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陽に照らされた

引越しの準備を進めているせいで、絵が描けないので若干の不満がありつつ、でも部屋はスッキリ広々としているおかけですごくよく眠れるようになった。今日も10時間以上寝たはずだ。そんなわけで昨晩もnoteを書きそびれた。

私は寝るのが大好きなのだけど、普段は3〜5時間程度に留めている。

小学一年生のとき、事故に遭って数週間入院していた時期があった。

母が、「頭を打って、頭のみそがぐちゃぐちゃになったから入院しているのよ」としか言わなかったので、実際のところ、何がどうなってどうなったから退院できたのかよくわからない。

手術はしていないらしいけど、眠っている間に何かしらの処置を受けていたのかもしれないし、もしかしたら本当の私はまだ眠り続けていて、夢を見ているだけなんじゃないかと思う時がたまにある。

そのくらい、事故にあった時のことと、その後の入院生活は朧げだが、小学一年の3学期と春休みは、寝て起きてを20回ほど繰り返す間に過ぎ去った。

事故に遭ってから、3回目に目が覚めたとき。
ものすごく大きな音と、自分が寝ているベッドに何かがぶつかってきた衝撃に驚いて目を開いた。

しばらくの静寂の後、私と隣のおばあさんとのベットの間の床から、何かの重低音が定期的に聞こえるなと思って耳を澄ますと、それがおばあさんの吐く息に合わせて発せられた唸り声だと気付いて、ベッドから落ちたのだとわかった。

ナースコールを押したかったけど、身体が動かせないし、ナースコールがどこにあるのかもわからなくて、「はやくだれかきて」って必死に願った。

結局自分がナースコールを押したのか、巡回で訪れた看護師さんがたまたま通りがかったのか覚えていないが、看護師さんが病室のドアを開けて入ってきて、カーテンをすごい勢いでシャッと閉めたあと、たくさん人が出たり入ったりするのがカーテン越しにわかり、安心したのか眠ってしまった。

次に目が覚めたとき、カーテンが開いていて、綺麗に整えられたベッドが見えたときは驚いた。

自分に何かがあって病室を移動になったのかと思ったが、そうではなく、眠っている間におばあさんが亡くなったのだと母から聞いた時に、私がもっと早く看護師さんを呼んでいれば、おばあさんはまだ生きていたのかもしれないと思った。

私はそのとき身体が動かせなかったし、おばあさんは認知症のためベッドに手首を固定されていたので話したこともなかったし、顔も見ていなかったのだけど、あの日、窓から差し込む陽の光に照らされた空のベッドのことをいつまでも忘れられずにいる。

長く眠ったときは、いつもそれを思い出す。


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