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Vol5. ソウレッジ インタビュー【NPO Times】 前編

一般社団法人ソウレッジは、あらゆる人々が安全に生活できる社会を築くことを目指し、性暴力や意図しない妊娠によって人々が大切なものを奪われることがないようにすることを目標に活動しています。その取組は、製品開発・研修受託・政策提言プロジェクトなど非常に多岐にわたっています。

今回は代表である鶴田七瀬さんに、現在の団体の活動内容、どんな人が活躍しているのか、さらに鶴田さん自身の大学生から今までのご経験についてもお話を伺うことができました。

前編では、主に団体の活動についての内容をお届けします。


中高生でも、すぐに緊急避妊薬を手に入れられる国に

Q1. 直近の団体の活動内容について教えてください。

ソウレッジは元々性教育の教材を作るために発足しているんですけども、直近の1年くらいで性教育が行き届いた子たちであっても避妊を始めとした行動を自分で起こしていくことは依然難しい、という課題が見えてきました。

そのような背景から、最近は避妊薬の費用を私達がかわりに負担することで避妊薬の無償化・無償提供を行っています。仕組みとしては、病院に子どもたちが行き無料で避妊薬をもらい、後で病院から請求書を私達が受け取り、お金を負担するという形です。

性被害を受けている方たちとは、直接関わるというよりも避妊薬を受け取るタイミングで私達のLINEに登録をしてもらい、相談窓口として関わることが多いです。

Q2. 最近特に力を入れている活動はなんでしょうか?

最近は政策提言の機会をいただくことが増えていて、今後もその割合が徐々に増えていくのではないかと考えています。

内容としては、これからは避妊薬無償化を目的として避妊薬の公費負担を提言を行っていく予定です。

諸外国と比べても、日本では避妊薬が高額になっていて、先発薬や緊急避妊薬だと1錠1万5000円〜2万円程度になっています。この値段では、大人は買えても性被害を受けた小中高生だと買えないです。

私が講演に行ったときにも、彼氏から無理やり性行為をされてしまった中高生から、どうすればよいかという相談をたくさん受けました。その時は金銭の支援はできないので断り方のアドバイスをしていましたが、その子がちゃんと断れるようになるまでの期間で妊娠しちゃったりするんですよね。そうなると学校を辞めないといけなくなったり、生活の中でトラブルが起きてきてしまうので、妊娠を予防するために避妊薬がちゃんと使えるっていうのはすごく若者にとって重要なことだと思います。

人生にすごく大きな影響を与えることなので、公費で避妊薬を負担出来るのは大事だと思ってます。


学生、プロボノ、多様なメンバーが活動するソウレッジ

Q3. 貴団体ではどのようなメンバーが活躍していますか?

一言にソウレッジで活動しているといってもその幅は広く、色々な関わり方があります。

例えば、某コンサルティングファームで勤務していたメンバーが出入りしていたり、某製薬会社の社員さんや薬剤師の方に伴走してもらうプログラムでプロボノとして関わってくださっている方もいます。あと、私達は株式会社UNERIと親交があり、お互いのメンバーの行き来もあります。

学生では、早稲田大学、筑波大学、関学、静岡県立大学などの学生が活動に参加しています。

私の直接の勧誘で入る人もいます。直接的な被害経験があるわけではなくても、問題への共感や関心を持つ人々が集まっています。

全体では、社会問題に関心を持ち、性差別的な発言に疑問を抱いたり、社会人経験を通じてそういった問題に直面した経験を持つ人が多いです。

すごく当事者意識を持っている人ばかりではなく、いろんな組織がある中で自分の目指す未来とそんなに差異がないしソウレッジがいいなーと思うくらいの感じだと思います。

ある意味、普通の会社みたいなモチベーションで集まる人達もいるという感じです。


うどん1杯5000円の世界にも目を向けている

Q4. 団体の目標を達成する上で課題に感じていることはありますか?

直近では、寄付金を集めるのが日本の中では頭打ちになってきているので、どうやって外貨を入れていくかということを考えてます。

 ーー頭打ちになっているというのは、どのような経験からそう思われたんでしょうか?

大前提として、日本がすごく貧しくなっているという実感があります。「東横キッズ」と呼ばれるような街に出歩く子供達が急増しているし、ホームレスになって風俗で働く女性達が一気に増えることで数年前の半分以下に単価が下がって、1回5000円で性的サービスを売るという状態にもなっている。これって仮想の人ではなく現実に起こっていることなんですよね。

平均給与がここ20年くらいずっと上がっていない中で、他の団体に寄付しようとか、他の人にお金を分け与えるという発想の人は少ない。

一方で海外に目を向けると、例えばニューヨークではうどんが1杯5000円というような世界観になっている。

そのような状況から考えても、日本でお金を集めるよりも海外でお金を集めるほうが楽だなという感覚があります。日本だけだと難しいし、日本だけで寄付を集めないといけないという制約もないので。

海外では小さな国の国家予算位のお金をもっている人が結構いて、さらに年齢を重ねた人であれば自分が亡くなる前に使い切らなきゃ、という感覚があります。そのような人からお金を持ってくる方が案外楽だったりしますよね。

でも、日本でお金を使い切らなきゃみたいな感覚を持っている人は限られている。市民団体同士ですら、寄付を集める上では敵同士のような関係になっているのが現状です。




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