見出し画像

【詩】ごますりの道

暗い道を歩いているんだ
重い空気を吸っているんだ


「ありがとうございます!」
ニパッと笑って溜息を隠したり
「その通りですね!」
相槌の軌道をこっそり斜めにしたり

「こうしてよね」
無理難題を押し付けられ
「なんで解からないの?」
答えられないルールを悪用され

生きるためで、あなたへの行為ではない
心に誓ってヘラヘラとゴマをすっている
もう感覚もない程にずっと


それなのに香りは無くて
自分は何をやっているんだろうとも思う
どうしてだろう?
胡麻の香りはあんなに好きだったのに

それでも胡麻は擦らないと
生きるためだから


ずっとずっと、そうしてきたんだ
でもそれは、駄目だった

いつからか体が動かない
動かせる場所がない
何かを言おうにも言葉が出ない
どうしても喉に気持ちが乗らない

まるで、何かが詰まっているようだ
胡麻の粒のような、細かい物が

ねぇねぇ、どうすればいいの?


どうしようもない道中
理想への溝が深くて番犬が鳴く

何かが欲しいの
   足りないの
それって何かしら?


鳴き声が響き渡る中で
正解を鷲掴みにしようと
私の利き手が痺れを切らす

ごめんなさいね

これからは
胡麻の香りがわかるように
ゴマすりをしていきたい

そうならければ
きっとそれはゴマすりではなくて
忖度ってやつだから



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?