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人をセイウチにしたくてたまらないおじさん〜「Mr.タスク」感想

ポッドキャストというまあいわばインターネットラジオがあるわけですが、そこで配信してるとある二人組がとんでもないクズだったわけなんですよね。
一人はテディーという、まぁこのかたを演じてるのが実はシックスセンスの主人公でもあるハーレイ・ジョエル・オスメントさんの育った姿だったりするのですが、それはともかく、もう一人のウォレスという男が、これがまあ、セイウチ髭がチャームポイントの、いかにもセイウチみたいな名前(注 セイウチは英語でWalrus(ウォーラス)と言う。)をした男なわけですよ。

んで、この二人は話のネタのためにリアルに不祥事を起こした人たちを次々と笑い者にするゲスい配信を生業にしてたわけです。今回も映画「キル・ビル」の真似をしようとして片足を切り落とすという間抜けな大事故をYoutubeに配信してしまった少年を取材するべく、ウォレスがカナダに旅するわけです。

ところがです。その少年はなんと自殺してしまい葬式の最中でした。
せっかくカナダに着いたのに、しかも配信日まで迫っているというのに取材のネタを完全に失ってしまったウォレスは大ピンチに陥ります。
そんなとき店のトイレでとあるメモ書きを発見します。それはある老人の手記で、過去に奇妙な体験をした船乗りで、ぜひ館に来てくれたらその話を聞かせてあげよう、と言うようなことが書かれていました。
ネタのないウォレスはとりあえず物は試しで行ってみようかと考え館に向かうわけです。

車椅子に乗る老人はハワード・ハウと名乗りました。応接室にはショパンの雨だれの前奏曲が流れています。「ちょっとトイレにいってくる」とウォレスが席を立つと、ハワードはガラスのどんぐりのような目でトイレに行こうとするウォレスを「素晴らしい・・・実に素晴らしい・・・」と賞賛します。

老人ハワードは航海士としての体験談を次々と語りました。あの大作家ヘミングウェイと会ったこともあり、かの名言が老人との出会いによって生まれた事を意気揚々と語ります。
ハワードはかつて自分には古き友人がいたことを語ります。その友人はなんと人ではなくセイウチ。氷山に衝突して難破してしまったハワードの命を助けてくれた恩義があるのです。

ウォレスはそれらの話を紅茶を飲みながらゆっくり聞いていましたが、やがて突如として眠くなり、老人の話を聞こうとするも眠さに耐えきれず意識を落としてしまいました。

さてウォレスは目を覚まします。朝です。なぜか意識がぼんやりして気分がとても悪いです。
ハワードは手に持っているセイウチの骨を削りながら説明しました。君が眠くなったのは私の不注意で、ドクイトグモという恐ろしいクモにかまれてしまったのだ、と。
このクモの毒は大変恐ろしく、放置すれば死に至る。だからそのときたまたま通りがかったムシエ博士という巡回医師に頼んで、結局その噛まれた箇所に抜本的な治療をするしかなかった、と言います。

ウォレスはふと右足の感覚がないことに気づき、かぶせられた毛布をゆっくりとめくります。ちょうどショパンの雨だれ前奏曲が中間のクライマックスを迎えようとしたそのとき、ウォレスは自分の右足が切除されている事を知ります。

「あ、足がない・・・!そんな・・・!」
「そのようだな。そう、その調子でもっと感情を出すんだ。」
「あ、足が・・・!俺の足が・・・・!」
「"自然はときに残酷である"」
「は?」
「テニスン!テニスンの格言だ。」
「何の話してんだ・・?」

ウォレスはとてつもなくやばい何かに巻き込まれている事を徐々に感づきつつ「なんで病院じゃない!医者はどこだ!」「電話をよこせ!」と言います。しかしハワードは「病院は不潔だからここで施術した。ムシエ博士は巡回医師なのでもう遠くにいってしまった」「そして電話を全部持って行ってしまった」と答えるのです。
ウォレスは動こうとしますが、自分が車椅子に拘束されていることに気づきます。
「え、何これ・・・」
ヒャハッハッハッハッハッハッハ!!!!!
突如爆笑する老人ハワード。「麻酔から落ちないために固定してるんだよ。」と説明しますがもはやその姿は不審者以外の何者でもありません。

時は過ぎ夕食となりました。ハワードとウォレスは共に車椅子に座りしばし言葉を交えますが、ウォレスが「ドクイトクモって本当にいるのか?どんな姿をしている?」と聞いてもハワードは「いるさ。どこにでもよくある姿さ」とはぐらかして突如クモの歌を歌い出すばかり。
とうとう堪忍袋の緒が切れたウォレスは「ここからだしやがれ!!このキチガイ老人が!!!」と叫びました。

すると老人ハワードは車椅子から立ち上がり、ウォレスに近づいてビンタをしました。
そして座り、ハワードはこれからの計画をウォレスに告げます。

これからお前を手術し、人間からセイウチにする。
そのためにはお前の精神をセイウチにしなければいけない。
セイウチは言葉を発したりしない。己を捨てセイウチそのものとなれ。
そうだ、我々で偉大なる冒険をしようではないか。
わざわざセイウチを探しに船を出す必要もない。
怪物は人間の胸の内にある。
共に謎を解こう。遥か昔からの謎。

人間は、初めから、セイウチなのではないか?

そんなわけのわからない言葉についに発狂したウォレスは「助けてぇえええええええ!!!!!助けてぇえええええええ!!!!!」と叫びます。
それを見てハワードは、「ああああああああぁぁぁ!!!!ああああああああぁぁぁ!!!!」と叫びかえします。
助けてぇえええええ!!!!」「ああああぉおおおおう!!!!」「ああああああぉう!!!」「あおううううう!!!!
館の中はまるで野獣の吠え声がやりとりしているよう。
そう、セイウチになるレッスンはこれから始まったばかりなのです・・・・

・・・・

・・・・

なんだこれは!!!!!!!!!!!!

なんだこの映画は!!!!!!!!!!!!!!

人をセイウチにする怪作という興味だけで見てみたらもっと恐ろしいものをみてしまったわけでした。
まだこれで尺の半分くらいです。これからジョニーデップが出たりと見所は沢山あるのですが、なんというか、無駄にクオリティの高いB級映画という感じで、個人的には好きです。笑

ぶっちゃけおすすめしません。

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