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出版企画会議 ~テーマのGO-NGは如何に決めるのか~


 弊社では、社長、担当役員、企画者および営業・マーケティング責任者、専門の技術顧問の方々数名を含めたメンバーで毎月1回企画会議を行っています。企画会議ではこれから発刊する書籍テーマの巧拙を勘案し、売れると判断されれば採択となり、具体的な執筆依頼を含めた企画編集作業に入る事になります。

 企画会議では、まず各企画者がこれから上梓したい書籍の概要を纏めてプレゼンテーションを行います。タイトル案から始まり基本コンセプト、背景と内容案(できれば目次案)、主要読者・レベル、同業他社・学会・関連書籍の発刊動向、大まかなコスト見積り、市場規模(売上予想や特殊な対象の場合は売り方提案も)等々、できるだけ分かりやすく発表します。

 発表後、質問・要望・反対意見等々を議論した後、その企画のGO-NG、または採択のための追加条件、深堀調査など決めることになります。このGO-NGの判断は実に厄介です。既刊書籍、或いは他社で似たような類の先行成功事例(または失敗事例)があればまだましも、新規性の高い分野や、今のところ注目度がさほど高くなくても今後注目されそうな分野は判断に迷います。迷うというよりも分からないというのが正直なところです。

  売れるか売れないか、先のことは誰にも分からない中、決めないことには何も進められません。採択に当たっての客観的ガイドラインがあれば便利ですが、それはどうやって作れば良いのでしょうか?

これで行きましょう!


 まず経験的に一番やってはいけないのが多数決です。
(あくまで個人的な想いですが・・・)多数決は民主的で良い意思決定システムのようにも思えます。しかし企画ものなどクリエイティブな分野には全く役に立ちません。音楽のフレーズ・表現、演劇の演出、お笑いの設定やオチ等々、多数決で決めた結果の作品を想像しただけでぞっとします。
 これでは平凡な作品しか望めないこと必至です。
 更に多数決の悪いところは皆で決めて誰も責任を取らないというオチです。賛成でも反対でも無いけど取りあえず勝ち馬に乗ろうという無責任な判断になりがちです。また、皆で決めた商品が販売不振だったりすると、多数決の際反対した少数派の人が「だから言ったじゃない!」と鬼の首を取ったかのような発言で息を吹き返したりもします。

 多数決の悪口が過ぎました・・・・結局どうすれば合理的なのかは(・・??)です。但しこれも経験的に言えることですが、喧々諤々と熱く議論するというプロセスは非常に大事だという事です。熱い議論の中で企画の盲点や修正箇所が明らかになったり、より明確なビジョンが見えてきたりもします。特に企画者または推薦者の熱量には大きな意味があります。10人中9人が反対しても、残る1人がもの凄い熱量でその企画を推せば採択となることはあり得ます。高い熱量というのがポイントなのです。‟1/10の確率で凄く良いと感じるという事は、日本全体で1200万人の方々が良いと思うかも知れない“という屁理屈も満更ではありません。

 企画がめでたく採択となれば企画者は売れる作品とするべく具現化へ向け邁進するのみです。そして他のスタッフは如何にしてその商品を売るかに向け知恵と汗を絞ります。たとえ失敗する事があっても企画者に採択されたものについての責任は問いません。
 企画部長、担当役員、最終的には社長の責任です。「だから言ったじゃない!」はご法度です。

 そうこうしているうちに来月の企画会議の日程が迫ってきました。どのようなテーマが議題に上がるのか楽しみです。
 

                                2022.10.27