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起業家インタビューvol.2 - SONAS代表 Paul Gill

N's baseは、カンボジアの社会課題をビジネスで解決しようと取り組まれている4人の社会起業家の方々の商品を販売しています。本企画ではそれぞれの社会起業家の想いに迫る、インタビュー記事をお届けしていきます。

第二弾は手工業品ブランドSONASの代表、Paulさんにお話を伺いました。ノーベル賞受賞者との運命的な出会いがもたらした彼の新たな人生とは…。ぜひご覧ください!

Paul Gill - SONAS 代表
インド系カナダ人。ロンドンでエンジニアとして8年間働いていたが、バングラデシュのグラミン銀行の創設者でありノーベル賞も受賞しているムハンマド・ユヌスさんとの出会いをきっかけにカンボジアでSONASを設立。
カンボジアの農村部に住む人々にビジネスを始めるためのノウハウを教えながら、手工芸品を作っている。

幸せを求めて

ーカンボジアとの出会いを教えてください。

​カンボジアに初めて行ったのは2012年でした。仕事のプロジェクトの一環として、学校を作るために半年ほど滞在しました。最初は学校を作ることで多くの人の生活を変えられると思っていました。しかし実際にやってみると、私の力不足もあり全然貢献できませんでした。

その時の悔しさや、カンボジア人の人柄に惹かれたことが理由で、ここで仕事をしたいなと思いました。東南アジアは多くの可能性を秘めており、未来があると感じました。可能性を秘めた国、カンボジアでビジネスをやってみようと思いました。


ーそこからなぜSONASを立ち上げようと考えたのですか?

​NGOやチャリティー団体をたくさん見てきましたが、国連も含めどの団体もあまりうまくいっていないのが現状です。また、失敗しているだけではなく逆に害を与えていることも多々あります。数え切れないほどの人たちが助けを求めているのに誰も助けてあげられていないのです。

団体の多くは自分たちの利益ばかり考えており、私はそのような団体の一部になりたくありませんでした。2009年のイギリスのビジネススクールにいた頃、ノーベル賞受賞者のムハンマド・ユヌスさんがゲストとして来てくださりました。彼の活動は全てソーシャルビジネスが基盤にあり、私も似たようなコンセプトで自分のブランドを立ち上げたいと思ったのです。


SONAS写真1



ーそうなのですね。"SONAS"の由来があればお聞かせください。

​SONASという言葉自体の意味は、アイルランド語では「幸せ」、サンスクリット(インドなどで用いられる古代語)では「豊富」という意味です。

SONASが伝えたいことは「幸せが富を生んでいる、富が幸せを生んでいるのではない」ということです。人生において全てを手に入れていても、幸せだと感じることはないのです。しかし、自分が幸せだと感じていれば何事もうまくできるはずです。これがSONASのバックグラウンドにあって、全ての商品にこの気持ちがこもっています。SONASの目的は自分たちが作った商品で人々を幸せにすることです。ここで言う「人々」とは、商品を作る人、商品を買う人、商品を使う人のことでです。

ーそもそも幸せとは何か考えさせられますね。Paulさんの夢は何ですか?

​若い頃の夢はお金を稼いで世界中を飛び回ることでした。資産を多く持つことが幸せの要素なのだと考えていました。しかし当時はまだ本当の幸せに気づいておらず、自分中心の夢を描いていました。

15年前までは働いていた会社から高い給料をもらい、経済面では全く心配がない生活を過ごしていました。資産を多く持つという夢を叶えていたのにも関わらず、自分が満たされることはありませんでした。そこから少しずつ本当の幸せとは何かを考え始めるようになり、自分の本当の夢は富を持つことではないとようやく気づきました。

​2009年に初めてムハンマド・ユヌスさんと出会った時、「本当の幸せとは何か?生きる理由とは何か?」と質問したのを覚えています。なぜなら彼は、今まで会った人の中で一番人生を楽しんでいると感じたからです。その人の後を追っていくうちに、自分の夢も「幸せのコードを直すこと(correct the code of happiness)」に変わりました。そのコードとは一体どういうものなのか?、をできるだけ多くの人に伝えたいと思うようにりました。

貧困地域では未だに多くの人が厳しい環境で生活しているのにも関わらず、彼らを持続的に助ける方法を見つけられていません。これほど技術が発展していても、なぜ困っている人たちがこれほど多いのか。今の夢はそのような人たちを持続的に助ける方法を探し出すこと。そして、同じような思いをもった人たちでチームを作り、多くの人たちを巻き込むことで貧困問題を解決したいです。

SONAS写真2


ーSONASを立ち上げた時の周りの反応はどうでしたか?

​立ち上げると決めた時、周りにはあまり言わないようにしました。なぜなら、その時働いていた会社は優秀なビジネスマンが多く、新しくカンボジアでソーシャルビジネスを始めたいなんて共感してくれるはずがないと思っていたからです。収入も多く安定した生活をしているのに、わざわざリスクを冒して貧困層の人たちと働くことなど共感してくれないでしょう。

ただ自分の両親はとてもサポートしてくれました。私が何をやりたいのか、なぜやりたいのかなどを全て打ち明けると、両親はとても誇りに思ってくれました。両親にはいつも他の人を助けることで自分も幸せになれると教えられてきたのです。

また、ユヌスさんが自分のメンターになってくれたおかげで、周りの意見に振り回されず強いエネルギーを持ち続けることができました。彼に「99%の人がある生き方をするのだとしたら、あなたは残りの1%の道を行きなさい」と言われ、決心しました。周りの人たちが思う「幸せ」は自分のものとは違うことに気づき、新しい文化や社会に飛びこもうと思いました。

ー今までの生活を捨てて、全く新しいことを始めるのは大きな決断ですね。そのようなチャレンジをする人へのアドバイスはありますか。

“The fear comes from not knowing”。変化を起こせない理由は、変化するのが怖いからです。何か新しいことを始める恐怖はそもそも物事を知らないからです。新しいことに飛び込むことが怖い若者を多く見てきましたが、知識を得ることで恐怖は消えるといつも伝えています。

ー“The fear comes from not knowing”この言葉は多くの若い人たちに伝えるべき言葉なのではないかと思います。貴重なお話をありがとうございました。

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N's baseではインタビューで熱い想いを語ってくれたPaulさんが代表を務める、SONASの商品も多く取り扱っております。ぜひオンラインショップも覗いてみてくださいね。

N's base noteではこれからも社会起業家の方々の生の声をお届けいたします。次回もお楽しみに!

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