見出し画像

営業でセブンイレブンを攻めた日々

私は営業職時代、東京営業所からスタートしました。
東京というエリアは、私がいた企業のマーケットシェアが高く、ブランド力を発揮できるところでありメイン市場でした。

そんな東京エリアなのですが、当時出店をはじめていたセブンイレブンだけは、定番(安定した売上げが期待でき小売側が納品を指定している商品)をとれていませんでした。
担当者は、本部へ通っていましたが、バイヤーからよい返事をもらうことができず競合他社の商品が定番商品になっていました。
社内には屈辱感があったように思います。

このような状況は、私が福岡営業所へ異動してからも続いていました。
前に書きましたが、私が担当していた福岡の代理店は、セブンイレブンへの納品をおこなっていました。
代理店の倉庫を確認するたびに、セブンイレブンへ納品される競合他社の商品が積まれているをみるのです。
悔しい思いはつのります。
この代理店、私が在籍してた企業をメインの取引企業としてティッシュ製品等の販売をおこなっていましたから、競合他社の商品をみるのは、多くはセブンイレブンへ納品する分だけなのですが、日々配送しますから、私は、代理店へいくたびに商品在庫を目にすることになります。

このような状況をじっとみていることに耐えられない私は、東京営業所の担当者へ電話をして、定番化はまだできませんか、と尋ねました。
むずかしい、と一言。。。

これは自分でなんとかせねば。。。
私は、先ずセブンイレブンの棚割がどのようになっているかが知りたくなりました。
ただし、セブンイレブンはメーカーの担当者が直接店舗を訪問してはいけないルールになっています。
私は、考えました。
担当している代理店の深夜配送を手伝いながら、いっきに店舗の棚割をチェックしてしまえ、と。

早速、代理店の責任者へ相談して快諾してもらうと、次に配送を担当するドライバーへ日程調整をお願いするために会いにいき、こちらも快諾してもらいました。
この方とは、日ごろ、物流問題について意見交換をしていましたから、コミュニケーションが取れており、いつでも相談できるのです。
私は責任者だけでなく、すべての社員と話をします。
そのようなコミュニケーションをとるメーカーの営業担当者は、ほかにいませんから、営業担当としては抜き出ていたでしょう。
これだけやれば、代理店との販売業務がうまくいかないわけがありません。

こうして深夜の手伝いがはじまりました。
自宅を午前1時ごろ出発して、代理店に午前2時前に到着です。
トラックには、セブンイレブンへ運ぶ商品が満載です。
ドライバーが到着して、さぁ、出発。
私には、労働時間という概念がありません。
仕事は、やるべきときにやるという、確固たる信念があるだけです。

こうして把握したデータから棚のなかに、私がいた企業が販売する商品を置いてもらえるスペースがあることがわかりました。
セブンイレブンのよいところはデータを重視することです。
福岡エリアのマーケットシェアは、私がいた企業の商品が圧倒的なシェアももっていました。
当然、セブンイレブンの棚に置いてもらえれば、シェアとリンクしますから、販売数量があがることが予測できます。
データから競合他社の3倍を超える売上が期待できることなど、徹底的にデータを活用して攻めました。
もっとも、仮に定番化ができても地域定番ですから、福岡エリアにおける定番化であり全国定番になるわけではありません。
しかし、データを重視するセブンイレブンにおいて、たとえ地域定番化といえども、営業政策上は重要です。

バイヤーとの交渉は順調に進んだかのようにみえましたが、最後の課題を突き付けられました。
配送時の納品数量でした。
当時、私がいた企業のティッシュ製品のケース単位の数量は40個でした。
バイヤーが、バックヤードが狭いので、半分の数量で納品してほしいという要求でした。
代理店に依頼して半数に分ける作業をさせるなど無理な話です。
利益率が高く、利益が稼げる商品であれば別ですが、ティッシュ製品のような薄利多売の商品では拒否されるのはめにみえていました。

そこで、私は東京営業所時代にデパート向けに販売していた20個入りの製品に目をつけました。
本社営業部へ交渉して、セブンイレブン向けに梱包作業を依頼しましたが、ここでは東京営業所時代に懇意にしていた社員が在籍していたことでなんとか対応してもらうことができました。
実はこの依頼、結構判断がむずかしい点がありました。
デパート向けですから販売数量が少なく、梱包作業を工場内で手作業でおこなっていたことです。
このような問題をクリアしてくれたのは、本社営業部の人たちです。
私はこのような協力を得ながら、セブンイレブンの地域定番化をすることができました。

当然、企業は、このような成功から次の戦略を考えていきます。
コンビニなどの小型店舗向けに、コンパクト型の製品をつくることになり、生産ラインの改良などをおこなうことで、梱包作業を手作業から自動化し、生産数量をあげてコストダウンをはかることができました。

仕事とは、誰かが最初の一歩を踏み出すことが大事です。
理屈でなく、実行とその結果によって、企業は、次のステージを生みだしていきます。
今では、企業内にこのような挑戦を誰がやったかなど残っていないでしょう。
それでよいのです。
それでも、最初にやった事実は、自分の心のなかに生き続ていきます。
それこそが、仕事をやる醍醐味なのです。
そして、仕事(営業)とは、常に戦場(市場)と自分との闘いなのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?