見出し画像

2022年の振り返りとZENKIGENの2023年

明けましておめでとうございます。

2021年末にシリーズBの資金調達が終わり、アクセル全開で前進しようと思っていたところに戦争が始まり、それに端を発した原油価格高騰からインフレ加速、ゼロ金利解除からの世界同時株安となりました。それに伴いSaaS銘柄は平均して1/3〜1/4まで株価が下がるという衝撃の事態となりました。

取締役会で何度か議論し、この衝撃は数年続くだろうと判断し、アクセル全開から急ブレーキをかけ、コストを適正化しデッド(銀行融資)での調達も行いランウェイ(保有キャッシュで継続できる残存期間)を計画の2倍の期間に延ばしました。これにより、リーマン級の経済ショックが起ころうとも慌てることなく事業を継続していける状態にすることが出来ました。

変化に素早く対応したことはZENKIGENの危機対応力という経営の重要な能力の向上に繋がったと思います。またこの過程で経営のムダをかなり削ぎ落としより筋肉質な体質になったというプラス要因もありました。

そんな2022年を良い点、悪い点含めて振り返ります。

■2022年の振り返り


ZENKIGENの数字たち


・創業5年で保有データ数は約300万件を突破し、これまでの4年間の累計のデータ数を1年で倍増しました。
・採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」の利用者数は200万人を越えました。これだけの多くの採用・転職という人生の大きなイベントに関われるサービスになりました。
・2021年にリリースしたAIプロダクトで解析した動画数は18万件を突破し、こちらも加速度的に増え続けています。

次に人と組織について。

人と組織


2022年4月に5名の新卒社員を迎え入れました。
当社は創業から「新卒採用」を続けてきました。
4月に入社したメンバーは既に最前線で大活躍、会社にもとても良い影響を与えてくれています。12月の全社MVPは新卒から選出されたことは感慨深い出来事です。


このフェーズの会社に飛び込む自律性の高いメンバーばかりなので立ち上がりは非常に早く、各々の持ち場でValue体現をしており、とても頼もしく感じています。
2023年の4月にも新卒メンバーを迎えます。
"良い選択をした"と自信を持って思える会社にしていきたい、と決意を新たにしました。

続いて、採用DX事業への本格的な進化について。

面接動画データを活用した採用DX


ZENKIGEN、採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」にて面接動画データを企業の採用力向上に活かす新たな取り組みを開始

コロナ禍を経て採用面接は、オンラインとオフラインのハイブリッドへと進化しました。しかし、面接の多くが閉じた空間の中で行われ、候補者体験を悪くする面接が多くあることが現実です。
事実面接を受けてこの会社に入社したくないと思ったことがある人が85%もいます※
※出典  https://partners.en-japan.com/special/180326/

これは、閉鎖空間の中で面接が行われていることにより面接の実態を把握できず、その結果、課題の検証が行えないため改善も行われない、という悪循環が起きていることが大きな原因だと思います。これを改善するために面接官研修をやっている会社も極一部でありましたが、全ての面接に講師が同席して面接スキルを向上させることは現実的に不可能でした。

大塚商会様との取り組みでは、これまで蓄積された動画データをもとに、面接官ごとの「面接スキル」をAI解析によってデータドリブンに可視化し、課題の抽出から採用力向上に向けた改善施策に伴走させていただきました。

本取り組みはまだ道半ばではありますが、大塚商会様がHRテクノロジー大賞2022 採用部門優秀賞に選ばれたことは、AIの活用により採用を高度化した実績として非常に感慨深いものがあります。

実際の大塚商会様との取り組み事例はこちらをご覧ください。
🔗harutaka 導入事例「大塚商会の新卒採用担当が体感した『AI×面接の可能性』」https://harutaka.jp/case/14406
🔗HRテクノロジー大賞 2022 採用部門 優秀賞受賞 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001153.000009712.html

続いて主なメディア掲載とアワードをいくつか抜粋して。

主なメディア掲載


NHK『NHKニュース おはよう日本』とフジテレビ『Live News α』にて、オンライン面接トレーニングプロジェクト「メンココ」について取材

遡ること2022年3月、メンバーの発案から素晴らしいプロジェクトが実現しました。
オンライン面接を習熟したい「学生」と「面接官」をマッチングし、模擬面接を「harutaka」で実施、双方へフィードバックをお返しするというものです。
 
新卒面接シーズンということもあり、学生の募集は、開始から2時間余りで定員に達し、反響の大きさに驚きました。また、実際に模擬面接を行った学生、そしてソフトバンク様にご協力をいただき、NHK「おはよう日本」・フジテレビ「Live News α」にも大きく取り上げていただきました。
 
この取り組みを通じて面接に関わる方々が、一人でも多く「自分らしい面接ができた」「候補者の魅力を引き出せた」、そんな体験へと繋がっていることを願っています。
"事業を通じて社会へ貢献したい"という社員の思いは仲間としてとても誇らしく感じます。
https://note.com/zenkigen/n/n71be568e7c1c

他にもNikkei Financialでの単独インタビューをはじめとしてZENKIGENの取り組みを多くのメディアに取り上げていただきました。

主なアワード


1.「harutaka IA(インタビューアセスメント)」を活用し、面接精度向上に取り組まれた大塚商会様が、「第7回 HRテクノロジー大賞」において、採用部門優秀賞を受賞

上述の通り、大塚商会様では、「採用DX」の実例を示した事例として高く評価され、採用部門優秀賞を受賞されました。
お客様の取り組みを評価いただいたことが何よりの喜びとなりました。

2.「スタートアップワールドカップ2022」日本予選ファイナリスト10社に選出

「スタートアップワールドカップ2022」日本予選において、ZENKIGENがファイナリスト10社に選出されました。結果は惜しくも日本代表に届きませんでしたが、来場観客数1,000名以上、オンライン観客数2,000名以上、メディア60社以上という注目度で、ZENKIGENが過去に参加してきたピッチの中でも最大規模のものでした。

🔗スタートアップワールドカップ日本代表決定戦に出てみた話
https://note.com/nozawahibiki/n/nf4ab1f0bcbf6

3.採用DXサービス「harutaka」が、総務省後援「ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2022」基幹業務系ASP・SaaS部門にて先進技術賞を受賞

度々noteやSNSでも発信してきましたが、当社AIプロダクトの開発コンセプトは『人とAIの調和』であります。
これはAIが人を評価し、切り捨てるような人とAIが対立する世界観とは真逆です。人の可能性を最大化する技術開発・活用を推進してきました。
ASPIC IoT・AI・クラウドアワード2022では、当社独自のAI開発思想、  技術、そして"安全性"をご評価いただき先進技術賞を受賞いたしました。

以上が2022年の良い点の振り返りですが、決して良いことばかりではありませんでした。


■創業来の最大危機


創業以来コロナ禍による面接のオンライン化の後押しもあり順調に成長して来ましたが、創業来初めてMRR(毎月定常的に売上となる経営上の指標)が2月をピークに前月割れをするという事態になりました。

これは、コロナ禍によるリモートが2年目に入ったことで多くの企業がオンラインで仕事をすることが当たり前になり、面接も普段の会議や商談で利用しているzoomやmeet、Teamsの汎用ツールで良いのではないか?という社内の声やコロナによるコスト削減の圧力と相まって解約が頻発したためです。

我々のサービスは年間契約のため1年後に更新のタイミングが来るのですが、更新を迎えたお客様の凡そ半分か深刻な月にはそれ以上のお客様が解約するという、SaaS企業としての最も自信を無くす事態となったのです。まるで穴の空いたバケツに水を入れ続けるようなもので、これほど虚しいことはありません。

コロナで一気に取引数が激増した反動による解約が続くことで、多くのメンバーが自信を無くし、会社の雰囲気も決して良いものとは言えない状態が続きました。他責にしてお互いを批判し合うみたいな最悪な雰囲気にはなっていませんが、どこか諦めムードのような重い空気感です。

そんな状態がしばらく続き、8月にある出来事をきっかけとして創業来のどん底を経験しました。

そこで、harutakaの事業責任者のスイッチが入ります。

復活に向けて

彼は、マインドを変えなければいけないと考え9月、10月、11月と3日間×3回の合宿を実施することにしました。

徹底的な意識改革を行う合宿で、私も2回目の合宿に参加しましたがメンバーの顔つきや発言する言葉も、発する空気感も別人のようになっていました。

そしてチームで掲げたかなり難易度の高い目標達成をゴールに、燃える集団としてこの3ヶ月を走り切りました。

そして11月には2月から前月割れしていたMRRを元に戻し、12月にはその勢いが継続しチームで掲げた高い目標も達成し、MRRも過去最高を大幅に超えて着地することが出来ました。

harutakaチームの達成会では、この苦しかった期間と合宿以降の目標達成に全力で向き合った楽しさと周りのメンバーに対する感謝の言葉に溢れ、泣きながらコメントをする人も多数おり、チームが完全に一つになったことを感じました。

一方、この危機を脱した背景には意識改革だけではありません。

データ分析の強みの顕在化


動画データが300万、AI解析が18万と日本最大級の面接のビックデータを保有し、そのデータで面接の可視化が実現し(前述の通りこれまではブラックボックス)、可視化されたデータを当社の優秀なアナリティクスメンバーが分析すると課題だらけであることが分かります。
今まで可視化されず、データもないので課題とも認識されていなかったことがかなりクリティカルな問題だったことも浮き彫りになりました。

そして、ZENKIGENの優秀なメンバーはここで終わりません。課題解決のソリューションまで提案します。長いお客様で5年間継続して利用していただき、1社で数万のデータを保有しているお客様もいます。そのデータを分析し、ソリューションを提案し、採用のフローや採用基準なども変えることを伴走します。これを1年、2年と繰り返すことで採用を高度化することが可能となります。これにより、採用の在り方そのものを変える採用デジタルトランスフォーメーションを実現することが可能となりました。

これまで採用活動の振り返りは、ほぼアナログの感覚的な分析しか出来ておりませんし、人事部にデータアナリティストがいる会社は私が知る限り日本で数社しかありません。我々は、データという事実を元に専門のアナリティクスメンバー、時にデータサイエンティストも加わり分析します。ここまで出来る会社は我々しかいないと自負しています。

これまで溜まったデータを元にした分析・ソリューション提案までのケイパビリティを獲得したことと大塚商会様のように採用DXの事例を実際に示すことで、取引額も一桁変わるということが同時に花開いたということも危機を脱した大きな要因です。

2021年末の資金調達からSaaSショック、MRRの前月割れ、8月のどん底を経験してから12月の過去最高のMRR達成までこの1年は浮き沈みの大きな一年となりました。

この間私がメンバーに何を語り続けたか。

・汎用ツールに流れるお客様はそれがお客様にとってベストなこと。本当に必要なお客様に届けよう。→結果、ほぼ汎用ツールに流れるお客様の入替が完了し、顧客基盤が強固に。
・データがあれば必ず課題が顕在化し、その課題を解決することで採用DXを支援することが出来るようになる。
・我々がやろうとしていることは世界でもオリジナルなこと。イノベーションを生み出すのは弾み車の最初の2回転をさせるようなもの。必ず加速する。自分達を信じよう。

ということを繰り返し言い続け、メンバーを鼓舞しました。

激動の2022年を振り返り、この危機を乗り越えたことで強い組織になりましたし、メンバーのやる気も意識も会社の雰囲気も変わり次のステージに進んだ実感があります。

最後に、2023年はどんな1年にするのかについて。

■ZENKIGENの2023年


世界的な大激変の2022年でしたが、2023年も複雑性を増し、不確実で近未来を見通すことすら困難な1年になると思っています。

従って危機を乗り越えたからと気を緩めることなく、今年1年は地盤を固める1年にします。

質実剛健を維持しつつ、harutaka事業は大塚商会様のような採用DXの事例を多く作り出していきます。前述の通りソリューション提案をしますが、我々は労働集約型のコンサル会社を志向することはありません。これまで同様ソリューション提案をする中で次のAIプロダクトを作り出すサイクルを回します。

これを1年、2年、3年と続けていくことで我々にしか提供できないプロダクトを多数生み出し、採用の在り方を変革していきたいと思います。

そして、リリースして1年が経つ1on1の改善サポートAIのreviiについて。

この1年でお客様の課題解決に繋がる手応えをいくつも得ました。ここに至るまでにクイックにPDCAを回し、何度も何度もバージョンアップを繰り返しました。提案書に至ってはこの1年でVer100(100回以上書き換え)を超えるほど、お客様との対話の中からどう課題の解決に繋がるのかを追求して来ました。

チームで一丸となり新規事業を立ち上げようと切磋琢磨する姿は大変頼もしく、このチームなら事業として成功させることはもちろん、人的資本の開示に世界にないユニークでオリジナルなデータを元に、人的資本経営の指標化を実現出来ると思っています。

harutakaが現在の主力事業であることに変わりありませんが、reviiがharutakaを凌ぐ事業に育つための地盤を固める1年にしたいと思っています。

この1年で我々がどこまで進化することが出来るか。私自身が一番楽しみであります。

以上、例年通りかなり長くなりましたが2022年の振り返りとZENKIGENの2023年についての説明となります。

これまでと変わらず『テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する』という当社のビジョンの実現に、メンバーと力を結集して邁進して参ります。


株式会社ZENKIGEN                            代表取締役CEO
野澤比日樹

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?