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短歌まとめ2016_2_噴水になる 30首

ひさびさがあふれる路地を歩む背に吠えるテリアも西の訛りで

大抵のことはそつなくこなすのに牛乳パックをあけるのが下手

右上のツキノワグマに気づかずにひとりでピースしてるのが俺

「そんなことできるのって岩合さんかお前ぐらいだ。」 という褒めかた。

マシュマロを口でうけとる練習をソファの横で猫が見ている

オレンジをきりきり強く絞ってもりんごジュースは出ないのでした

こづかいでようやく買ったCDがいまいちだった時の心境

なんとなく買ったプリンがうまいとかそんな理由でよかったりする

東大寺らへんの鹿を大阪でみたことがない柵もないのに

自転車でくだるこがねの夕焼けに離陸しそうな長い直線

キウイの実そっとあたためつづけると七日ぐらいで鳥がうまれる

世の中のボーダーシャツのしましまの総延長は月に届くか

ラケットをしゃもじに替えたフェデラーから 1セットすら取れなかった夢

求愛が叶わなかったライオンのあの表情はわからなくない

齊藤の齊を電話で説明する 齊藤さんは手慣れた様子

なんとなく蚊に似ているというだけで叩かれ死んだ 蚊ではないのに

待ってたら地下鉄じゃないものが来た そんなかんじの驚き方だ

降車後の改札までの人ら抜き1位になるのがなんとなく好き

問題は、濡れて絵が出るシステムに 君が気づかず捨ててないかだ

わざと聴く聴くと悲しくなる歌を跳ねるためには一回沈む

電柱は実は8割ミサイルで 有事の際に飛ぶ仕様です

一度だけ触れたきみとはそれ以来スネ夫としずかぐらいの関係

窓の外 石原さとみを見てたのに 電車は動き出してしまった

これまででいちばんエロかった日のことを考えながらバスに揺られる

トンネルを歩いて通るあいだだけ息をとめたらけっこう長い

スズメバチ!思って身がまえた時の2割ぐらいはかなぶんである

意地悪な継母たちは城へ行き私は家でかぼちゃを食べた

パンだけどたぶんすべてのやどかりが住みたがるほどきれいなコロネ

古い母子手帳にのこる母のメモあすは私がはじめて立った日

夏空を撃ち落としたい弟がホースを持って噴水になる

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※引用などよろしければご自由にどうぞ

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