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短歌まとめ2016_4_エクレア 38首

ぽっきりと折れてしまったところからちがう何かがはえてきている

国道でエクレアみたいに潰れてる何であったかわからないもの

潰されてエクレアみたいになっていたものはやっぱりエクレアでした

決められたレールに乗った人生のレールが絶叫マシンのレール

鬼退治するはずだった桃の実が手違いによりピーチネクター

きみの行くアラル海ってどこですかぼくは遠くのことは知らない

本州のかたちで眠る泣きながら(太平洋の側が背中ね)

助手席のなにかわからんスイッチを押すとどこかがウィーンガシャという

夢ですよそれは花嫁ではなくて九月の風とレースカーテン

地下鉄でたまに見かけるあの人が電話をしてた。こういう声か。

シムシティ、つながってない道ばかりつくってこわす思春期でした

秋がきて夕陽はおちてかぶとむし飼育セットをかたづけている

目ざめたら象になりたい出社後は鼻だけ外に出してはたらく

ボーカルの頭に巻いたバンダナが、うちの実家の犬とおなじだ

失ったものがやさしいかさぶたのしたで静かに蘇生している

楽園はどこにもなくて地図帳で変な地名をさっき見つけた

6人でじゃんけんをして一発で勝負がついて負けたのが俺

しょーもなくなったと思ういつだってブレーキに手がかかってますよ

この程度のことでそこまで空想をするのか俺は本が書けるな

「新婚さんいらっしゃーい」っていつまでも俺は「三枝」と呼んでしまうよ

悪趣味な本を探して2時間後マクドナルドで見せあいをする

木の枝にのったボールを落とすため投げたボールものってしまった

とりあえず脱いだまんまに散らかった過去を洗って干してまた着る

いつだって[しに]ぎりぎりの旅をする遠いあなたに届けベホマよ

もしかしてぼくの電車は止まってて駅や景色がうごいてるとか

惜別のくだりホームはゆっくりとスクロールしてさらばふるさと

人であることを諦めこの駅できみもベンチになってみますか

解剖図、ケンタウロスの内臓はきっとわたしのしらないかたち

たったかたー(冬の疾走)たたかわず逃げてのがれて寝て起きて春

ポップコーンまみれになったガスコンロ、ふえるわかめであふれるシンク

砂浜に誰かがかいた落書きの猫のしっぽを海につなげる

何年も細木数子の占いの自分と違うやつを買ってた

iPhoneの割れた画面に映りこむ今朝のわたしはとても稲妻

玄関が港にみえて履いていく白のナイキはなんとなく船

ゆっくりと飛行機雲が割った空、右半分はきみにあげます

のりしろが全部はずれて全身が部品にもどる夢を見ました

下半身こたつに喰われ息絶えた死体のごとく眠れ真冬日

いつの日かみんな予定があう時にここに来る用キメラのつばさ


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※引用などよろしければご自由にどうぞ

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