短歌まとめ2016_3_桔梗が丘 20首
にんげんの途中で進化をあきらめて幸せだった魚にもどる
いつまでも桔梗が丘のまぼろしがあふれ出てくるドーナツの穴
この街のどの王将も満席で俺の餃子はなくなっていく
ストレートパーマをはじめてあててから少し可愛くなったメデューサ
大丈夫 君のクララは立ってすぐかかと落としを決めるクララだ
トカゲって切れたしっぽの方からも再生すると思っていたよ
そらいろの絵の具がなくてしかたなく夕焼けにした画用紙の町
真夜中を朝が染めてくスピードで寂しいものがふくらんでいく
ナビ付の新車が来る日 12年かぞくを乗せたカローラは去る
職安でサインだけして帰る道 かかわりのないすみれがきれい
人んちのトイレで用をたしたあと流れないときぐらいの焦り
タウリンがなにに効くのかわからない 俺が疲れているのはわかる
たわむれに鳩をつかまえようとして 本当につかまえてしまった
その頃のくるりのドラムは森くんで 町のAEONはマイカルだった
どこまでがひとかたまりかわからずにサンドイッチを壊してしまう
ごめんなさいワインの栓をあけるのにバールのようなものしかなくて
もみあげがイタリアならば北上しプラハあたりがかゆい場所です
脱皮する途中でなにかを失って午後の私はすこしちいさい
おもいでの代謝が悪くなっていて毎日おなじ夢ばかりみる
思い出の栞みたいなあの歌がふいにながれてラジオを消した
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※引用などよろしければご自由にどうぞ
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