短歌まとめ2021_死ぬときは死ぬ 25首
宝もの見せ合っているお互いに「これ宝?」って顔をしながら
誰もみなよい顔をして冬晴れに溶けるしかない雪だるまたち
スヌーズは解除するまで何度でも誠実さってたまにしんどい
分身の術で出てきた分身に「お前行けよ」と言われてしまう
旧暦で暮らしませんか新春にほんとに春を感じそうだし
(お互いに言わないけれどお互いにわざと迷子になってませんか)
構造に大差はないが宇宙的僅差のなかでモテるハンサム
さまざまな求愛があり蝉なんてほとんどノイズなんだけど愛
低気圧せっかくだからどんよりと今しかできぬことをしたいね
季節っておれのペースに合ってない5月頃まで咲いとけ桜
天一のスープが揺れる胃を抱いてねむれ学習しない動物
真っ先にわたしが獏にたべられてわたし自身が悪夢、の悪夢
「ここまで」と門は閉ざされフルーチェになれずに戻るほうの牛乳
死んでても元気みたいに言われてて新鮮朝引き地鶏お刺身
わからない自分の気持ちおにぎりとサンドイッチとどん兵衛を買う
改札に前の男が挟まれたかしこいやつも死ぬ時は死ぬ
家にいて布団から出ず太陽のまわりをまわる地球に乗って
地獄にはたぶん落ちない天国も行けそうにないすごいさみしい
包丁で魚を裁く(誤字だけど)正義などなく身とあらと骨
四つ葉って四つ葉なだけで罪もなく探し出されて摘まれてしまう
憎しみにピントがあわずぼんやりといろやひかりがきれいな写真
未来とか希望を想うステーキと呼ぶには薄い肉の感じで
(人々が神を創ってその神が人を創ったことになってる)
部屋に風なにかのにおい犬はふと前の夫を思い出してる
プラレール片づけられてきみの住む街はしばらくねむりの中だ
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※引用などよろしければご自由にどうぞ
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