お金、いくらあっても不安説。
チェンマイから帰国して寝て起きたら4週間経っていた。そんなスピード感で日々は過ぎるし貯金は減る。時の流れと税金は残酷。
とある方から「退職金もろもろで得た千ウン百万で各地をブラブラしてたら3年くらいで尽きた」というかつての放浪エピソードを聞いた。こちとら退職後の預金残高はそのウン分の1くらいなもんで、先ほどの話に照らし合わせるとウン年ほどで尽きる計算。退職から3ヵ月でもう半分近く飛んでってるので順調にパイセンの軌跡を辿っている。逆算するとウンの数字がざっくり分かる仕様です。(追記:後から多めに濁したら分からない仕様と化しました)
で、懲りずに4月は福岡&別府、5月は北海道帯広行きの航空券を取った。毎日もやしをかじることになっても遠方の友に会いに行く、そんな無職にオレはなる。
大阪に住んでいた頃、こちらの本を立ち読みのち購入した。
「お金のある人・ない人」ではなく「お金の不安がある人・ない人」がいる、この視点には首タテ振りぶんぶんアカベコ状態。お金が減る不安でメンタル削られがちなわたしの防御魔法として手元に置いておくことに。
つい最近、国保税の通知書に泡吹きながら久々にこの本を開き、「そうだ、大事なことは"物質的安心より精神的豊かさ"だ……!」と回復呪文を目にして少し気がラクになった。経済的小心者にはお守り効果が大変高い。
その精神的豊かさってなんやねんどないすんねん!って話はぜひ本書を読んでみてね。少なくともケチな節約ライフハックとかじゃないです。
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「お金がある・ない」の金額基準は人によって違う、だけじゃなく、個々人の中でも容易に変動するのでやっかいだ。
たとえば、30万円。
もし現在の預金残高が30万だったらどう感じるか。今のわたしは不安いっぱいの冷や汗ダラダラで「やっべぇ労働労働~」と慌てて働く姿が目に見える。
一方。8年前、フリーライターになって初めてこの額が通帳に刻まれた時には、ちょっとした富豪の気分で「やったぜ休暇休暇~」と逆に仕事を減らした。お金と心に余裕ができるとすぐ労働減らしがち。
フリーライターになる前の会社員時代は、横浜で手取り15万のひとり暮らし。お給料が入っても家賃などの固定費だけであっという間に残高5ケタ、給料日前には4ケタと化すのがデフォ。夕飯は毎晩パスタ茹でてた。
そんなジリ貧生活を経ての、30万である。
すごかった。小学生時代の500円玉くらい輝いていた。空も飛べると思った。
しかし、30万の輝きはすぐに失われる。
半年後に生まれて初めて残高が7ケタとなるからだ。
ライター時代、3ヵ月のフィリピン出張案件でまとまった報酬がドンと振り込まれ、帰国後に通帳を開いたときには驚きと喜びで頬肉がぷりぷり揺れた。
友人の結婚式に招待されて「オッケーご祝儀ご祝儀~☆」と迷いも恐れもなく3万円を引き出せる無敵マリオ状態。ひとり暮らしの初期費用を払ってなおすぐに家具家電を一式揃えられるブルジョワ。どれもジリ貧時代には考えられなかった小金持ちムーブである。
お金に余裕ができると労働減らしがち、そしてこの時期に沖縄→高知→大阪と引っ越しを繰り返した結果、それはそれはみるみるみるみる貯金が減った。
気づけば、残高30万。
わたしをプチ富豪にしたかつての大金が、今度はわたしの不安を煽る。あの日の「30万もある」が「30万しかない」に姿を変えた瞬間だった。
程なくしてフリーライターから会社員に戻り、安心安定のお給料&社会保険シャブ漬け生活がスタート。転職や引っ越しを繰り返しつつも、真面目にコツコツ働くうちに気づけば残高200万円に達した。
200万の煌めきを前に、今度は100万円がかつての輝きを失う番がきた。もう貴方じゃわたしをスターマリオにはできない……
……なんて情けない話を同年代の友達にポロリと漏らしたところ「わかる、わたしも貯金が1000万から500万に減ったとき死ぬほど不安だった」と逆ポロ。ちょま。わたしが200万で大富豪みたいな顔した数分前にタイムリープさせてくれ。一発殴って話止めたい。
ただ、金額は違えど言ってること抱えた不安はほぼ同じ。ある程度安心できるだけの額を貯めても「減るのが怖い」なメンタル自体は付きまとうって話。
じゃあ減らないように、増えるようにと策を講じて手を動かせ。それはそれでまあそうなのでそのうちそうするとして、とはいえ「あれば安心」はいつだって「なければ不安」と表裏一体。わたしのような人間は、仮に1億あってもそのうち「ハワワワもう5000万しかない」とか言ってブルブル震えてそう。
手持ちの金額に関係なくこの精神そのものがあまり健康的じゃないし、こういうタイプが「スマホ1つで月収100万✨わたしの生徒さんたちも続々稼ぐようになって嬉しい🥺💛 詳しくは固定ツイートをチェック!(稼ぐようになった生徒さんとのLINEトーク画面を添えて)」な副業アカウントに釣られてカモになるので気をつけるね。
先ほどの本を読んで良かったのは、お金の不安を解消する手段が「不安じゃなくなるまで増やすこと」じゃなかったこと。
稼ぐために稼ぐことがどうも苦手なわたしには "お金が減っても大丈夫" な精神性を育てるほうが性に合いそうだし、その方法を読むと「マッサージの仕事がんばるぞ!」というお気持ちもさらに高まる。
そんなわけで、ようやく気になっていたマッサージ店の求人募集に応募した。
昨日担当者さんと電話でお話し、さっき履歴書を提出して後日面談、採用されたらようやくわたしのマッサージキャリアがスタートする。がんばります。遠回りの決意表明でした。
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