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WEEKLY OCHIAI 落合陽一×見城徹×箕輪厚介「出版業界をアップデートせよ」

7月4日放送のWEEKLY OCHIAIのテーマは、「出版業界をアップデートせよ」!

ゲストは幻冬舎の見城徹さん、箕輪厚介さん。今、勢いのある出版社の社長と「ビジネス書、もうこれでいいじゃん。」がキャッチフレーズのNewsPicksBook編集長がゲストということで、「神回」との声も多数上がりました。

出版業界は、アップデートできるのか?業界のど真ん中にいるからこその熱い議論の一端をお届けします。

毎回お楽しみのおつまみ、今回はおいなりさん!
六本木おつな寿司」のもの。落合さんは「柚子がきいて、美味しい!」とのことでした。

「異常な個体」に反応する、稀代の編集者

見城さんと落合さんの初対面は「最悪だった」とのこと。なんと、落合さん、会食に遅刻をされたそうです。堀江貴文さんがセッティングされた会食で、秋元康さんなどもいらしたというから、想像したらとんでもない状況です。

見城さんと言えば、遅刻厳禁。「礼儀とは初対面のためにある。」という、ご本人曰く「実態のないこと」にこだわるタイプで、意外にもそんなご自分を自分でだめだな、と思うのだとか。結局その日、落合さんは10分経っても来なかったそうです。

しかし、見城さんはこのように第一印象でだいたい揉めて、それから仲良くなるケースが多いそうです。「異常な個体を発見すると、編集者の目になる。」つまり、変な奴にしか興味がないという、これが熱狂の編集者かと驚かされます。

衰退する出版業界。アップデートの方法は、なし!?

出版業界を見渡すと、活字の衰退はここにきて極まっておりこの20年ずっと落ちてきているのが現実。業界の衰退は、数字を見ても明らかです。

書店数に至っては3分の1以下になっているというデータが示されましたが、このデータ自体が2014年のものなので、今はもっと少ないことが想像されます。書店がチェーン店化している今、いわゆる「街の本屋」がどんどんなくなっているとの指摘が。

出版業界の課題について投げかける佐々木さんに対し、見城さんは「課題なんかない、しょうがない」と答えます。課題を見つけて乗り越えようとしようとしても仕方ない、と。


一方、箕輪さんは「本は信者を作る」と話します。あらゆる本にはある偏った思想が好きな人をまとめる力があり、ネット時代ではそれが可視化できるから横展開ができるのだそう。あくまで本で利益を出すということではなく、オンラインサロンやイベント、物販などに展開することができるツールとして捉えることで、新たな展望を開くことができそう。
とはいえ、そこまで踏み切る勇気のある出版社がまだないのが現実です。

本を買わなかった人たちが買っている、NewsPicksBook


衰退していると言われる出版業界において、NewsPicksBookは好調です。2018年上半期の単行本のベストセラーを見ても5位までに『お金2.0』と『日本再興戦略』の2冊がランクイン。これは一体、なぜなのでしょうか?

例えば落合陽一さんの本、『デジタルネイチャー』はインテリアとしての本と捉えられている傾向があるようです。「落合陽一の本を読んでいる」ということがもはやファッションになっており、ファッションでしか世の中は変わらないと箕輪さんは言い切ります。この本はKindleで買った人が紙でも買う傾向が多いそうで、『魔法の世紀』と並べておくとかっこいいという感覚は、確かにありそう。

そこでNewsPicksBookで「月刊落合陽一」を出そう!という話でひとしきり盛り上がります。落合さんのような知的スターが何人も出てくれば、出版は活性化する、と見城さん。
落合陽一、メタップス佐藤航陽、SHOWROOM前田裕二」の三人は、日本の希望であり、アラサーあたりで面白い人が出てきているというのが出版業界にとって救いの状態と言えるのかもしれません。

落合さんは現在小説を執筆中で、そのテーマは「共感覚」とのこと。今は、表層的な意味でものを捉えすぎているから、色や音など原感覚的なものにいかに戻すかということを毎日考えているのだそうです。
落合陽一は魔法使いであり、日本のポジティブな希望。芥川賞を取るでしょう!と場の期待は高まります。

オンラインサロンとは茶道である。今、茶道をやるべき理由

「もし今、見城さんが30歳だったらどういうコンテンツビジネスを立ち上げますか?」
そんな問いかけを受けての見城さんの答えは、「出版社ではない。」というもの。

それを受け、同じように「落合さんならどういうメディアビジネスを立ち上げますか?」と問われた落合さんの答えは、なんと「茶室」。
ここで、落合さんの千利休論が炸裂。落合さんによると千利休のすごいところは、みんなが価値をもっていないかったところに価値をつくる政治力でした。

みんなが「価値」だと思い始めたら花器も茶器も作るし、部屋のスタイルも作る。茶道という一連のプラットフォームを全部作り上げ、それがかっこいいというライフスタイルを当時の日本社会に組み入れてしまったことがかっこいい、と。そしてそれは、今も綿々と続いているのです。
だから今、プラットフォームとしての茶道をやるべきであり、昨今流行りの「オンラインサロン」とは、本質的には茶道なのだそうです。

活字を官能にできたら、出版ビジネスだって生き残る

今の子供たちは、生まれた時からスマホがある世代。そういう人たちにとって何が快感か?を突き詰めていかねば出版もメディアも生き残ることはできません。
どうでもいい日本語は世に溢れており、活字文化として情報を得るためだけのものには、もうみんな疲れているのが現代。だからこそ、読むことが美しい日本語には飢えているそうです。

前出の『デジタルネイチャー』のまえがきは、難しくてわからないけど、読んでいて気持ちいいという感覚が受けているのだそう。同様に、見城さんは著書『読書という荒野』において通奏低音のように吉本隆明の『マチウ書試論・転向論』を通しているとのこと。

最後にまとめとして発表された3人の「一言」からも、官能、気持ち良さというキーワードが伝わります。

落合陽一さんは「歌詠みのような文学」、そして箕輪厚介さんは「フェス」を選びました。最後にすべてを持っていたのは、見城さんの掲げた一言、「SEX」!

SEXしたような気にならないコンテンツは、だめであると。背中を電気のように走る背徳の快楽がコンテンツに込められて、見た人、読んだ人がそこでイッちゃわないとだめだと言います。

いつの時代も理屈など関係なく人を惹きつけてきたものは、人間が死ぬ限り普遍的なもの、そして官能させる文章や映像でした。これが出版業界のアップデートのために必要なものだと。さすが見城さん、すべてを一言でまとめてくださいました。

毎度、「神回」と称されるWEEKLY OCHIAI。その広さと深さはどこまで進化するのでしょうか。

最近では、ダイジェスト映像も公開されるようになり、その再生回数は多いものでは30万回に迫る勢いです。
まだWEEKLY OCHIAIご覧になったことがないという方は、ぜひダイジェスト版から見てみてください!

※本記事は、2018年7月4日に放送されたWEEKLY OCHIAI「出版業界をアップデートせよ」をまとめなおしたものです。

文:柴山 由香
写真:池田 実加

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