【サンモニ】使用済み核燃料の廃棄方法 世界の潮流は地下埋設 地震の多い日本ではまだ暗中模索


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原発“核のゴミ”最終処分場どこに…10万年安全な場所ある?「破綻」指摘される核燃料サイクルとは?【サンデーモーニング】

原発から出る”核のゴミ”をどこで処分するのか、日本では、その場所選びが難航。さらには、そもそも使用済み核燃料を再処理して利用する「核燃料サイクル」の破綻も指摘されています。このまま原発を使い続けても大丈夫なのか…日本と世界の現状について、手作り解説でお伝えします。

「トイレのないマンション」

原発は「トイレのないマンション」に例えられています。原発から出る高レベル放射性廃棄物=“核のごみ”を処分する場所がないからです。
日本では使い終わった核燃料を、再処理施設でウランとプルトニウムを取り出して、リサイクルする計画です。その時に残った液体=廃液が“核のごみ”です。これをステンレスの容器に入れてガラスで固めたものがこちら。放射線量は極めて高く、ヒトが20秒以内に死んでしまうほどです。

地下深く埋める「地層処分」とは

この核のごみを処分する場所は決まっていませんが、処分方法は決まっています。厚さ20cmの金属の容器に入れ、さらに厚さ70cmの粘土で覆います。これを、最終処分場の地下300mより深い岩盤に閉じ込めるのです。毒性が自然界並みになるまで、最大10万年かかるといわれています。

宇宙・海洋に捨てられない理由

この地下に埋める方法以外にも、1960年代から「海に捨てる」「宇宙に捨てる」方法も検討されましたが、海は海洋投棄を規制するロンドン条約に違反すること、宇宙は打ち上げに失敗して爆発するリスクがあるため、採用されませんでした。世界各国も地下に埋める方法を採用し、フィンランドでは最終処分場の建設が進んでいます。スウェーデンも建設場所が決定、フランスは場所の選定が終わり、建設計画を政府に申請中です。

「容量の8割」に迫る使用済み核燃料

さて、日本では最終処分場がないまま半世紀以上、原発を使ってきました。この結果、全国で1万9千トンの使用済み核燃料がたまっています。いまは各原発の敷地内などで保管されていますが、すでに保管できる量の8割まで達しています。

さらに、その使用済み核燃料をリサイクルする青森県六ケ所村の再処理工場は、1997年に完成予定でしたが、26回も延期を繰り返し、まだ完成していません。総事業費は14.7兆円、電気料金を通じて国民が負担することになります。

核燃料サイクルは「見直し必要」

そもそも、この核燃料サイクルは「夢の原子炉」とアピールされた高速増殖炉の稼働を前提にしていました。使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを使い続けることができる原子炉ですが、高速増殖炉「もんじゅ」はトラブル続きで、実用化できないまま廃炉が決まったのです。長崎大学の鈴木達治郞教授は「核燃料サイクルは破綻している。費用がかさむ再処理を続けることで国民負担が増え、見直しは避けられない」と指摘しています。

政府は”原発回帰”

そんななか、岸田政権は、原発の新たな建設や60年を超える運転を可能にする方針を掲げています。「トイレができる見通しが立たない中、核のごみがたまり続ける」。そんな状況が続いています。

(「サンデーモーニング」2024年2月18日放送より)