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もし「IKEAの部屋」に西洋の名画があったら?評判の企画展に行ってきた

国立西洋美術館。行ったことがなくても、東京・上野駅を降りると目に入ってくるコンクリートの建物を見たことがある人もいるのではないでしょうか。企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」が面白いと聞いて、連休中に行ってきました。

美術館前の広場は観光客がたくさん。警備員さんがずっと巡回していました。

西洋美術館と言えば? 日本唯一のコルビュジエ建築。名のとおりモネやロダンなどいわゆる西洋美術を所蔵。プラド美術館などヨーロッパの美術館のコレクション展がある——。

65年の歴史の中で初めて「現代美術」を大々的に展示したということ、それを知ってこれは特別な思いのある企画展に違いない、と興味をそそられました。

まず驚くのは展示の仕方です。

西洋美術の所蔵作品と、現在も活動するアーティストの作品がコラボレーションしています。所蔵品のある西洋美術館だからこそできることですね。

一例として、アーティストの小田原のどかさんのインスタレーションでは、ロダンの「考える人」は転倒させて置かれていました。これ本物?と思わず二度見したほど。ロダンの彫刻(別作品)が関東大震災で被災したことを背景に、小田原さんは「地震大国においてそびえ立つ彫刻を展示する」ことの意味を問いかけていました。

二つ目は、パネルの問いが一つひとつ心に届くものだったこと。

例えば、日本に「西洋美術館」があることをどう考えるか?あなたたちはなぜ、過去の記憶を生き直そうとするのか?……つい立ち止まって考えてしまいます。

図録。後で読もうといつも思うのですがただコレクションになっています。

そして何より、展示の最後に行くほど、小難しいことを考えなくても五感に迫るビビッドな色づかいの作品や、思わず笑いがこぼれるものが続くこと。例えばIKEAの家具でコーディネートされた部屋が突如現れて、その中に西洋美術館のコレクションである油絵が飾ってあり、美術作品とは何かを問いかけます(これもコラボレーション)。

次の予定があったので、もっと長くいたかった!と感じる企画展でした。あとから知ったのですが、3月のプレス内覧会では出品アーティストが「パレスチナでのイスラエル政府のジェノサイドに反対」と抗議文を読み上げたのですね。ちょうど『自壊する欧米』を読んだばかりで、内覧会に行きたかったとも思いました。展示は5月12日までです。

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