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今年買って良かった打楽器2023

毎年やってる気がするけど

ぶっちゃけただの散財自慢なんですね。
個人で買うものに関しては「どうせ周りが必要なものは持ってるから自分は使えるか使えないかは別にして目新しいものを買う」という指針を持っています。結果、「ピーキー過ぎてお前にゃ無理だよ」という金田のバイクみたいな楽器を大量に抱えることになってしまっています。
が、なぜか今年に限っては今まで使っていたものが壊れたり足りなかったりで買い足すことが多く、なかなか新しいモノに手が出なかったのが残念。
それでもK.M.Kのトライアングル、Kジルのシンバル、ASPRのヘッド等細々としたものは買っていました。
が、やはり一番満足度高かったものといえば…

今年はこれ一択…TAMA Starphonic Bravura

値段的にも、買った後の打楽器ライフ的にも一番インパクトあったのがやはりスネア。
元々はSonorのPhonicを無理くりコンサート仕様にしていたものの、オケ内でのポジション変更によりスネアを叩くことが増えたことを受けて「あ、このままではアカン」と思い立って購入。
Phonicは正しくその真価を発揮できる国内のスネアマニアに売払い、キット用スネアとして輝いてもらいました。このスネアマニアが実はTAMAと国内の楽器店のエンドーサーをしており、Phonicを安めに売るかわりにTAMAのスネアを安く買えるように話をつけてもらいました。
が、この楽器店、受注生産のBravuraを発注し忘れるという大ポカをやらかし、本来なら今年の頭には手元に届いているはずのスネアを9月にようやく届けるという大失態。頭痛くなります。

影のスーパースター、TAMA

コンサート業界では多分、どうしてもPearlの方が知名度が高く、ことさらPearlのPhilharmonicシリーズといえばほとんどのプロも必ず一台は持っているコンサートスネア、と言われるくらい大人気。ただドラムキット業界に行くとTAMAの存在感はかなり大きく、Starphonicという名前出すと「あ、あれね」と分かってくれるキットプレイヤー多いです。
冒頭で述べたように自分は「他人が持ってる楽器は別に良いや…」となりがちで、さらに最近は「なるべく日本産のもの使いたいな」というおかしなホームシックの拗らせ方をしているため「そういえばTAMAもコンサートスネアあったな?」と思い立ち、ひとしきりリサーチした後「これ良さそうじゃん!」と購入を決定。
使い始めるとかなり性能良くて、「なんでこんなに知名度低いんだ?」という感じ。多分責任の一部はホームページの情報の少なさにあると思う…

日本語版TAMAのWeb
何故か一個しかない
TAMA.USAのページ
たくさんあるんじゃん!

隠れた名作、Starphonic Bravuraシリーズ

Starphonicシリーズそのものはキット用スネアの名作として有名で、それをコンサート用にハードウェア等を換装したものがBravuraシリーズ。
ラインナップとしては一番オーソドックスなメイプル、歯切れの良さ抜群のブビンガ、万能型のアルミ、最近出たビル・プラットシグネチャーモデルのベルブラス、さらにサイドドラムまで。
このうちブビンガとベルブラスはつい最近出たもので、TAMAのベルブラスといえばキットドラマー間では「おお、あのベルブラスか!」と言われるくらい有名で人気。それを贅沢にコンサートスネアにしたものなので非常に気になるのですが高い!30万近くするよ!!
注文した時にはまだこれらの2機種が出ていなかったのでアルミを選びました。何にでも使える万能型!

Bravuraの性能

音はやはりどうしても好みの問題なのでハードウェアのお話を。
胴は14×6のスタンダードかちょっと深めぐらいのサイズ。5とか5半の深さが一般的なのだけど、6あると大音量になった時に音が詰まりづらいので助かる。その代わり弱音の反応が弱くなりがちなのが深胴型の問題なのだけど、これは不思議とそういうこともない。薄い3ミリの胴のおかげなのか、はたまた3つもあるエアヴェントのおかげか。余談だがエアヴェントが30個もあるとんでもスネアが最近どっかから出ていて目玉飛び出た覚えがある。
この辺は公式のこのページに色々書いてあるので見えづらい部分を。
ベアリングエッジはシェルをそのまま削ったタイプで、レインフォースリングは無し。

ラグはフープを抑えるフックがついており、ネジを完全に外さなくてもサッサと打面を変えられるので無駄にヘッド変えて遊びまくれます。

フープそのものはストレートフープと呼ばれるタイプで、打面の端まで打ちやすいしオープンな音が出しやすいがリムショットを連発するのはちょっと躊躇う。ちなみに響き線側も同じだがワイヤー用のカットインがされており、フープを表裏間違えてつけようとすると悲惨な目にあったり、いわゆるラグ用の穴というのが無いので中心ズレたままつけると響き線に干渉してえらい目に遭います。
ところで自分は本番数日前に届いたスネアをどうしても本番で使いたい!と大慌てで打面換装したりなんだりして使おうとしたら裏面のフープをズレたまま締めてしまい、このタイプのフープに全く慣れていなかったのも相まって「このフープ不良品なのでは!」とパニクってTAMA本社に「カットインがズレてるんですけども…」とメールして「ラグ用の穴無いのでご自分で締めるとき真っ直ぐにしてください…」と呆れられたという逸話を持っています。もう恥ずかしくてTAMAに顔向けできない……

高性能≠使いやすさ

ハードウェアの性能高くて調整も細々とできるBravuraだが、「使いやすいか」と言われれば大きな声で「YES!!」とも言い難い。
と、言うのも最近出たMajesticのコンサートシリーズOpus OneとかBSPのマルチソニック等もそうだが、細かく調整が効くというのは逆に言えば「パッとは使えない」ということでもある。特に響き線の調整は本当に大切で、つまみのほんの一捻りで大きく反応が違ったりする。これを自分にしっくり来るように調整するのがまぁ本当時間が掛るんですわ…
Bravuraの響き線機構は独特で、横に引っ張る力と縦に打面に押し付ける力が独立していてそれぞれを細かく調整できるようになっている。そのためかスネアベッドがかなり薄く、裏面のチューニングが楽。その代わり響き線の調整がうまくいっていないと反応がしこたま悪くなる。
Bravuraの響き線はギター線、コーテッド線、コイル型の3種類。

スイッチ側。上下のつまみが1つ、各線の独立調整つまみ3つ


バット側。上下つまみ1つ、響き線全体のテンションつまみ1つ

へっっっったクソな図で表すとこんな感じ

実に6箇所の調整機構

この独特な機構のお陰で真ん中をたわませる事なくうまーく裏面に響き線をフィットさせることができる。その上スネアベッドを深くする必要もない。ただし調整に細心の注意が必要…

ちなみによくある斜めに引っ張るタイプの響き線機構はスネアベッドが深くないとこうなりやすい

このたわみを解消するためスネアベッドが必要。
ただし深すぎると今度はチューニングに影響が出やすい。

ちなみに響き線はハウジングまるごと簡単に外れるので調整したテンションをほぼ完全に保ったまま裏面を変えることが可能。これに加えてフックフープのお陰で普段だったら一度張ったらしばらく変えない裏面をちょいちょいと変えて楽しんだりして遊んでいます。

響き線のハウジングは響き線を守る役目も

長く付き合える一台

特にコレと言った弱点も見えず、根気よく詰めていけばとことん応えてくれ、さらにパーツの換装もお手軽という至れり尽くせりな一台。出先とかでポンと出されて「これ使って」とか言われたら困るかもしれないが、自分の楽器として長く付き合っていくならばこういうタイプが一番助かる。
アルミ胴は金属シェルの中では一番木胴に近いと言われ、嫌味な倍音も少なくそれでいて明瞭快活な音を持ち、今後使い所も多いでしょう。
後は特殊な曲やるとき用のスネアが何台かあれば……再来年はショスタコをバリバリやるそうなのでベルブラスのをお金貯めて買うかな?