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“次の世代のきっかけに” 語り場『道』 PART-5

【次の世代のきっかけに】

丹羽
“MIJP”で行った某公立中学校のワークショップの動画もなかなか良くて。

ワークショップの風景
(表具:表具づくりで気づく、素材と道具の活かし方)

淺野
あの動画は生徒さんの顔が出てるのでおおやけには出来てないんですけどね。
中学校の一学年の生徒さんを13のクラスに分け、MIJPの会員と丹羽さんの友人で“モノづくり体験授業”の講師として職人さんや作り手、デザイナーなどの人たちが、各教室でいろんなことを教えた際の動画です。

ワークショップの風景
(靴:靴職人から学ぶ、革のモノづくり)

丹羽
これがその時の授業の内容です。
※動画を見ながら

ワークショップの風景
(地域活性化:山の素材で、森のジオラマをつくろう)
ワークショップの風景
(左官:左官の技術を知り、土で表現する)

動画内にある授業の際のMIJP代表理事淺野さんから生徒さんたちへの挨拶

淺野代表理事の挨拶

「“勉強”と“学ぶ”っていうのは大きな違いがある。“学ぶ”っていうのは自分が好きなこととか何か興味があることとかを積極的にやるっていうのがすごく大事だなって。僕は社会人になってから学ぶっていうことをすごくたくさんやっています。その方がやっぱり人生も楽しくなってくると思います。今日は皆さんの親世代の人たちが先生として活躍してくれるということでその人たちがどんなことをしているのかなということも皆さんに参考になると思います。中学生の皆さんは、『やりたいことなんだろうな』っていうのを考えた時に結構見つからない人も多いと思います。でもやりたいことを見つけるっていうのは、いろんな事を体験することだと思っていて、これからの日本のことだったりとか、色んなデザインだったりとか、楽しい事をどんどんやって、やりたいことを見つけていってもらえたらなと思います」

ワークショップの風景
(印刷:服やエコバッグのプリントって ぜんぶ機械がやってると思ってますか?)

丹羽
多分、この動画を見たら、やってみたいっていう学校、絶対出ると思う。

ワークショップの風景
(陶器:瀬戸の原型師とじぶんだけのお皿をつくろう)

小林
他の中学校に送ったら、多分8割くらいやりたいって返事きそう。

ワークショップの風景
(フラワーデザイナー:大切な人に贈るミニブーケをつくってみよう)
ワークショップの風景
(建築:店長になったつもりで、未来のお店を考えよう)

丹羽
僕もそう思う。だから多分こういうことなんですよ。
この授業をただ単に携帯で撮って繋ぎ合わせましたってのでは絶対に理解してもらえない。でもこういう手法によって、誰かが絶対的に良いって思ってくれればいいわけで。

ワークショップの風景
(有松絞り:伝統的な染めの技法を知り、 普段使いペンスタンドをつくろう)
ワークショップの風景
(組み飴:コンビニでは絶対買えないキャンディー)

丹羽
うちもSNSでこうしたやり方をしているので、お客さんから問合せが来るんですよ。受注止めてますよって書いてあっても注文して頂けます。
結局その物事が伝わるか伝わらないかだけだと思います。
やっぱり見て、「何か良いね」って思ってもらわないといけないと思う。

小林
さっきの動画で淺野さんの「やりたいことを見つけるきっかけ」っていうのはすごく大事だと思ってて。特に今日はこういう仕事をしてる人が集まってるからそうなんだけど。
僕は建築学部を出てなくて、でも今は設計事務所として独立して自分でやってる。
学生時代も設計士になるからっていうので就職活動もしてなくて。
で、設計事務所入ったら、 朝から晩まで働いて、給料安いし、年間の休みがひどい時は10日切ってたんです。連休が正月しかなくて。そんな状況で仕事してた。
大学の同級生からしたら、「何やってんだ」って話なんですよ。
でも“やりたいことがわかった”だけでも幸せなんだなと思ってる。
世の中には、お金のためだったりするかもしれないけどゴミ収集してくれてる人がいたり、いろんなことをしてくれてる人がいる。
その人たちは労働に対する対価をもらって、例えば、9時17時で仕事が終わって、週末の土日が休みだったりする。
その労働の対価として余暇を楽しむっていうので、成立してると思うんですよ。
でも、僕の場合は その余暇がないぐらい働いてる。けど、好きなことやってるから。
じゃあ、休みだったら何するって僕、建築見に行くだけなんですよ。
好きなことだからやれてるっていうか、好きなことが見つけれたから、やりたいことやれてるだけでも、幸せだなと思ってやってますよね。
丹羽さんも、サラリーマンやってる時に、「布団ってこんなにかっこいいんだ」っていうのが分かって、今やってるわけじゃないですか。

丹羽
そうですね。

小林
今回MIJPや丹羽さんからのオファーで、僕も講師として参加させてもらったり、最近専門学校でも若い人たちに話したりしてるんですけど。
自分がこの業界からもらった、上の世代の人達から教えてもらったものを若い世代に還元していく年代になってきたんだなと思ってやってます。
僕もやっぱりかっこいいボスがいたんですよ。大学卒業して入った設計事務所に。
そこに憧れがあったから。
夢があるっていうのを、やっぱり若い世代にも分かってもらいたい。
よくMIJPでも、この団体には「かっこいい大人がいる」って言う人がいるんですけど、そういう大人に僕もなりたいなと思って当時やってた。
自分は少なからずそれになれているのかどうかわかんないですけど、それを次の世代に伝える。
もう年齢的にそういうことをしていかなきゃいけないのかなっていうのは感じますね。

ワークショップの講師達

【語り場】はMIJPが企画する、様々な人と人が語り合い、話し手だけでなく、聞き手も参加しながら思考や見識を深めていく“場”になればと思っています。
今回の対談は冒頭の1時間の内容になりますが、その後、参加された方も一緒に深夜まで深く語り合う夜でした。
今後も語り場をこちらで紹介できればと思っております。

ナナメにつながるきっかけを”をビジョンに掲げ活動するMIJP(NPOメイド・イン・ジャパン・プロジェクト)にご興味を持たれた方は是非リンクよりお問い合わせください。

PART-1 【それぞれの歩んできた道】
PART-2 【きっかけは1枚の布団の写真】
PART-3 【きっかけは1脚の椅子】
PART-4 【伝えることの大切さ】

プロフィール
丹羽拓也(にわたくや)
instagram 
@niwatakuya
1978年生まれ
丹羽ふとん店 5代目
寝具製作技能士一級
ふとん職人としては2011年に第26回技能グランプリにて優勝。
日々のふとん制作だけでなく、ふとんを通じた様々な活動を積極的に取り組む。
学生時代からの趣味の動画制作や写真撮影を活かし、SNSなどを利用したり、実演、ワークショップなど、ふとん職人として、インテリアやアパレルなど多岐にわたり挑戦。
あらゆる取り組みから、伝統の技法を使い「現代のふとん」の価値を見出している。
2017年 レクサスが主催となり、日本の各地で活動する、地域の特色や技術を生かしながら、自由な発想で、新しいモノづくりに取り組む若き「匠」に対し、地域から日本全国へ、そして世界へ羽ばたくサポートをするプロジェクト“LEXUS NEW TAKUMI PROJECT”に、全国から選出された51名の「匠」の一人として選ばれる。 
2019年 ロンドンの日常の暮らしに溶け込ませる尾州の毛織物を使ったプロダクトを持って、新たな挑戦としてLondon Craft Week 2019に参加。 
https://niwafuton.com/

プロフィール
小林正和(こばやしまさかず)
instagram  
@iks_kobayashi
1979年生まれ
イクスデザイン 代表
学生時代からの家具好きが昴じ、家具からインテリア、建築へと興味が広がり大学卒業後、設計事務所へ入所。
岡山、東京の設計事務所を経て、2012年にイクスデザインとして学生時代を過ごした名古屋で独立。
現在は東海圏を中心に建築設計、インテリアデザインを行う。
手掛けたお店やクリニックなどを国内外の書籍やデザインサイトにて紹介される。
http://iks-d.jp/

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