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荒川クリーンエイド・フォーラム インタビュー≪NPO Times≫

はじめに

NPOTimes vol.1の取材先は、
特定非営利活動法人 荒川クリーンエイド・フォーラム(以下ACF、敬称略)です!
ACFの理事兼SDGsプログラムコーディネーターの藤森様(以下敬称略)に取材しました!


ごみ問題と向き合い、自然とともに生きる社会を目指して

NPOTimes)
まず初めに、活動内容やミッションについて詳しく教えていただけますか?

藤森)
私たちは荒川での清掃活動を中心に荒川の環境保全をしている団体です。 
そして、私たちのビジョンはごみ問題と向き合い、自然と共に生きる社会
を目指すこと
です。

一人ひとりが問題に向き合うことが課題解決には必要なので、これをビジョンとして掲げています。

また、私たちの荒川での活動は、実施者と行政との間の連携がうまく構築されており、全国的に画期的な取り組みとなっています。これをモデル事例として、全国的な河川ごみ問題につなげていくことが私たちのミッションです。

その繋がりで、ごみ拾いをしたいけどどうしたら良いか分からないという企業や団体さんへのごみ拾いのコーディネーション活動であったり、企業の新人研修として行われる社会貢献活動をお手伝いする、研修事業も取り組んでいます。


NPO Times)
ごみ拾い活動は、年間どれくらい行っているのでしょうか。

藤森)
私たちの活動は荒川の下流域を中心に行っていますが、上流の全体を含めると、年間で150回以上行っています。

NPO Times)
活動の規模はどれくらいですか?

藤森)
活動に参加される人数は、今はコロナの影響で少ないですが、年間1.2万人程度です。

1回当たりの規模は企業だと、各地の支店や事業所等から参加者が集まるので、100人を超えることもありますが、平均するとだいたい20〜30人でごみ拾い活動をしています。

NPO Times)
荒川での活動をモデルとして全国に広めていきたいとおっしゃっていましたが、荒川ならではの取り組みはどのような点にあるのでしょうか?

藤森)
クリーンエイドは元々国の事業としてあり、私たちはそのお手伝いをしているという立場です。
一般的に例えば清掃時には、行政に事前連絡したり、ごみの処理について決めたり等、細かいことを確認し、場合によってはごみの回収が難しいなどから実施ができないといったことになったりします。

ですが、荒川の場合は沿川自治体と荒川下流河川事務所が協力して回収する取り決めがされており、いつでもどこでもごみ拾い活動ができます
なので、荒川のごみ拾いがしたい場合は、私たちに連絡頂ければ調整をしますので、参加される人の負担が少なく、そこが画期的な点となっています。


「調べるごみ拾い」で見える化し、参加者とともにごみ問題を考える

NPO Times)
ちなみに、「調べるごみ拾い」についてホームページで拝見したのですが、そこについても詳しく聞かせてください。

藤森)
調べるごみ拾いというのは、ごみの種類、数の調査をする活動です。この活動を実施している理由は大きく3つあります。

1点目は参加者が単なるごみ拾いだけでなく、プラスアルファでどんなごみがいくつあるかを数えることで、一度立ち止まって、なぜそこにごみがあるか考える時間ができることにあります。

2点目は、調査自体がICC (International Coastal Cleanup) と呼ばれる活動の一端を担っていることです。ICCでは、海岸清掃調査を行っているのですが、調べるごみ拾いの活動は最終的にその調査も兼ねております。最終的にはJEANというICCの日本の機関に提出をして調査結果として取りまとめられます。

3点目は、見える化で河川ごみ問題の実態が明らかになることです。なにか問題を解決する際には、行政や他の団体と協力する必要がありますが、その話し合いを取り付けるときに、感覚的に訴えるのではなく、数字で客観的なデータを示すことにより、根拠付けになり連携しやすくなります。

ACFの理事兼コーディネーター兼「なんでも屋」の藤森さん

NPO Times)
藤森様はACFにおいて、どのような役割・業務をしていますか。

藤森)
私は理事とSDGsプログラムコーディネーターをしております。
理事の役目は団体の運営について、全体的に考える業務をしてます。

普段は、コーディネーターとして企業のCSR活動や研修活動の企画であったり、実際に現場でサポートを行ったりしています。
あとは、広報関係で情報発信を行ったり、助成金の申請をしたりと、なんでも屋な感じです(笑)。

環境に関わる仕事に就きたいと思い、NPOへ転職

NPO Times)
藤森様がACFに参画したキッカケは何でしょうか。

藤森)
そもそも、私の地元が長野県の諏訪市というところで、自然豊かな地域なのですが、なんとなく自然を守る仕事に就きたいと思っていました。大学では水処理の研究をしており、環境問題について学んだ後、一般企業に就職し、営業職をしていました。

でも、やはり何か違うなと感じ、1年ちょっとくらいで仕事を辞め、直接環境に関われる仕事を捜す中で、NPOに関心を持ちました。ですが、いきなりこの団体にたどり着いた訳ではなく転職でNPO活動をしてみたいという人たちのための短期の社会人スクールに参加し、NPOの運営を学びました。その後環境系の非営利団体のポータルサイトでACFを知り、実際に入職したという形です。

NPO Times)
元々自然に興味があったとおっしゃっていましたが、その中でもなぜ河川ごみ問題に関するNPOに入られる決断をしたのでしょうか。

藤森)
環境に関わることができればなんでも良かったというのもありますが、他の団体も見学した中で、ごみ拾いのような自分で体を動かして実際の現場で活動することができる団体であることに魅力を感じました。それまでは、ごみ拾いは学校の行事等で行ったことがありましたが、自分から積極的に行ったことはありませんでした。

NPO Times)
最初に一般就職をされていたということで、かなり勇気のいる転職だったのでは思うのですが、NPOに転職を決意した理由は何なのでしょうか。

藤森)
一般企業に新卒で入ると、手取り19万くらいですが、当時1人身だったこともあり、自分の生活水準、貯金を考えると給料が下がっても大丈夫だなと感じました。確かに、1年という短い期間で仕事を辞めることには悩みましたが、自分のやりたいことを直にやれることがしたいという想いが強かったです。

NPO Times)
藤森様はACFにどれくらい在籍していますか?

藤森)
約8年ですね。

NPO Times)
ここまで長い間この活動を続けられている理由はなんでしょうか。

藤森)
自分自身もここまで続けていくとは思ってなかったのですが(笑)
最初は仕事のいろはがみについていなかったので、最初の2〜3年は必死に仕事の進め方を覚えていました。
その後は仕事の進め方に余裕ができ、そこからどんどんやりたいことをやっていったという感じです。この仕事は年間スケジュールをこなすと1年が早いので、気がついたら8年目になっていました(笑)
でもやっぱり活動を通じて様々な人とふれあったり、やりたいことは何でもできる環境だったことが続けられた理由なのかなと思います。

NPO Times)
自分がやりたかったことで実際に行った活動は
ありますか?

藤森)
Twitter、Instagram、YoutubeなどのSNS関係は、団体としてそこまでしっかりやってなかったところもあり、その部分は180DCJさんのお力もあり、しっかり運営できるようになりました。また広報物関係もすっきりさせる事ができました。大きくがらりと変えるというよりは、活動にも選択と集中を行い、余計なことを行わずにやれることで、モチベーションをあげることに注力できました。


ACFの魅力は現場でのごみ拾い活動と、企業とのネットワーク、そして「面白いこと」にチャレンジする柔軟性のある方針

NPO Times)
藤森様が考える、ACFの魅力は何でしょうか。

藤森)
色々ありますが(笑)やはりフィールドワークで、
実際に現場でごみ拾い活動ができ、さらに企業とも色々なネットワークができあがっていることは魅力なのではないかと思います。
また、今の事務局長の方針でもありますが、「環境系団体だからこうしなければならない」といった既存の枠にとらわれず、柔軟に面白いことを取り入れることができるというのは魅力だと思います。


ごみ拾い、事業系NPOならではの課題

NPO Times)
現在、藤森様がACFの課題に感じていることは
何でしょうか。

藤森)
ごみを単純に拾うという活動自体は、マンネリ化しやすいということですね。ごみ拾いは大事ですが、拾うだけでなくもう一歩進んだ形で根本的な解決を探ることも必要ではないかと考えています。また、ごみ拾いから発展して地域貢献や、
荒川に限らず活動を広げていくことができれば良いなと思います。

また、人とお金の問題は常にあります。
人については、事務局スタッフは30~40代くらいですが、もっと若い世代が入りフレッシュな考えを取り入れたりすることで団体の新陳代謝を図る必要があると思います。
さらには運営方針を決める理事会は高齢化しているので、意見が出なかったり参加が難しい方がいたりという課題があります。
 
 お金については、今の活動では事業収益は安定が難しい面があります。私たちは事業型のNPOなので、収益ありきで運営を考えるのですが、イベント企画屋さんという側面があるので、今回のコロナの影響でイベント自体が減り、収益が減ってしまったという問題があります。
加えて、クリーンエイドは国の業務なので、国が発注しそれを私たちが受注しています。これまで20年以上この受注を継続してきていますが、どうしても国の財政的な問題が影響するため、その発注がいずれ無くなる可能性があるという危機感も常にあります。あとは、会員も増やさないとですね。

メンバーは様々。ごみ問題に関心のある人、社会貢献したい人も、みんなと一緒に活動することが好きな人も

NPO Times)
ACFで働いている/活動している方はどのような方が多いのでしょうか。

藤森)
 やはりごみ問題に関心が高いという気持ちはベースにあります。ただ、他団体みたいに積極的に政策を提言していくみたいな運動家のような方はおらず、ただ単に社会貢献したい、単純にみんなで一緒に活動するのが楽しいというライトな考えの皆さんが多いと思います。

NPO Times)
スタッフの方々はどのような経緯で活動に参加されているのですか?

藤森)
基本的にはwebサイトで興味を持ってごみ拾い活動に参加してくれた上で、職員になってくれるという形が多いですね。また私達のインタビューが載っている本を読んで、問い合わせをしてくれたという人もいます。他には、今アクセサリー作りの活動をしているスタッフは、江戸川区の情報掲示板を通じて応募してきてくれたという経緯で参加してくれています。なので、本当に様々な方法で参加してくれていますね。

環境問題、社会問題に対して、ちょっとした活動をしてみたい!考えている人におすすめの活動

NPO Times)
ACFはどのような方々におすすめできる団体ですか?

藤森)
私たちの活動はごみ拾いがメインになりますが、なにか環境問題や社会課題に対して行動をしてみたいと思う人にとって、ごみ拾いはハードルが低いのではないかと思っています。そういった、ちょっとした活動をしてみたいという人にはこの団体のごみ拾いのボランティア活動はおすすめできます

NPO Times)
どのような方に来てほしいと思いますか。

藤森)
基本的には明るく、ちゃんとコミュニケーション取れる方ですかね(笑)コミュニケーションといっても、話が上手いとかではなくしっかりと報連相ができたりといったことや自ら積極的に参画できるという意味です。あと現場活動が多くあるので体力があることも大事です。またNPO法人は運営を継続させていくことが大事なので、経営的な考えを持ちつつ事業を自分で推し進める能力がある人に来ていただければ良いなと思っています。


NPO Times)
学生がACFに関わる場合、どのような関わり方がありますか?
 
藤森ー
現在、ACFではインターンの受け入れをしています。また、180DCJのように学生さんとの関わりを持って一緒に活動することもあります。
 
NPO Times)
実際に学生の方々と活動をして、どのようなことを感じますか?
 
藤森)
若い方が来て下さると、雰囲気が明るく元気になりますし、パワーや体力もあるので実働としても助かります。また、参加くださった方がどのような経緯で環境問題に興味をもったのかなどを聞けることで、今後の活動にも活かすことができると考えています。若い方々の考えを知ることで、団体としての情報や考え方をアップデートできます
 
NPO Times)
ACFの活動を通して、今後成し遂げたいことはありますか。
 
藤森)
もちろん河川ごみ拾い活動に参加してくださる人を増やしていきたいということもありますし、先程の課題にも挙げたように、根本的な解決に向かうような施策をしていきたいと思います。河川ごみをゼロにするということは不可能だと思うので、例えば河川の環境を整備して、一か所にごみを集まりやすくする等、今よりも大きい活動をしていきたいと思っています。今は企業さんのごみ拾い活動をコーディネートすること等をしていますが、そこから一歩進んだ取り組みをしていきたいと思います。
 
NPO Times)
根本的な解決とは、具体的にどのようなことでしょうか。
 
藤森)
今の現状だと、ごみを拾ったところもすぐ元に戻る状況になっています。今も河川の自然の形状や流量の問題でごみが溜まりやすい場所というのはあるのですが、それを整備してもう少し減らしていきたいと思います。

NPO Times)
最後に、藤森さんからこの記事をみる若者たちへメッセージを一言お願いします。

藤森)
ぜひ、気軽にごみ拾い活動に参加してほしいと思います!また、少しでもNPOの活動や社会課題に興味があるのであれば、1つ団体と関わってみる事は大切だと思うので、TwitterやInstagramなどから身構えずに情報収集してみるのも良いと思います


(取材時の写真)
真ん中:ACF藤森さん、左:NPO Times白木、右:NPO Times 梅谷


編集後記

私自身、180DCJの活動を通してACFとは長くお付き合いしているなかで、活動の面白さ、範囲の広さにはいつも驚かされています(笑)

今回ご紹介した活動以外にも、マイクロプラスチックを使ったアクセサリーを販売していたり、河川ごみ問題を知るiOSアプリを作っていたり、環境教育での活動もしていたり、、、!

興味のある方はぜひHPやSNSもチェックしてみてください!

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