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1枚だけ、1日限りの写真展に行ってきた

東京・市ヶ谷の外濠の景色が好きです。もう葉桜になりかけていますが、この時期は特に。と言いつつ、私が先週市ヶ谷へ行ったのは桜ではなく、親しくさせていただいている写真家の写真展を見るためでした。平日にもかかわらずたくさんの人たちがギャラリーの扉を開けて入ってきます。

作品は宇佐美雅浩さんの《声なきラガーマン 神宮外苑 2023》、これ1点だけ。展示も平日である木曜日の1日だけ。宇佐美さんオリジナルの「Manda-la」プロジェクトの最新作です。

「Manda-la」のオフィシャルな解説はこうです。

さまざまな地域や立場におかれた人々とその人物の世界を表現するものや人々を周囲に配置し、仏教絵画の曼荼羅のごとく1枚の写真に収めるシリーズで、20年以上にわたり続けているプロジェクト。

https://mizuma-art.co.jp/2404_usami_rugbyman/

今回は、神宮外苑前の再開発がテーマになっていました。この作品を作ろうと思ったきっかけは、あるメディアの取材で東京大学准教授の斎藤幸平さんの話を聞いたことだそうです。
斎藤さんが話したのは、「3.5%の人が本気になれば、社会は変えることができる」というアメリカ・ハーバード大学の政治学者のエリカ・チェノウェスらの理論。神宮外苑の再開発に際して、何もできないと傍観するのではなく、自分の作品を通して世の中に問いかけたいという思いを強くしたのだとか。

賛否両論ある神宮外苑の再開発です。メディアとしても簡単には報じることができません。ボランティアで協力してくれるスタッフを集めることも、これまでの作品以上に難しかったと言います。宇佐美さん自身がこの作品作りの期間に10キロ痩せたという裏話も。

激論を交わすのではなく、1枚の静かな写真で思いを伝えようとする写真家の行動力に、あらためて敬服しました。

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