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備前市の子どもたちが未来に無限の可能性を思い描けるように

だっぴの場は、様々な地域の人たちの思いによってつくられ、支えられています。今回は、備前市で「備前若者ミライproject」という実行委員を組織し、中学生・高校生だっぴを運営してくださっているNPO法人f.saloonの代表執行役・守谷さんにお話をお伺いしました。


守谷さんが備前市にやって来たのは2016年4月。地域おこし協力隊として赴任し、任期中に子どもの体験活動を実施するNPO法人f.saloonを設立。地域おこし協力隊の任期終了後も備前市に定住し、LEAD学習塾とNPOを運営しています。

――備前市には何をしようと思って移住したのですか?

田舎に行きたいと思っていました。でも、田舎に行くにしても何か仕事しないといけない。それで、教育もいいかなと思ったんです。というのも、備前市に来る直前まで母校の私立高校(大阪)で教育実習に行っていました。実習の3週間は先生と毎晩ごはん一緒に食べて、話を聞くなかで、教育もアリかなと思い始めていたのです。

地域おこし協力隊の制度は友達から教えてもらいました。田舎に移住したかった僕にはとても良い制度に感じたんです。

――教育のどんなところをいいなと感じたのですか?

僕が通っていた高校は先生とOBとのつながりが強く、学校を卒業しても師弟関係みたいなものが続いているように思います。人と人をつなぐことできることに魅力を感じました。

――現在の活動に至るまでの経緯を教えてください。

備前市に来てから、教育に関わる方々と知り合いました。学校の先生も学校の外で教育活動をする人たちも、双方で色々な考え方がありますが、当然ながらどれも良し悪しがあると感じました。

そこで、「その色々な考え方を選んだり、行ったり来たりしたら一番いいのでは?」と考えました。「良いor悪い」ではなく「選べる、知れる」。これを目的としてやったらいいと思いました。

また、備前市は教育熱心だとも感じました。就学前は色んな活動・サービスがあって、幼児期に関わっているプレイヤーは多いです。しかし、小学校からは関わるプレイヤーが少なく、習い事こそあれど、ぱたっと切れるんです。中高生はなおさら。

年齢が上がるにつれて、どんどん学校だけの関わりになって、学校への依存度が上がっていきます。僕は大阪にいたから地域と関わることはなかったです。備前は地域の色んな年代の人が関わっていていいなと思ったのに、小学生以降無くなっていくことがもったいない。

小学生や中高生にも学校外の選べる体験や活動があったらいいなと。機会と選択肢がたくさんあることがいいのではと思うようになりました。

ユースセンター「INBase」設立に向けての会議は高校生も参加

――f.saloonの活動とだっぴはどのように隣接していますか?

色々な機会があった方がいいと思っていて、機会の選択肢が必要な中で、大人と話をする機会はありません。その一つとしてだっぴは必要です。

だっぴと協働して得られたことの一番は、中高生とのかかわりだと思っています。先ほど、子どもの学年が上がるにつれて関わりが薄くなるという話をしましたが、それは僕たちや地域の人からの目線でも同様で、中高生との関わりは持ちにくく、その姿を捉えることは難しかったのです。

だっぴは、その関わりのきっかけになっています。地域の人に今の中高生の姿を伝えるという意味で地域に還元できていると思いますし、僕たちにとっても中高生の関わりからINBaseの活動につながりました。

小学生はまだリーチしやすいのですが、中高生はリーチしにくいんです。だっぴは中高生との接点の入り口になっています。だっぴのプログラム中に「この子(家庭環境的な意味で)気になるな」という子どもがいて、そこから接点をもち、別の活動や支援につなげることができたり、だっぴの活動からつながった子もいます。

また、僕たちの活動をオープンに認知させる役割もあると思っています。僕たちの活動は保護者にまだあまり知られていないのです。中学生だっぴを開催すると教育に関わってない人も来てくれるし、学校の先生にも僕たちの活動を知ってもらえます。保護者や学校の先生を通して、子どもと僕たちの活動がつながるきっかけにもなっています。

備前の人たちと中高生とのダンス動画で観光資源の広報

――活動のモチベーションって、どこにありますか?

モチベーション否定論者です(笑)どうやったらやる気でる?目標あったら?僕の場合はそうではないと思っています。僕の同級生は医者や研究者を目指す人が多く、とにかく話のスケールが大きかったんです。そのときはそのスケールをイメージできない自分がいました。

備前市では、自分がやったことがそのまま目に見えて返ってくる感じがしていて、それが楽しいんです。それは都会にはないと思います。町をよくすることで自分の生活自体が変わる。これは、やった方が得ですよね。

面白いと思ったことをやってみて、意味や整合性は後から見つけたらいいと思っています。

――今後の展望について教えてください!

特定のこれというのはあまりないのですが、予想外の面白いことが起こったらいいなと思っています。最近は、自分の周りの誰かにやってもらうことを意識しています。例えば、中学生だっぴの全体ファシリテーターを実行委員のSさんに任せてみたり。自分がやると変にまとまってしまう感じがして、偶発的な何かは起きない気がしているのです。

その時々でやりたい面白いことが生まれたら、それを誰かに投げてみる。そして何が起こるか。子どもにとっても、地域にとっても、偶然生まれる何かに興味が出てきています。

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