見出し画像

クラウゼヴィッツ「戦争論」から経営管理を考えてみる

私は、「経営管理」ということをしつこく主張しています。
経営管理には、プロセス管理が必要です。
プロセス管理には、業務プロセス管理と経営プロセス管理があります。
業務プロセス管理は、日常業務が、当初目標(予算、行動計画)どおり的確におこなわれているかを確認し、必要ならば適宜修正して目標に近づけていく作業のことです。
特に機会費用を削減すること、いわゆる管理していなければ社外に流失しているであろうコストを把握し、常に削減することが要求されます。

経営プロセス管理は、人材、物、資金、情報などが、経営判断に基づき、事業計画に沿って日々適正に運営されているかということです。
必要があれば、人材、物、資金、情報などの追加投入や削減を実行し、業務プロセス管理と同じように、必要ならば適宜修正して目標に近づけていく作業です。

業務プロセス管理と経営プロセス管理が、適切に実行されて、はじめて当初目標に向けた事業運営がおこなわれ、事業年度が終わるとき、経営目標が達成されていることになります。

経営トップだけでなく、日常業務をおこなう全社員を含めて、企業戦略(経営計画)と戦術(経営管理)の関係を自覚できるかどうかが、とても大事です。
少し長くなりまりますが、私は、経営管理は企業活動においてもっとも重要な観点だ、と考えています。

そこでわかりやすくするために、クラウゼヴィッツ「戦争論」を引用して説明します。
「戦略(経営計画)が、戦争(経営)目的のための戦闘(製造、販売など)の使用である以上、それは、全軍事行動(全社の行動)にその目的(経営計画)に対応した目標(予算、販売計画)を設定しなければならぬ。
すなわち戦略(経営計画)は作戦計画(予算、行動計画)を立案し、この目標(予算、販売計画)に達するために役立つ諸行動(販売、サポート業務)をこれに結びつける。
換言すれば、個々の戦役(仕事)にたいする目論見(予算、行動計画)を作成し、その内部における個々の戦闘(部門、役割)の位置をきめる。
ところで、すべてのこうした事項の多くは、かならずしも常にあたっているとはいなえない前提に基づいてなされるにすぎず、さまざまのこまかい規定をあらかじめ明示することなどは、とてもできることではない。
したがって、当然のことであるが、戦略(経営計画)は、戦場(市場、現場、部門)に出かけていって、こまかいことは現地(市場、現場、各部門)できめ、全計画(経営計画)にたいし不断(日々)に修正を加えること(経営管理)が必要になる。
このように戦略(経営計画)は、一瞬も現実の作業(日常業務)から手を切ることができないのである」
経営管理の重要性が明確になる文章です。
注)()内は私が記載しました。

経営者とすべての従業員が、正しくそれぞれの能力を発揮してこそ、経営計画を達成することができます。
経営者も大切ですが、現場の社員の能力いかんで、目標達成の帰趨が決まるといってもよいでしょう。
事実、私は、そう確信できました。
企業は、経営者から社員ひとりまで各役割の中で能力を発揮していくところです。
経営者だけでもなく、社員だけでもない、相互力によって業績があがり、働きがいがある企業になります。
ひとりひとりの人間がいかに重要か、ということがわかります。
このような視点に立てば、日常業務における仕事の本当の意味が自覚できます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?