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株式会社LayerXに機械学習エンジニアとして入社しました

はじめに

はじめまして。2023年4月16日に株式会社LayerXに機械学習エンジニアとして入社しました島越 直人 (@nt_4o54)と申します。バクラク事業部のMLチームに所属しています。MLチームでは、バクラクシリーズのコア機能であるOCR機能の開発を中心に行っています。4月からはOCR機能以外にも手を伸ばしており、バクラクビジネスカードにおける証憑マッチング機能など、顧客体験を向上する様々な取り組みを行っております。

このnoteでは入社してから約1ヶ月が経過したので、なぜ自分がLayerXに入社することになったのか、また入社してからのギャップなど感じたことなどをお伝えできればなと思います。

経歴

まずは、LayerXに入社するまでの自分の経歴を簡単にご紹介します。
学生時代は、京都大学大学院の機械理工学専攻にて研究をする傍ら企業でのインターンやKaggleなどに参加していました。
大学院卒業後は、2019年に株式会社ディー・エヌ・エーに入社し、最初の3年間はタクシー配車アプリGOにまつわる機械学習システムの開発に携わり、最後の1年間はライブ配信アプリPocochaやオークションサービスのモバオクといったサービスの推薦システム開発に携わっていました。
DeNAでは優秀な上司や同期に囲まれ、機械学習システムを社会実装する上での多くの経験と知識を吸収することができました。

また、DeNAではKaggle制度という、業務の30%をKaggleに参加するなど自己研鑽の時間に使える制度がありました。自分はこの制度をフル活用し、1年目からKaggleのコンペに多く参加していました。
その結果、入社時点では銅メダルを二つしか持っていなかったKaggle Expertだったのですが、1年目の終わりにはKaggle Masterになることができ、3年目にはKaggle Grandmasterになることができました。
(※ Kaggle Masterになるには銀メダル以上が二つ、金メダルが一つ必要で、Kaggle Grandmasterになるには単独参加の金メダルを含む5枚以上の金メダルが必要)
この制度のおかげで、自分の技術の引き出しが大幅に増え、キャリアとしての選択肢も広がったので、前職のDeNAにはとても感謝しています。

このようにモビリティ領域やライブストリーミング領域での仕事やKaggleをやっていたりする自分が今回全然領域の違う会社に転職したように見えるかもしれませんが、次節で何故転職することになったのかという背景について触れていきます。

転職の背景

前職に不満はあまりなかったのですが、以下のような背景から転職を考え始めるようになりました。

  • あまりにも居心地が良すぎて、現状に満足しすぎてないかと何となく不安を抱え始めた。

  • KaggleもGrandmasterになったことでひと段落した部分もあり、次の挑戦を探していた。

そのような中、現在LayerXで機械学習チームのマネージャーをしている松村が元々知り合いということもあり、LayerXの方ともカジュアル面談をするようになったのがきっかけです。
松村くんの入社エントリはこちらです。

元々LayerXという会社は、代表の福島さんの記事を見て、ML開発に今後10倍投資するとおっしゃっており「あ、機械学習に力入れてる、入れてく会社なんだ」という印象くらいを持っている会社でした。

正直カジュアル面談などする前は、まだOCRという一つの領域でしかML活用する領域がなさそうで、そのタイミングで10倍投資するのは過剰なんじゃないかなと思っていたりしました。

そんな感じで誘われるがままカジュアル面談をCTOの松本さんやデータ組織の部長の高際さんとしたり、友人の松村から会社の話を聞いたりとしているうちにLayerXという会社への解像度が高まっていき、良い会社なんだなという印象に変わっていきました。それでも腰が重く、選考に乗るまではなか中気持ちが乗らない部分があったのですが、とりあえず自分の市場価値やもっとLayerXのことを知りたいという思いで選考に乗ることにしました。

選考に乗った中でもいくつか素敵な出会いがあり、LayerXという組織の素晴らしさを改めて感じる部分が多くありました。その中の幾つかをピックアップすると次のようなものがあります。

1. 機械学習やエンジニアリングなどの技術の知識が深い経営層

まず第一に大きな点だと思ったのがこれです。意思決定をする層が技術について理解していないと、技術を活用した課題解決の流れがなかなか生まれにくいと私は考えています。少しでもプログラミングの経験がある人であれば、自動化が可能だとすぐに思い浮かぶようなことでも、技術に疎い人であれば、人海戦術で何とかしようとしてしまうことがあるかもしれません。

特に機械学習を利用したプロジェクトは不確実性もありますし、組織によってはプロジェクトの企画だけでも経営陣を納得させるのに苦労するという話も聞いたことがあります。そのような懸念がなく、むしろ前述の記事で紹介されているように、10倍の投資を行って支援してくださる代表はなかなか珍しいのではないでしょうか?高際さんの記事を読むと、この機械学習チームを立ち上げるという意思決定がいかに迅速に行われたかもわかります。

最近では、LLMが世の中に台頭してきていることもあり、そこに大きな危機感を持ってCTOの松本さん自らがLLMを触ってみたり論文を読んだりと手を動かしていました。その結果、LLM Labsというものが立ち上がり、ここのスピード感にも非常に驚かされました。MLチームもLLM Labsと隔週でMTGを行ったりしていますが、松本さんが積極的に関与し、手を動かしている姿勢には尊敬の念しかないです。CTO自らが手を動かし続ける組織って素敵だなと思いました。

まさに、LayerXの行動指針であるBet Technologyが体現されているなと感じました。

LayerX 行動指針

面談でも代表の福島さんは、もっとデータを活用したいと何度もおっしゃっていて、営業部分でもロープレや架電する順番などもっとデータを使えば効率的にできる部分があるなど、徹底したデータ利活用への意思を感じました。このような考え方を持ち、更にはそれを徹底的に実行に移せている組織っていうのは中々ないんじゃないかなと素直に思いました。

2. 機械学習がサービスのコアとなる体験を作っている

自分が働く上で大事にしている観点の一つとして「やりがい」があります。
自分が作ったシステムが使われなかったり、貢献が少なかったりすると誰でもやる気を失うのではないかなと思います。そういう点でLayerXは機械学習をコアに置いたサービスを展開しており、非常にやる気の出る職場だと感じました。

バクラクが提供しているサービスは、以下のように複数ありますが、どれもOCRがコアな体験に関わっています。。ビジネスカードは一見関係ないように思えるかもしれませんが、領収書と実際の稟議申請を自動で紐付けるといった部分で関わってきます。実際にお客様との商談では、OCRの精度やUXが決め手になることも多いらしく、セールスメンバーを通して喜びの声を頂いています。今や全てのサービスがOCRありきでUIなどが考えられていて、これは業界的には後追いであるLayerXでしかできないことです。これも1つ目の理由にも挙げた経営陣がテック系の人だからできる発想だなあと思いました。ここまで機械学習機能がコアに備えられているサービスはなく、機械学習屋としては非常にやりがいのあるサービスだと思います。

やりがいというところで少し話はずれてしまいますが、私は転職前にはto Cサービスの方が楽しいと思っている節がありました。というのもto Cのサービスの方が、一般的にはユーザも多いので社会に与えるインパクトが大きかったりとか、サンプルが多いのでA/Bテストなどができて自分の作ったシステムがどれくらいインパクトがあるのかを定量的に測ることができるのでそれがモチベーションになると考えていたからです。
しかし、面談などで話を聞いてるうちに、LayerXのバクラクのようなto B向けのSaaSサービスでは、定量的にOCRの精度が何%上がったから売り上げが何%上がったかというのは測定しづらいという部分はありつつも、より直接的に現場の声を聞くことができるので、その部分でやりがいを感じるという話がありました。
確かに、to CサービスではレビューやTwitterのエゴサ、インタビューなどをしてユーザの声を聞くことはありますが、距離が遠いのであまり実感として開発者がユーザの声を聞けてるという感覚はありませんでした。
to Bサービスを楽しいと思えるかというところに若干懸念を抱いていた自分でしたが、このような話を聞いて現場に近いところでお客様のペインを聞くことができ、更にはそれを機械学習を用いて解決できるのはやりがいがあるし楽しそうと、不安を払拭することができました。
実際入社後に、トライアル中の会社様などでOCRの精度が懸念に上がってしまっている場合に、迅速に対応して精度を向上させたところお客様から喜びの声が上がり契約に至るというケースも経験することができました。やりがいがありますね。

また、バクラクの機械学習開発では単純に機械学習の精度を良くするという話だけではなく、精度が100%でない中でどのようにUXを良くするかという観点をもっている点が素晴らしい点だと思いました。バクラクのOCRの目的は、ユーザの手入力という作業をなくすことです。なのでチームがやるべきことは精度を上げるだけではなく、あくまでコアに機械学習を用いつつもそあらゆる手段でその問題を解決することという目線を忘れてはいけません。
機械学習を扱うチームでその目線がちゃんと共有されているのは、とてもいいチームだなと感じました。CTOの松本さんの「to B向けのサービスでto C向けの使いやすさを提供する」という言葉も心に刺さりました。このような視点を持って機械学習システムの開発を行うことは、自分のキャリアの中でもいい経験になるだろうとも思ったのも、入社を決めたきっかけの一つです。
具体的なUXの磨き込みの話は、以下のブログが参考になります。

3. バクソクな開発速度

前職では、割と大きい企業で働いていて縦割りな組織構成だったこともあり、開発速度が遅れるということが多々ありました。そのような点からもう少しスピード感を持って仕事をしたいなと思っていたのですが、まさにLayerXの開発速度は爆速でした。

単純にバクラクシリーズの製品展開スピードを見てみると2年で5つのサービスをリリースしています。客観的に見てもやばいです。


選考過程にトライアル入社という実際に業務に入るというプロセスがあるのですが、その入社一日だけでもPRが飛び交ってて凄いなと思いました。やはりスタートアップだからこそ持っている熱量が成せる技なのかなと思っていましたが、背景には上のスライドにあるようなチーム構成などちゃんと意識されて実現されたことなんだなと理解できました。

とはいえ、私は最初はこの小規模なスタートアップだから実現できていることで、規模が大きくなったら実現不可能になるだろうと考えていました。しかし、名村さんなどのイネーブリング担当の執行役員など、組織が大きくなっても生産性を保つための役割を果たす人々が今の段階から参加しており、私が心配しているような問題を予見して行動していました。また、私が入社してからも、経営陣から週次定例で「組織が大きくなったからしょうがない」という言葉は使わずに諦めないようにしようとメッセージが発信されたりと、生産性の維持に非常に意識が向けられています。

生産性を維持するにはどうしたらいいのか、という点に関しては転職前から自分自身も悩むポイントがあり、もし組織が大きくなっても今の生産性を維持できるのであれば、自分が学べるポイントが多いと感じました。
このような生産性の維持に意識が向けられている組織というのも自分が入社を決意した理由の一つです。

まとめ

もちろん他にも素晴らしいなと感じた部分はいくつかあったのですが、大きくは以上のような点が、自分が転職活動を通して感じたLayerXの素晴らしいと思った点です。このような点や企業カルチャーへの共感、機械学習開発において今までの自分の経験を活かせそうなどと思い、転職を決意しました。
LayerXの企業カルチャーや行動指針は共感できる部分が多く素晴らしいので、是非興味のある方は「LayerX 羅針盤」を読んでみてください。

入社して1ヶ月半経ってどうなのか

この記事を書いている時点ででもう入社して1ヶ月半経過しました。今のところ入社前に感じていたスピード感をひしひしと感じながら働けております。入社前に感じていたこと以外にも素晴らしい点がたくさんあり、書き切れないのですが幾つか羅列しておきます。

  • ビジネスメンバーとの距離感が近く、コミュニケーションコストが少ない。

    • 結果的に改善サイクルが早くなる。

  • 週次定例やSlackチャンネル、経営会議の議事録などで常に経営陣の考え方が発信されている。

    • 会社の方向性がブレず、自分の視座もあがる。

  • 経営陣だけでなく、PdMメンバーも技術への理解が深い。

    • 技術で解決できる部分は技術で解決できる。

  • 新メンバーがサービスやドメイン理解するためのオンボーディングフローが整っている。

  • 週次で全体のレビュー会が開催されていて、毎週何かしらの機能が実装されている。スピード感。。

  • 一人一人の当事者意識が高い。企業カルチャーが浸透している。

もちろん前職のような習熟した組織に比べると、まだまだ整ってないなと思うところもありますが、それは逆に大きい会社で働いていた自分が活躍できる部分で、楽しめるポイントでもあるかなと思っています。

総合的に、大きく環境は変わりましたが、楽しんで働いています。自分はやはりコンフォートゾーンにいるより、ある程度挑戦的な場所にいる方が楽しめるタイプなんだなと今回の転職で実感しました。

Kaggleはもうやらないの?

やります!!
やはり現在の自分の技術的な基盤やデータに対する勘所的な能力を作ったのは、実務によるところももちろん大きいですが、Kaggleによる部分も多いと思っています。一見実務には関係ないなと思うことでも、思わぬところで役に立つことが多々あります。
なので、LayerXのMLチームでは、絶賛そのような技術研鑽をできるように制度を整備し、「週の20%は技術研鑽など普段の業務と関係ないことをやっていい」「一定のクラウド費用補助」などの制度が整ってきています!
自分自身もこれを活用して今後もKaggleなどのデータ分析には参加するつもりです!LBで会った際にはよろしくお願いいたします!

最後に

絶賛機械学習エンジニア採用中です!!

LayerXのMLチームは、まだまだ未成熟な部分もあるチームだと思いますが、強いメンバーが集まってきており、今後確実に素晴らしいチームになっていく確信があります。
解きたい課題も非常に多くあります。手が足りないです。MLチームに10倍投資する意味ある?とか考えてた入社前の自分を殴りたいです。凄いスピードでプロダクトが成長している中、今から10倍投資するイメージで動かなければ間に合わないなと実感しています。

今回紹介したような素晴らしい点も多々ありますが、事業的なタイミング的にも面白いタイミングです。なかなか成長するスタートアップの真ん中でプロダクト開発に携われる経験を養えることはないんじゃないでしょうか。私たちと一緒に機械学習の力を使ってプロダクトを成長させましょう!!

最後になりましたが、少しでも興味持たれた方是非カジュアル面談からでも結構ですのでご連絡ください!Kaggleの話でも何でも大丈夫です!!


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