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スペインの人間味

昨日、仕事から帰宅すると、郵便受けに白い封筒が届いていた。消印には、スペインの郵便局のマーク。

昨年11月にスペイン語検定DELEのC1級を受けた。DELEはスペインの機関が実施している検定で、日本も含め世界中で試験が行われている。私は過去にもっと下の級を取得していたが、すべて日本で受験した。海外での受験ははじめてだった。

DELEはやけに時間がかかる。結果発表は試験の3ヶ月後。合格なら紙媒体の証書が発行されるのだが、それは結果発表の半年後!しかも、郵送ではなく、受験した会場で受け取る必要がある(スペインの場合)。
2月に合格の通知を受けて、私は実施機関であるセルバンテス・インスティテュートに連絡した。半年後にはもうスペインにいないので、証書の発行を早めてもらえないか頼んでみたのだ。
インスティテュートからの返答は、不可。それ以上のことは、受験会場に問い合わせてほしいということだった。会場というのは語学学校で、インスティテュートから受託して試験を実施しているらしい。
あまり先走っても意味がないと考えて、証書が発行されるころ(今年8月)に、改めて語学学校に問い合わせることにした。

バケーションシーズンが明けるのを待って、9月に入ってから語学学校にコンタクトした。私はその学校に通っていたわけではなく、まったくの手探りで、ウェブサイトの問い合わせフォームから送信した。返事が来るかさえ怪しい気がした。

果たして、数時間後に返信があった。Juliaという女性からで、証書は郵送可能だと言う。さらに、念のためスキャンデータもほしいと頼むと、すぐに送ってくれて、「原本も数週間以内に手元に届くよ!」と請け合ってくれた。最大の感謝のメッセージを送ると、返信は「どういたしまして!幸運を」。花の絵文字🌺がいっぱいついていた。

その証書が、昨日、届いたのだ。本来なら自分で足を運んで受け取りに行くことになっているものを、日本まで送ってくれた。

スペインのこういうところが好きだな、と思う。
これはただの個人的な体験で、どこまで普遍性があるかなんて測れないけれど、なんだかスペインらしいような気がする。
「なんで?どうにかならないの?」と途方に暮れることはある。今回なら、手続きの遅さや証書の交付が試験会場任せなこと。私のように帰国してしまうケースは珍しくないはずで、もしかすると郵送は通常対応かもしれないが、それならそれで最初にそう案内してほしい。
けれど、ともかく、こちらが心からお願いすると、イレギュラーなことや面倒なことでも、親切に対応してくれる。

案外、「心からのお願い」というのが大事だと私は思っている。たとえば、問い合わせは丁寧な文体で、なるべく詳しく記載した。これはとても大切なことなんです、という気持ちが伝わるようにした。過去に別の件でも、そういうふうにすると良い結果が得られた。
相手の共感や同情を得ることが大事なのだと思う。これは人間同士のやり取りなのだ。

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