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クラフト自意識

裏方気質の目立ちたがり屋です。
顔や名前は出なくて良いと思っている。みんなからみえない場所でほくそ笑んでやる。ああわたしはゴーストライタータイプだなと、子どもの頃からなんとなく思ってはいた。10歳で始めた楽器はユーフォニウム。22で選んだ会社は完全BtoB。面接でもこう言った、日陰でドヤ顔したいんです。握手した。受かったなと思った。いま私の担当するお客さまはほとんどが名の轟いた大企業だ。たぶん性には合っている。

妙な自意識を連れていてプライドばかり高い。とは言え隠すのが上手いだけで、意外とそういう人も多いんじゃないかという気もする。自分が描いた絵褒められるの嬉しい、100点取って先生に褒められるの嬉しい、楽器吹いて褒められるの嬉しい、書いた作文褒められるの嬉しい。
そう、わたしは「わたし」ではなく「わたしがつくった何か」を褒められるのが好きなのだ。自分のラベルを貼った何かを身代わりのように差し出して、それが評価されるとよろこぶ。それが評価されなくても、それは「わたし」自身ではないので、不必要に傷つかなくて済む。姑息なエコ。
でもやっぱり自信はない。だからいざ自分自身や自分の特性を褒められると今度は相手を疑うモードに入る。なにか裏があるんじゃないかと思い込む。なんという天の邪鬼よと思いながらも、治すことができない。

仕事しながら細々バンドしている今もそれは変わらなくて、作った曲に言及して貰えるのは嬉しいが、人前で歌うことは出来ない。自分の姿を晒して声を聴いてもらうなんて他殺の次にならぶくらいの恐怖だ。蛇口を右にひねったみたいに、わかりやすく喉が締まっていく。

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だいぶ時間が空いてしまいましたが、swimmyは3ユニット合同練習会をしました。

音楽人生それなりに長いにも関わらず、人前で歌ったことがない。そんな拗らせアラサーが、二度めましての先輩方の前で、歌う。知っている人だろうがそうでなかろうが、やっぱり緊張はするものだなと妙な冷静さで感じながら、なんとかマイクに声を乗せた。

演奏自体は楽しかった。元来音楽するのは好きである。気心知れた仲間とせーので音を出すのは気持ち良い。気質と練習不足相まってたくさん間違えたけれど、あまり振り返っても仕方ないので、あれはあれで良しと開き直る。そういうことだけは一丁前に上手くなっていく。

いつかどこかでだれかの前で、歌ったりするんだろうか。やりたいなとずっと思っているけれど、どうしても身体が拒否反応を起こしてしまう。慣れだよ場数だよと周りからは言われるが、まずその初ステージを踏むのがたいへんに難儀なのだ。そもそも、気質と嗜好が矛盾してはいないか。わたしは曲をつくり、歌うこと自体は好きだ。原稿をしたためて臨むプレゼンテーションやスピーチも好きだ。こんなの心身乖離バグじゃないかと思う。ごちゃごちゃ言わず死ぬほど練習すれば良いだけだろうとも思う。わたしはすべてのオンステージ職の人を尊敬する。もしかして歳を重ねたら変わるんだろうか。既にさして若くもないんだけれども。その時が来るのを、無根拠に楽しみにする前向きさは持ち合わせているのが、また厄介だ。

さて。
あんたの話はもういいよと画面の向こうから聞こえますので、練習会の話に戻るとします。

3ユニットと言いつつ、メンバーベン図被りまくりの企画でした。

1.鋤崎夫妻(日食なつこカバー)
swimmyのドラムス鋤崎&ワイフの響ちゃんによるユニット。お馴染みになりつつある日食カバーやってました。言わずもがな本家顔負けの技術をお持ちのふたりですから、この日もお金取れる演奏してました。響ちゃんお歌もどんどん上手くなってらっしゃる。。嫉妬するクオリティです。そろそろ中村佳穂カバーとかもやってみてほしいなあと勝手ながら思っています。(多分鋤崎夫妻ならやれちゃうなと淀みなく想像出来るので。)
響ちゃんとも一緒に曲を作ってみたいな。アコースティックな曲を書いたら、それに鍵盤をつけて欲しいです。そして一緒にハモってみたいです。これはラブコール。

このふたりの演奏を見ているとき、いつも「すっきーさんありがとね」という気持ちになる。swimmyの内側にいるから当たり前になっているけれど、すっきーさんのドラムはやっぱりとっても素敵よー。

2.swimmy
ありがとうございました。

3.TAINEN
swimmyのギター永井と彼の大学時代の先輩おふたり MC星野さんとギター&キーボード今尾さんからなるラップトリオ。トリオ名は諦念からきているらしい。めちゃくちゃいいなー!
全曲オリジナルだけど、それぞれにモチーフ曲があるらしい。それをあえて全面に出して自由に演奏しているのが格好良かった。肩の力がほどよく抜けているのってクール。ガチガチ女が最も憧れるスタイルであります。
半分定まってない(ように聞こえる?)リリックでちゃんとラップしている星野さんが面白くて凄かった。アドリブ力&表現力!表情も素敵だったので、持ってたdjiで思わず追いかけてアップで撮ってしまいました。今尾さんはギターも鍵盤もずっと余裕があって、お人柄そのままのやさしい面持ちにもほっとさせられて、ああ一緒に演奏させてもらえたらさぞ楽しいだろうなあと思いながらみていた。(本編全部終わったあと突然エミネム弾かれてたのもグッと来ました。)
swimmyのギター永井はここではドラム。むねさん(永井)は大学時代にわたしの作った曲にドラムをつけてくれたことがあり、今も時々ドラム姿を見られると嬉しくなります。TAINENの時は気合い入りすぎて半ばトランス状態みたいになっていて面白かったです。ところでみんなマルチプレイヤーすぎませんか。

気づいたら優しい人たちに文字通り囲まれてました。谢谢大家很高兴了


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