見出し画像

『ハンナのかばん』を読んで

こんにちは!インターンのあやかです。

今回は『ハンナのかばん』という本を読んだ感想を共有させていただきます。

ハンナは13歳の時にアウシュビッツで亡くなったユダヤ人の女の子です。11歳の時から亡くなるまで2年間テレジン強制収容所とアウシュビッツ強制収容所で過ごしていました。

満足に食べることは到底できずいつ殺されてしまうかも分からない過酷な状況でしたが,引き離されてしまった家族との再会を心待ちにして必死に生き抜こうとした姿が本の中で描かれています。

中でも印象深かったのは,同じテレジン収容所に連れてこられた画家が先生となって絵の授業を行ったエピソードです。大人たちも辛いのは同じで,自分が生き抜くことしか考えられなくなってもおかしくない状況の中でも、子供達を守ろうとした姿に胸を打たれました。

子供達が描く絵は思い出や夢だけではありませんでした。例えば収容所の壁や食料を求める人々の列,ナチスに虐待される人々を描くこともあったそうです。私は,小学生や中学生の年齢の子供たちが収容所の悲惨な日常を絵の題材として選んでいたということにむごさを感じました。それだけ暴力や飢えが身近であったことの現れであり,夢や希望を持っていたとしても心のどこかで先の見えない現実を感じ取っていたのだと思います。

私はまだ20年しか生きていませんが,今までで一番楽しかったのは中学生時代です。年齢が上がるにつれて漠然と抱くようになった将来の不安などを感じることもまだなく,学校で友達とおしゃべりしてしょっちゅう笑っていた時期です。ハンナたちは,本来何も考えず気楽に楽しく過ごせるはずの時期を自由を奪われた空間で過ごさなくてはいけなかった,そして子供には抱えきれないはずの恐ろしさや不安を常に感じていたのだろうと想像すると胸が締め付けられました。

ホロコーストの犠牲者数は600万人にものぼると言われています。でもその600万という数字は犠牲者がそれぞれ生きてきた人生や抱いていた希望をすべて均等にならしていて,あまり実感がわかないものだと思います。しかし,ハンナのような実際の経験談を読むことによってより鮮明に想像することが出来ました。

来月5月16日は,この本の主人公ハンナ・ブレイディ生誕90年の日です。そこでKokoroではオンラインイベントを開催し,ハンナの姪にあたるララ・ハンナ・ブレイディさんからお話を伺います。この貴重な機会に,ホロコーストを経験したブレイディ家のお話を聞いてみませんか?同時通訳ですので英語が苦手な方もお気軽にご参加ください!