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学ぶための準備

「指先の学習」

頭の良し悪しの判断になることが多い算数、数学、この教科を嫌いだという人が多いのは何故なのでしょうか。算数や数学は、その性質上はっきりとした竹をわったような感覚があります。2+3=5であって、6でも4でもない。このような算数の特性が子どもの性格と一致します。なぜ? どうして? という疑問に対して実に明快な解答が出てくるそれが算数です。また、基本が分かるとだれの手助けも必要なく一人でできるのも算数の特徴です。

しかし、このような性格を持っている算数が3年生頃から次第に苦手意識を持つようになります。高学年では半数以上が算数嫌いになると言われています。これには幾つもの理由があるのですが、最も大きな理由は指導法であると考えられます。算数指導は、言語化から記号化へと進んでいきます。記号化というと難しく考えがちですが、漢字を覚えるより早く簡単です。記号は漢字の象形文字と同じで意味を伝える役目を持っています。「+」は交差点など、道を通り集まってくるイメージです。「-」は、樽や水差しに入っている水が減っていく様子をイメージしています。「÷」は上下に分けるなど、分かり易いイメージを記号にしたのです。

「2と3を加えたものは5に等しい」算数では、まず具体的なことを言語化します。これを記号化すると「2+3=5」となります。とてもシンプルで分かり易くなります。ここに出てくる記号のイメージ作りは幼児期から行えます。というより、系統性を持って指導することで、より数の学習を一般化できると思います。

数学習を理解定着させるには、できるだけ早く一般的な法則を学ぶことでしょう。それは日常生活の中に満ちあふれています。記号や数式の指導の前に経験すべきが、当たり前の法則を知るということです。「+」などの意味を持つ言葉を具体的な事柄に当てはめていけばいいのです。大小比較の際の「<」という記号では、ブドウの一粒とリンゴ丸ごと1個を食べてると、リンゴでは大きな口を開けなければなりません。大きなものには大きな口を開ける、ここからブドウ<リンゴという考え方が出てきます。このように、分かり易い法則を体験的に指導することで、抽象への道筋ができあがってきます。

当たり前のことを当たり前にできようにするため指導する。基礎学習を疎かにする訳にはいきません。これからの社会は算数・数学の力を借りなければ成り立たない筈です。そのためにも、算数を好きになって貰いたいのです。劣等意識が芽生えてきてからでは、自分自身に対して中々自信を持てなくなるので、学習のスタートは幼児期が最も適しています。その学習も、直ぐに抽象化、記号化、数式化と指導を急ぐと、法則生の理解やや概念形成が遅れることがあるので注意が必要です。(後に文章題でつまずく原因にになる。文章を読んで記号化、数式化ができない)

分かり易く、イメージもしやすい指導がタイルです。数指導のタイルは、抽象化、数式化、記号化の前で指導されます。視覚、感覚に優れた教材なのですが、タイル指導には、握る・取る・並べる、そろえる、決まった位置に置くという操作学習が組み込まれています。また、タイルを書くという学習もあります。では、これらの行動学習は指導せず直ぐにできるものなのでしょうか。幼児期の学習はより具体的指導が臨まれます。そのため、言語・数という知的領域を支える指導が必要になります。それが「知覚」分野です。これも、ペーパートレーニングではなく、手先、指先、体全体を使うフィジカルトレーニングが必要です。「指先は突き出た大脳である」この言葉の意味する指導こそ現代に生きる子ども達に欠けている指導です。

2013/4/11


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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