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2018.01.11〜13 宗谷本線①

卒論の提出を終えた大学生は、例えるならモラトリアムの最終コーナーを曲がり切ったようなものである。目前に迫った社会人生活を憂いなく始めるため、時間と資金という限りある資源をどう配分するかに頭を悩ませる。私の場合就職先は札幌。新居を決めに行く必要があり渡道は必須。当然、その荷物の大半がカメラと三脚で占められることになった。

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2018.01.11 糠南駅(1枚目)
2018.01.11 安牛〜南幌延(2枚目)
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

サクッと家を決め、迎えた夜。最終便で千歳に到着した友達と合流し向かったのは宗谷線。スラントが入れば当然石北線だが、入らなかったのでラッセルを狙いに定めることにした。夜通し走って着いたのは糠南駅。天気は吹雪、最高のコンディションを確認する一枚をパシャリ。ピントが何もわからん。
夜が明けるとそこは白銀の世界。ラッセルもさぞ働きがいがあろう。まずは道路沿いから横顔を切り取り、名寄までの追いかけっこが始まった。


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2018.01.11 天塩中川〜歌内(1枚目)
2018.01.11 佐久〜天塩中川(2枚目)
2018.01.11 天塩川温泉〜咲来(3枚目)
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

ラッセル車はそんなに早くない。車で十分に追いつくスピードである。とはいえ、移動してセッティングして撮ってバラして移動して……は普通にハード。だがこのコンディションを無駄にはできない。豪雪を感じながらまずは定番歌内カーブで一枚、追いかけて琴平のカーブでも1枚。さらに南下すると雪は止んでいた咲来のストレートで一枚と、的確にカットを抑える。構図や光線での反省点はあるものの、雪をかく姿を捉えられたのは及第点ではなかろうか。


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2018.01.11 北星駅(1枚目)
2018.01.11 豊清水駅(2枚目)
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

追いかけるにも体力を使う。この日のラッセルはこのくらいにして、キハや特急の撮影に切り替えることにした。北星駅でスナップ的にキハ54を撮ってから、国道からは少しアクセスの悪い豊清水駅へ。特急サロベツ同士が交換する姿を見るためである。あまり道内では見ない細い島式ホームには、まず稚内行の列車がやってきた。車掌さんが「寒いよね」と優しく話しかけてくれる。待つこと数分、旭川に向かうサロベツが通過していった。


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2018.01.12 雄信内駅(1枚目)
2018.01.12 佐久〜天塩中川(2枚目)
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

また北に戻り、夜も開けぬ朝にやってきたのは雄信内駅。最低気温が-15℃を下回る中での離合シーンは、最果ての鉄路を思わせる風景だった。あと指先が本当に凍傷になるかと思った。次いで向かったのは中川の跨線橋。放射冷却で冷え切った内陸だけに、加速時の爆煙も相当なものである。札幌行きの宗谷をいただいた。


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2018.01.12 佐久〜天塩中川
Nikon D7200 AF-S Nikkor 70-200mm f/2.8G ED VR II

あまりの天気の良さに意を決して向かった筬島鉄塔俯瞰。国道から山に挑むも、新雪の柔らかさが行く手を阻む。なんとか高さを稼ぐもすでに登り始めから1時間半、いつラッセルが来てもおかしくない。本来の立ち位置まではこのペースならあと1時間はかかる。これは無理。ここでも線路は見えるとセッティングを始めるやいなやラッセル登場。とりあえず晴れの筬島俯瞰は抑えることはできた。
とはいえ、これで下山するのはもったいない。このまま山を登りきり昼過ぎの特急まで粘ることに。鉄塔の下まで登りきって2時間以上待ちキハと特急を撮影。そこから下山した頃には、登り始めから8時間が経っていた。