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まずは踊りだし、そこから周りを巻き込むのだ!-Nサロン高木ゼミのプロジェクト実践方法ー

あなたは、人々が踊り出して大きなムーブメントを起こす動画を見たことがあるだろうか?

「この動画に、周りを巻き込んでプロジェクトを立ち上げる方法がすべて詰まっている」とVisioning Company NEWPEACE 代表の高木新平氏はいう。

 ソーシャルイシューを起点に様々な事業やキャンペーンを手掛ける高木氏が講師を務める、プロジェクトの立ち上げ方についてのゼミが『Nサロン』の3期に誕生した。2020年5月26日から7月7日までの間に学んだ内容をゼミの受講生が2回にわけて記事にまとめていく。本記事はその1回目。

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(題材として取り上げられた、会員制カレー屋「6curry」、花屋支援プロジェクト「#花で帰省しよう」)

Nサロン・高木ゼミとは

Nサロン第3期は「毎日をもっとクリエイティブに!」をコンセプトに、日本経済新聞社とnoteが共同で運営する学びのコミュニティ。「考える力」「伝える力」「巻き込む力」を伸ばすため、3つのゼミと日本経済新聞社主催の特別講座やワークショップが、2020年5月から7月にかけてオンラインで開催された。

「巻き込む力」を伸ばす高木ゼミは大変実践的だ。その理由は、高木氏が「一方的にメソッド(型)を教えただけでは、血肉の通ったシェアにならない」と考えているためだ。

そこでゼミ形式は、第1回は高木氏がこれまで手がけたプロジェクトや想いについて語る講義であるが、第2回以降は受講生が8チームにわかれて、第1回講義の具体(実例)を抽象化・言語化(メソッド化)し、そこからプロジェクトを立案・発表。加えて、高木氏からフィードバックを受けてさらなる気づきを得る超参加型の形式であった。

高木ゼミ、開講!

5月26日、高木ゼミ初日。定刻になっても高木氏は配信画面に現れない。どうやらオンライン配信会場になっているnoteオフィスにもいないらしい。

20分ほど過ぎたところでバタバタと画面に登場し、開口一番照れくさそうに「ごめんなさい」と言う高木氏。会場を勘違いして一度別の場所に向かってしまったらしい。「信じられない!」と怒る人も出そうな話だが、なぜか憎めない。受講生のほとんどが待ちわびた高木氏の登場に胸を高鳴らせていた。この時点ですでに「巻き込み力」を見せつけられていたような気がする。

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プロジェクトに参画するのは、本棚の本を増やすぐらい些細なこと

ゼミのはじめ、高木氏は自らの会社NEWPEACE Inc.が標榜する「ビジョニング」について説明をした。

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ビジョニングとは、「新たなビジョンを世の中に宣言し、それに基づくアクションを仕掛けることで、ユーザーやメディアを含めた周りを共犯者へと変えていく、ソーシャル時代のブランドのつくりかた」だという。

「まずアクションを起こすことが大事」と高木氏は語る。アイデアと仲間の掛け算によって、プロジェクトを実行するコミュニティが生まれ、それを広げていくことで、社会に波紋は広がっていくからだと。

高木氏がSNSで話題にのぼることをいろいろと仕掛けているのは、「作ることはエンタメ」と捉え、ブランド服や高級レストランといった消費よりも、「自分で何かをつくる」ことに価値を置いているから。そのモチベーションの源泉には「20世紀的な消費やライフスタイルを刷新したい」との想いがあるそうだ。

こう聞くと、とても大きな、普通の人にはなかなかできなさそうなことに思えるが、「プロジェクトに携わることは本棚の本を増やすようなことだから、本棚に1冊本を足すぐらいの軽い気持ちでプロジェクトに取り組んでほしい」と高木氏は伝える。

そしてやはり、プロジェクトに参画するときに切っても切れないのが「巻き込み力」である。

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人を巻き込む「アイデア」とは

人を巻き込む“核”ともいえるのが、アイデアだ。そもそも、アイデアとはどのようなものなのだろうか。

アイデアはO⇒1ではない
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
by ジェームス・W・ヤング
「アイデアは連想の産物である」
by ロバート・フロスト

アイデアはだいたい0からではなく、元ネタがあり、そこから連想されて広がっていく。今や生活必需品にもなったiPhoneやiPadだって、アラン・ケイのダイナブックのイラストに、ジョブズがインスパイアされて製品化に繋がったのだ。元ネタとなる発想を誰と広げるか、が重要だと高木氏は説く。

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アイデアとアクションの関係性

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そして、戦略や計画ありきの事業ではなく、自発的なプロジェクトを起こしていくためには、そのアイデアを殺さないプロジェクトフローで動かすことが大事である。

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高木氏の考える一般的なプロジェクトフローは、「社内議題→計画&企画→仲間集め→会議→実行」の順である。このフローでは、深く考えるプロセスと具体的に動くプロセスが分断されてしまう可能性が高い。アイデアとアクションを分けるとタイムロスが生じてしまう。

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一方、社会イシュー(イシュー:課題や関心事)に基づいて先に仲間を集めてしまって、アイデアもアクションもごちゃ混ぜにしながら同時進行的にプロジェクトを作っていくのが、現在の高木氏のやり方である。

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「アイデアは『連想の産物』である」とはロバート・フロストの言葉であるが、この言葉を用いながら、アイデアについての持論を展開していく。

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「アイデアは時代と仲間の間に生まれてくるもの。アイデア単体では放置されやすい。仲間がいるからこそアイデアは死ぬことなくアクションとして生きる。先に仲間が決まり、その中で育まれたアイデアは生存確率が高い傾向にある」と、高木氏。

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とても大切なことなので繰り返すが、仲間がいるからアイデアが死なないのである。では、その仲間はどうやったら見つかるのだろうか。

巻き込み方

周りを巻き込むほどの熱は、どうしたら生まれるのか?ここで、冒頭でも紹介した「人々が踊りだす動画」をもう一度観てみよう。

始める人になるか、最初の5人になるか。

この動画は、たった1人が踊りはじめ、そこで一緒に踊りだす人が1人、2人……と増えて、大勢の群衆がみんな踊りだすものだ。

「この動画にプロジェクト実行のあらゆる鍵がある」と高木氏は述べる。

「最初の1人は変なヤツと周りに思われる。そこに1人、2人と加わり、どう踊ればいいのか周りに教えることで、一緒に踊りたいと思う人が増える。踊る人々が増える中で、うまく踊る人物が現れたり、踊りがブラッシュアップされたりする。」

アイデアも踊りと同じで、最初の「変なヤツ」のアイデアに誰かがまず乗っかって、乗っかっていいものだと示す。そうするといろんな人が集まってきて、それぞれの知恵でアイデアが揉まれ、形になっていくのだ。

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プロジェクトを実行するときには、自分が踊り始めて最初の仲間を見つけるか、または踊り始めた人を見つけてそこに最初の5人のうちの1人として加わるとよい。少人数の段階からコミュニティに参加することで、プロジェクトのコアに関わりやすくなる。

また、プロジェクトを行うコミュニティでは役割を与えることも重要である。役割をもつと、メンバーはコミュニティを居場所と感じられるようになるからだ。

濃い活動が人を繋ぐ

プロジェクトを実行するコミュニティが形成されても、このコミュニティのメンバーは固定されるわけではない。プロジェクトの実践を通じて、相手の人となりを知っていくので、価値観の違いなどを理由に去っていく人もいれば、面白そうだと加わる人もいる。

そして、チーム内での摩擦を通じて、自分たちはどういう行動がしたいか、どういうコミュニティでありたいかを深く考える。その過程により、仲間との関係が濃くなっていくのだ。

高木氏は、一個のプロジェクトを成し遂げることよりも、人生において濃い仲間が何人もいるということのほうが重要だと考えている。

人脈の作り方をゼミ生に問われると、「文化祭の準備や当日を通じて仲良くなっていくイメージ」だと答える。

人は一緒に何かプロジェクトを実行すると、本当に仲良くなる。特に何かを作るプロセスは関わり合いが深い。相手に肩を預けることもあれば、お互いの価値観をぶつけあうこともある。本気のやりとりを通じて信用できる仲間を得て、仲間を得た結果できることが増えていく。その繰り返しで人との繋がり=人脈が築かれていくのだ。

宿題:高木氏の体験談を抽象化しメソッドを確立しよう

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第1回のゼミを受けて、「こういうことなのかな?」と感じたことをチームで話し合って仮説を作る=メソッド化すること。具体的なエピソードを自分の言葉で抽象化することで、メソッドを「覚える」のではなく「腹落ち」させ、血肉としていくのだ。

※第2回noteへとつづく
次回は各チームが発表したメソッド・プロジェクトに対して高木氏がフィードバックする様子を取り上げる。


参考まで:Nサロンメンバーの高木ゼミについてのnote
https://note.com/maryambutt2940/n/n7c82163df408
https://note.com/kurosakalibrary/n/nf260238eb58d
https://note.com/sanuko/n/nf089b315318e
https://note.com/hakkeyoi1600/n/n048f57b8bb4d


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