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田舎暮らしで学んだ「仕事」の意味

20代に転職を重ねていた私は、とある田舎で別荘管理の仕事に就いていたことがある。その時のお話…。

管理していた別荘地は、ひろく点在していて300ユーザーを超える規模であった。まず最初に行ったのが、会社のWebサイトの立ち上げと別荘の区画をデジタル化、ユーザー情報の整理などデスクワークが多かった。田舎では汗水垂らしてなんぼのもの。事務所に閉じこもって夜遅くまで作業している姿は異様であったようだ。区画の情報を整理した理由は、一緒に働くおじいさんに別荘地の草刈りをお願いするためでもあった。

それは社長が悪いでしょ…???

少し仕事に慣れてきたころ、不動産を担当している社長から無理難題を言われ、ちょっと口喧嘩になったことがあった。当時は若さもあって、納得できないことは納得できるまで話あいたい感じがあったのかな。まぁ、血の気の多い生意気なヤツでした。

仕事が終わった後、居酒屋で社長の愚痴を言いながら飲んだ翌日のこと。
ぜーんぶ社長に筒抜け。狭い世界だし…田舎ってこわい。
社長の部屋に呼ばれ「社長は俺だ! 社長がこうしたい!といったいうことが聞けないなら郷に帰れ!」と…。
言われた内容よりも高圧的な態度にムッとして不貞腐れて…その夜、偶然、親父から電話があって、そこでも社長の愚痴をタラタラと…。
普段、味方をしてくれる親父が、この時ばかりは厳しい口調で「仕事をなんだと思っているんだ! 社長さんのいう通りだ!」と、ひどく叱られた。

それは、社長が悪いというより、自分が、ただただ甘かったって話です。

悪い、叱られてきてくれ。

社長に謝って、仕事を続けていたある日。
「草刈りを頼んだじいさんが、お客様が大切にしていた山紫陽花をきれいに刈ってしまったみたいでな。えらい勢いで怒ってる。悪いが、ちょっと叱られてきてくれんか」と。

「えー…区画のドンやないか。まいったな」

めちゃくちゃ叱られた。

予想以上にご立腹な様子…。
そりゃそうだわな。どこに山紫陽花があったのかわからないくらいきれいになってるもんな。
とにかく話を聞くしかない…。

めちゃくちゃ叱られた。
あー…こんなに怒れるもんなんやってくらい激しい。いつ終わるやろか…?

あれ?
さっきもこの話聞いたぞ。
たぶん、次はこんな話になっていくんじゃないか?
あ! やっぱりそうだ…

あれれ? 3回目や。
さすがに話の展開がわかってきた。
でも、怒りの勢いはとまらない。どうしよう…

怒りがおさまった!?

4回目に突入した時、地面にある石を数えることにした。
大きな石があったら大きく首を縦にふって数えるとか、自分なりの勝手なるルールをつくって、1、2、3、し〜っい!と、怒り狂った声を無視してひたすら数え、時間が過ぎるのを待つことにした。

6回目の話がおわった時…突然「おい! あんた!」

やばい…話を聞いていないことがバレたか?

「あんた、すごいね!」
「え?」
「私は会社で会長を務めてるけど、あんたほど真剣に話を聞く社員はひとりもいない。」
「ええ?」

少々辛辣な表情で石を数えていただけなのに、大きな石を数えたときの首振りが、真剣に話を聞いていたようにみえたのかな。

怒りモードが終了! ものすごく褒めていただけた。

「ちょっとあがって! お茶でも飲んでいき!」と
美味しいお茶をいただきながら、たくさんお話をして仲良くなりました。
ついつい長居をしてしまったが、気持ちよく事務所に戻ると、
社長がこれまでにないほど心配して駆け寄ってきて、
「大丈夫だったか?」
「ぜんぜん帰ってこないし、連絡もないから、何かあったんじゃないかとおもってたぞ」と…。

学んだこと

・自分に矢印を向けて、俺が俺がモードはダメ。
・上司の言うことは理不尽だと思っても、まずは聞いてみる。
(責任は命じた上司がとるもの。反論すれば自分が責任をとることになるかも…)
・叱られたら、まず不貞腐れるのではなく、まず姿勢をあらためる。そして、正してくださったことに対して感謝すること。
・人の話は、よく聞くこと。特にクレームは聞くことに徹する。
(聞くふりをしていただけであるが…笑)
・心の中で燃やす野望は大切に。でも謙虚な姿勢をもっと大切に。
・心は熱く! 頭は冷静に!
などなど。

田舎暮らしで大切なことをたくさん学んだよ!
というお話でした。

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