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残心とは

少し硬質な話をしたい。それはおそらく孤独に関することだろう。改行もしないつもりだ。さぞかし読みづらいことだろう。しかししょうがあるまい。この世の中には改行なんかより遥かに大事なことがある。そう、それは生命の根幹、世界の仕組み、地球の神秘、宇宙の真理みたいなものに関わることだからだ。例えば目の前に1億円が落ちてたとしても次の瞬間核を落とされたら全ては木っ端微塵になる。1億円なんてそんなもんである。大したことじゃない。したがって改行も大したことじゃない。したがって?この場合のしたがってはおかしい気がする。ちょっと理屈にうるさい奴なら延々とそこにつまずき続けるだろう。しかし僕は理屈には程よい距離を保つ男だ。なので気にならない。便利な思考である。頭が柔らかいとも言う。その柔らかさはまるで春の風のような嬉しさと切なさをともなっている。少なくとも僕にはそう感じる。感じざるをえない。頭の柔らかさ=春の風‥‥こんな感じで=みたいな記号でつなげてしまうと流石の僕にも意味がわからない。しかし意味はわからないが、感じざるをえない。感じざるをえなさがパない。そういうものが、この世には、確かに、ある。それな〜。それは僕がこの世で最も大事にしてるものかもしれない。例えばかつてこんなことがあった。いや、正確に言うとあったような気がする。ハッキリとは覚えていないのだ。最近いろいろなところで過去の自分に対面させられる機会が増えてるのだが、僕の過去には精神がイっちゃってた時期が確実に何回かあったような気がするので記憶から抹消されてるor無意識に思い出さないようにしてるところがあるぽいのだ。全く便利な脳である。是非そのまま忘れさせたままにして欲しい。で。僕がこの世で最も大事にしてるかもしれない意味不明の感じざるをえなさについてなんだけど。小さい頃剣道をやっていましてね。剣道には「残心」って考え方があるんです。この「残心」ってのがね、めちゃくちゃ曖昧なんです。大体の意味を説明するとですね、メン(面)!でもコテ(小手)!でもドウ(胴)!でもなんでもいいんですが一つの動作(主に攻撃)をした後に「俺、油断してねーから」みたいなものを示すみたいな感じのやつなんですよ。意味わかりますかね。例えば「メーン!」て相手を打つじゃないですか。で、それがクリーンヒットしたとして、その後、なんとなくやんわり「俺、油断してねーから」って態度で示すんです。それが「残心」。これがないと審判が「一本」にしてくれない時すらあるんですよ。「残心」がないと「一本」にならないことがある。面打ちがクリーンヒットしたとしても。‥この事実は当時の僕を困惑させましてね。だって意味わかんなくないですか?剣道の剣が本物だとしたらですよ、クリーンヒットした時点で勝負は決まってるわけですよ。相手は頭から血がブシャー!なってるわけですよ。勝ちですよ。winですよ。でも「一本」にならない時がある。う〜ん。なんだか動きの効率もよくなくね?‥なので当時の僕は「残心」をとらない時もあったんですね。まぁ反抗期的なアレですね。それでちょいちょい先生に注意されたりとかしたような気がするんですけど、でも「それをいいとは信じられない」時の僕は「馬耳東風とはこのことか」というくらいシカトを決め込むタイプなので結構平気でスルーしまくってたんですね。で、そんなある日。市内でもめっちゃ強いと評判のK君と僕は試合することになりました。K君はめっちゃ強いので僕は結構緊張してたんですね。普通にいったら負けるぞ、と。僕は剣道自体はとても真剣にやっていたので負けるのはイヤでした。なので自分なりに精神を統一して試合に臨みました。ちなみに当時の僕の精神統一の仕方は大好きなプロレスラー、ザ・グレート・ムタを自分内に召喚するというやり方でした。謎〜〜。さて、始まりました。むむ。やはり強いです、K君。俊敏な身のこなし、正確な打撃、トリッキーな戦法‥。僕は翻弄されました。ザ・グレート・ムタであるはずの僕でさえなんとか食らいつくのに必死です。チキショ〜〜。つばぜり合いの時相手の顔が見えました。K君、割と余裕な顔をしていました。僕はこんなに息も絶え絶え必死になっているのに‥。正直カチンときました。悔しかった。ザブングルの人がいたら絶対「悔しいです!」って言ってるやつです。それから数分ギリギリの攻防が続きました。ちょっとキレ気味の僕にK君も若干本気になったようでした。そんな流れていく全ての時間が純粋になってしまったかのようなある一瞬。綿ぼこりの重ささえも感じてしまうような精神の研ぎ澄まされ方をしていたであろう僕は2人の「間」が中途半端になったその瞬間を見逃さなかったようです。今「見逃さなかったようです」とまるで他人事のように書きましたが、そういう時人の体は自然に動くものです。ほぼ無意識に僕は面を打っていました。メーーン!クリーンヒット。まごうことなきクリーンヒットです。やったぜ。そして‥‥その瞬間はやってきました。直後‥僕は‥‥僕は‥‥全く無意識に‥‥「残心」‥しました。。。!もう、純度100%完全無欠の「俺、油断してねーから」です。心、残しまくりです。ファッションじゃありません。強制されてもないです。まっったくの本当の気持ちで「残心」しました。「一本!」審判の人が僕の方に旗を上げています。僕は勝ちました。やりぃ!「残心」最&高!そうです、人は必死になると「残心」する。「残心」せざるをえなくなる。それは無意味なんかじゃなかった。非効率な訳でもなかった。必要な事だった。偉大なる剣道の先人たちはそれがわかっていた。理屈を超えた心の奥深いところで会得していた。だから後続の僕たちにもそれを伝えた。Youたち「残心」しちゃいなよ‥そう教えてくれていた。ジャニーさん?それはよくて、とにかく「残心」には意味があった。いや、意味があるというか、意味があるような感じがした。それだ。よくわかんないけど意味があるような感じがする。そういうもの。それが僕がこの世で最も大事にしてるかもしれない意味不明の感じざるをえなさ、だ。ここまで書いてきて、あれ、俺なんの話書いてるんだっけってなってるんですが、まぁこの際細かいことはどうでもよかろう。十分話は盛り上がった。柔らかくいこうぜ。春の風のように。ただ、とは言え先に書いたようにいかんせん記憶が曖昧なのでいくつかの話は実はなかったことかもしれないし、あったとしても複数の話がくっついたものかもしれないということだけは付記しておく。ところで、この話は孤独に関することだったんでしょうか。

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