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黒い蜘蛛の夢

目が覚めると、罪悪感で胸が苦しかった。

昔住んでいた家に入ろうとすると、玄関には蜘蛛の巣が張り巡らされ、小さなものから手のひらサイズのものの黒い蜘蛛がたくさんいて、私がそこに入ることを遮っていた。
隣にいた若い男がそれが見えないかのように先に中へ入り、私を呼んでいる。蜘蛛がたくさんいて入れない、と言うと初めてそれに気づいたように蜘蛛を追い払い始めた。

iPhoneを見ると、14時過ぎだった。遮光カーテンを2枚もしているので部屋の中は暗く、かすかに外の光がカーテンレールの隙間から洩れているだけだった。
父の病状のことが心苦しく、どうしているのか気になった。このまま話せなくなったらどれくらい後悔するのだろう。その後悔は私の人生をさらに狂わせ後悔に生きるようになるだろうか。それとも何か別のきっかけを与えるだろうか。

遠くにいるからこそ、父のことを親しく思うのかもしれない。幼い頃、連れ回された車の中だったり、なんとなく慣れなくて落ち着かないけど父と釣りに行った時のことや、母ではなく父が来て泣きそうになった参観日のことなどを思い出す。
私は父が苦手だった。煙草のにおいも、荒々しい動作やいびきも嫌いだった。母はよく父の悪口を話した。

まだ飛行機に乗っていないことではなく、どうしようもない現実の罪悪感がある。
お酒を買いに、少し外へ出る。

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