記憶から抜け出してきたかと思った

先日、資格試験を受けた。2年前にも、別の級を受けたことがあった。

試験会場に入って、なにかが目にとまった。
試験官の男性。
2年前と同じ人だ。
しかも、前回と同じジャケットを着ている。明るい紺色に白い格子縞という、ちょっと個性的な柄だったので覚えていた。
髪型はアシンメトリーで、年齢に対しておしゃれ感が強い。角ばったフレームの眼鏡も、こだわっているんだろうな、という印象。
いずれも2年前と変わらない。

なにかが引っかかる。

その「なにか」は、多分、この名前も知らない男性が「変わっていないこと」だ。
とくに見た目に構っていなさそうな人なら、変化しなくても気にならないだろう。誰も気づかない。
でも、思い切り意識している感じの人が、まったく同じ姿で現れると……。
なんだか不思議。
彼の自意識や美意識は、2年のあいだ変化しなかったのだ、という不思議。
私の記憶から抜け出してきたかのような人に出会った不思議。

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