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新たな街の文化をつくる ー神戸ミューラルアートプロジェクトの挑戦ー

本来、地方自治体は地域の幸福最大化のために存在しているはずだけど、組織の仕組みが生み出す性質上つい縦割りで内向きの価値観で動いてしまいがち。でも、組織内にはそこをなんとかしたいと思っている職員も少なからず存在している。

一方で、行政との接点はないけど自分の住む街に深い愛着を持ち、街を盛り上げたいという人も実はたくさん存在している。でも、街全体を巻き込むような取り組みをしたいと思った時に、様々な権限や活用できる資産を持つ役所の協力が不可欠となるものの、誰に相談すれば良いのかわからないため(そもそも複数の部署にまたがるケースも多い)に日の目を見ていないアイデアや思いがある。

なかなか出会う機会の無かったその両者が出会い共に行動すれば、きっと街はもっと面白くなるに違いないということを昔からなんとなく考えていた。

◎神戸市役所にできた「つなぐ課」

2019年1月に、神戸市・久元市長の肝いりで市役所に新たにできた「つなぐ課」。そのミッションは縦割りになりがちな市役所内の組織と組織をつなぐことで複雑に入り組む様々な社会課題を解決していくことだ。

その「つなぐ課」に、自分のことを「野良公務員」と称する異色の神戸市職員・秋田大介さんが配属された巡り合わせ。いや、秋田さんのような職員がいたからこそ成立した部署なのかもしれないなとも思う。

市役所内の部署をつなぐことで縦割りを解消することを目的としていた「つなぐ課」は自らが事業を行わないというのが鉄則で、あくまで調整役だ。でも、個人の立場なら何をするのも自由。神戸市役所では一定の要件さえ満たせば副業もOKとなっている。

すでにNPO法人の代表も努めてきた秋田さんだが、新たにミューラルアート (壁画)という切り口から個人の立場で神戸をもっと面白い街にするための風を起こそうとしている。「行政だけで街を変えることはできない」という思いと行動する熱量を持った公務員の存在は地域の宝だと思う。

◎神戸ミューラルアートプロジェクト

神戸ミューラルアートプロジェクトは、街の中をアートで満たすことを通じて街の文化も変えていこうというワクワクするプロジェクトだ。

2月2日(日)に神戸市役所で開催(ここは秋田さんの市職員という立場をうまく活用)されたキックオフイベントは120名を超える参加者で大盛況となった。一般参加者の中に神戸市職員の姿もちらほらと見かけたし、副市長も有志として応援に来てくれていたのは一市民として嬉しく感じた。

代表の秋田さんからは、「アートを楽しみ、作品を生み出すアーティストをきちんと評価できる街に」という目的説明があった。プロジェクトの広がりを通じそんな文化が根付く街になれば、色んな意味で豊かで魅力がさらに増した街となることだろう。そんな街には行政が無理な事業をしなくても自然と人も集まることになるはずだ。

プロジェクト資金は税金を使うわけではなくクラウドファンディングで集めようとしているのも応援したくなる要素の一つだ。実際の事業を進めるには500万円以上は集めたいとのことであり、現時点ではあと200万円は必要という状況だ。(すでに300万円を集めているのが凄い!)

◎プロジェクトを本気で楽しむ市民が増えれば街も変わる

キックオフイベントの際に、神戸市内にはすでに約20のミューラルアート作品があると聞いた。

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タウンウォッチングが趣味ということもあって、街ブラがてらミューラルアートを楽しんでいる。どこにどんな作品があるのかを探すのも楽しいものだ。

こんなミューラルアート がもっと街に溢れるようになったらと考えるとワクワクする。

ジョギングの際には、この壁に作品を描いたら楽しいのではないかという目線で街を見ながら走るようになった(笑)

街にある作品を、どんなアーティストが何を思いながら描いたのだろうかなんて想像しながら見て回るのは本当に楽しいし、ここにミューラルアート が描かれていればもっと楽しくなるのになんて妄想しながら走っているといつもよりもたくさん走ってしまったりもする。

アートや妄想の力は絶大だ。

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新たな目線で神戸の街を眺めると、港町だけに倉庫や橋脚などミューラルアート に適した建物がたくさんあって、今回のプロジェクトは良いところに目をつけたなと思う。

これまでミューラルアートというものに全く馴染みがなかった僕が、つい数日前にキックオフイベントに参加したことで街をさらに楽しめるようになっている。そんな市民が増えていけば街にワクワクがもっと溢れるようになり、神戸ミューラルアートプロジェクトが目指すように街の文化も変わっていくことだろう。僕自身もこのプロジェクトを本気で楽しみながら、街の変化を見守っていきたいと思っている。

さらに多くの神戸市職員にも、一市民としてこのプロジェクトに参加してもらえれば最高だ。


(追記)
神戸市内のミューラルアート巡りを続けていて、神戸ミューラルアートプロジェクトのクラファンページのTOPに使われているミューラルアートにようやく巡り会うことができた。
思いがけない場所で出会う喜びがあるのもミューラルアートの素敵なところだと思う。


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