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神戸からのデジタルヘルスレポート #67 (医療業務効率化)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

2020年、第64回でいったん終わらせていたんですが、2021年版として、全5回でお届けしたいと思います! #1はデータ系、#2はフェムテック、さて今回は業務効率化系を。

1. Watershed Health:急性期患者フォローアップ

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企業名:Watershed Health
URL:https://watershedhealth.com/
設立年・所在地:2013年・米国/ニューオリンズ
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

「Better Connections for Better Patient Outcomes」を目指して、急性期後ケア管理のプラットフォームを構築・運営しているのがWatershed Healthです。EHR上に蓄積された患者データを解析し急性期及び移行期の支援を行うサービスを構築しており、再入院の減少や在院日数の短縮、退院連携・紹介の効率化などに取り組みます。

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創業者兼CEOのChip Grant, MDは記事のなかで、再入院というものが発生するのは医療制度・システムの故障であり、その修正のために成功計測の指標をPatient Activation Measure (PAM)からProvider Activation Measure(PrAM)へと転換していくことを提唱しています。

サービス紹介の動画は6年前に公開されておりやや古いですが、イメージを掴むためには良いかも知れません。

2. Oncodisc:がん治療の遠隔マネジメント

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企業名:Oncodisc
URL:https://oncodisc.com/
設立年・所在地:2018年2月・米国カリフォルニア州ウォルナットクリーク
直近ラウンド:Seed(2018年3月)
調達金額:$1.2M(不明)

Oncodiscは、AI搭載の埋込型デバイスと解析データプラットフォームを通じて、在宅での癌患者治療支援の質を改善することを目指しています。その背景にあるのは、外来化学療法により治療を受ける癌患者に予定外入院が発生していることに対する課題意識です。

毎年、170万人のアメリカ人が癌と診断されており、そのうち65万人が化学療法で治療を受けています。その名の通り、外来で治療を受けた後は入院をせず自宅に帰るのですが、そのモニタリングの不備から予定外入院が発生することもしばしばで、最大7万ドルの治療費がかかることはもちろん、予定されていた治療プランを実行することが難しくなる場合もあります。

創業者兼CEOであるJames Mitchellは、がん治療が米国の医療費の中でも最も急速に増加している要素のひとつであり、その治療の80%以上が外来診療で行われていることを指摘した上で、このサービスのインパクトの大きさを指摘しています。

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↓の動画で、問題意識や彼らのアプローチがわかりやすくまとめられています。より丁寧にみるなら、2つめのピッチ動画を見るのがおすすめです(ちょこちょこ動画・音声がとまりますがご愛敬ということで)。他の疾患や治療法にも展開して区ことを狙っていることがわかりますね。

患者の能動的なアクションを必要としない、肺動脈圧モニターや植込み型ループレコーダーのような機器が好ましいと考えられ、パイロット研究も行われ始めています。この記事の中で、Oncodiscは、腫瘍学向けの埋め込み型モニタリング技術とモバイルePROソリューションを開発している唯一の企業として紹介されています。

Oncodisc RCPはFDA未承認の段階ですが、国立科学財団からの助成金も受けており、これからに期待です。

3. Vena Vitals:血圧モニタリングステッカー

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企業名:Vena Vitals
URL:https://evonexus.org/evonexus-companies/vena-vitals/
設立年・所在地:2019年1月・米国・ロサンゼルス
直近ラウンド:Seed(2020年8月)
調達金額:$125K(Eric Kwan and 2 other investors)

まだ自社Webサイトがない、こんな会社も取り上げてみます

従来の血圧測定器よりはるかにコンパクトな小さなステッカーを手首に張り付けることにより、血圧を継続モニタリングする機器を開発している企業がVena Vitalsです。針も使わず非侵襲、特許取得済み、FDA未承認とのこと。

Vena Vitalsは、世界最大の医療機器アクセラレーターであるMedTech Innovatorで2020MedTech Innovator ExecutionAwardを受賞しています。MedTechイノベーターのCEOであるPaulGrandやAdvaMedのCEOであるScottWhitakerからも、イノベーションの価値の高さと患者への貢献度について期待の言葉をかけられています。チームの高学歴感がすごいな...

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4. Dock Health:タスク管理・コラボプラットフォーム

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企業名:Dock Health
URL:https://www.dock.health/
設立年・所在地:2016年・米国/ボストン
直近ラウンド:Pre-Seed(2021年1月)
調達金額:$3.5M(MassChallenge, Boston Chilidren Hosipitalなど)

医療チーム向け専門のTodoマネジメントサービスが、Dock Health。医療従事者は、患者の診療・ケアだけでなく、膨大な書類対応にも追われる現状があるため、それを解決しようと取り組んでいる企業のひとつです。

多くの業界では、リモートワークの浸透などもあり、Trello、Jira、Slackなどのプロジェクト管理ツールを利用していますが、ヘルスケア業界では、HIPAAの観点から、いまだに電子メールや電話、紙書類がコミュニケーションツールの主流となっています。問題意識などは、下記の記事で語られています。

サービスUIなんかは動画で確認するのが良いですね。テンプレがあり、それを各施設なチーム特性によってカスタマイズしていくと。

小児科医であるMicahel Docktorが日々の業務の煩雑さに問題意識を持ち、デザインの専門家たちとチームを作ってヘルスケア向けのタスク管理プラットフォームを作成。現場の課題感を持ったメンバーでリーダーシップをとり、より現場にフィットした課題解決に取り組んでいます。

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