

汚い和式と綺麗な洋式のバランス。

この政府の方針がある限り、上海のトイレ事情が東京に近づくことは決してないだろう。

※ 本文章は個人の感想と妄想であり、特定の組織との関係はありません。

※ 本文章は上海に焦点を当てていますが、中国のトイレ事情はどの地域も大差ありません。

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