見出し画像

「まきさんまりさん、おでかけ日和」第1回目の、てくてくてく。


〖 てくてくてく の はじまり〗

9月1日、まだまだ暑い日が続きますが、少しだけ秋の薫りを感じる今日この頃。秋といえば、食欲の秋、読書の秋、そして芸術の秋です。
秋の初め、わたしは、イラストレーターのやまぐちまりこさん(通称まりさん)と展示や本屋さんなどおでかけした時のことを共同日記として書くことになりました。

共同日記を始めるにあたり、まりさんが素敵なバナーを作ってくださいました。(ありがとうございます!)
わたしもこのバナー制作で、まりさんを線画で描いています。(いつも思うのですが、線画って本当に難しいですよね…)まりさんはわたしを描いてくださって、とても嬉しかったです。

メインビジュアル。
この軽やかなイラストのように2人で軽やかにいろんなところへ行けたらいいな…と思っています。

まりさんの日記では、イラストエッセイを書くそう。
きっと爽やかな風が吹く、軽やかで楽しいエッセイになるのでしょう。わたしもまりさんのエッセイ、拝見するのが、とても楽しみ楽しみです。

わたしはどのように書いていこうかと、考えた時に、この日記を読んでくださる方が、わたしとまりさんみたいに、誰かと一緒におでかけをして、展示などで感じた出来立てほやほやの感動を、喫茶店でコーヒーを飲みながらおしゃべりしてほしいなと思っています。
そういう出来立てほやほやの感動って、まだ言葉になりきれていなくて、とても大切で尊いものです。その感動を言語化していくと、暮らしや人生がより豊かになっていくんじゃないかなと思っています。
ひとりで見る展示もじっくり自分のペースで見れて、勉強になる。たくさんインプットできる。でも誰かと一緒に見た景色を共有し、言語化することはまた違ったインプットができると、わたしは思います。


さあさ、そろそろ日記をはじめましょう。
まりこさんと、てくてくてく。
今日もいいお天気、おでかけ日和。


まりさんが描いてくださったわたしの似顔絵。
ありがとうございます。



〖 うらわ美術館へ てくてくてく〗

うらわ美術館では「ブラチスラバ世界絵本原画展」を開催してました。

「ブラチスラバ世界絵本原画展」とは、(略称 BIB=Biennial of illustrations Bratislava)スロバキア共和国の首都ブラチスラバで2年ごとに開催される、世界最大規模の絵本原画コンクールです。
本展覧会では、2021年10月から翌年2月にかけて現地で開催されたBIB 2021(第28回展)への参加国の中から、近年の活躍がめざましいアジア諸国に焦点をあて、中でも隣り合うふたつの国、日本と韓国の絵本のいまをご紹介しています。
(HP、Wikipedia参照)

世界にはたくさんのコンペティション(略してコンペ)があります。私は数年前まで、イタリアで開催されている「ボローニャ国際絵本原画展」に応募していました。わたしは今でも、自分の作品を世界の人々にもっと知ってほしい見てほしいと強く感じています。そのためには国際的な絵本のコンペの現状を知る必要があるし、「流行りのもの」「変わらないもの」を理解しておかないといけないと思っています。では、今回このBIBはどのような作品があるのでしょうか。

こちらが今回のポスターです。
『さかなくん』(偕成社)や『いちじくのはなし』(ブロンズ新社)などとても魅力的な絵本や幼年童話を描かれる、しおたにまみこさん。
キービジュアルは金牌を受賞された『たまごのはなし』(ブロンズ新社)ですね。書店でこの本が入荷した時、とても衝撃を受けたことを今でもよく覚えています。
そしてもうお一方はイ・ミョンエさん。2020年刊行の絵本が金のりんご賞を受賞されました。

展示タイトルは「絵本でひらく アジアの扉」とのこと。今回は受賞作品やノミネート作品の中から韓国の作家さん、絵本に焦点を当てているようですね。韓国の絵本のこと、色々知れたらいいな。

なんと!マシュマロさんのパネルもありました。何を考えているのでしょう。きっと「あ〜冷房すずしいな〜」と思っているに違いありません。(その時、わたしがすごく、思っていたのです。)
この表情、たまらなく可愛いですね。



それでは展示室へ、てくてくてく。
(もちろん展示会場は撮影はできません。)


〖 展示室へ てくてくてく〗

今回わたしが韓国の絵本作品を拝見して感じたことは3点あります。

①絵本作品のほとんどがデジタル作品、もしくはデジタル処理だったことに大きく衝撃を受けました。私が絵本作家として描いている作品は9割アナログです。9割と記載している理由は、作品をスキャンしてデジタル化した時に汚れの除去や色調補正を行っているからです。完全にアナログではないものの、制作時間のほとんどはアナログ作業なので、今回、そのアナログ作品の少なさに、デジタル作品の多さにびっくりしました。かといって悲しい気持ちになっているわけではなく、ドローイングはアナログ+着彩はデジタル、アナログで描いたイラストカットをデジタルで構成、など、表現方法の多様化を感じることが出来ました。アナログで描いた絵をデジタルでより魅力的に落とし込む。それがとてもよくわかりました。
もう以前からデジタルの時代にはなっています。でもわたしはデジタルではできないアナログの揺らぎが好きで、ずっとアナログで描いてきました。「デジタルで出来る良さ」「アナログで出来る良さ」を改めてじっくり考えて自分の制作に生かそうと思いました。

②圧倒されたことは、歴代BIBを受賞された日本の作家さん方の原画を拝見できたことです。今回受賞された、しおたにまみこさんを初め、スズキコージさん、田島征三さん、ミロコマチコさん、きくちちきさんなど….日本を代表する作家さんの原画が拝見できて、とても感動しました。その画材の表記などにも注目しながら、原画をじっくりゆっくり見ていきます。デジタルにはない紙の凸凹や絵の具や版画のインクの載り具合を拝見して、作家さんの絵を描いた息遣いが感じられる気がしました。これはアナログにしかできない良さだなと感じました。まりさんとすごいね、すごいね、と二人で感動を分かち合っていたように思います。

③大きくわくわくしたことは、韓国の書店、図書館、出版社についてのパネル展示で紹介されていたことです。わたしは韓国、アジアのことについてあまりよく知らないので、まりさんに韓国のことを教えてもらいながら、地図パネルを拝見し、韓国の書店さんに思いを馳せておりました。
まりさんはお一人で韓国旅行をするくらい韓国に詳しく、そして韓国の本屋さんで、ご自身共著の翻訳本が置いてあるそうです!すごい!
その翻訳された書籍はこちら。

『イラスト映えBOOK』(翔泳社)

今回まりさんにわたしの似顔絵イラストを描いていただいた時に、まりさんの線には強弱があってイラストと線が生きている!と感じました。
そんな山口真理子さんが共著で出版された本は東京・谷中のひるねこBOOKSさん他、書店さんで販売されているそうなので、気になった方はぜひ書店さんでご覧ください。


〖 てくてくてく の おわり〗

BIBの展示、今回初めて拝見しましたが、展示の点数や、韓国と日本の出版社のインタビュー、本屋さん情報など、とても盛りだくさんな展示でした。なぜ、今まで観に行かなかったんだろう…これから毎年必ず行こう!と思いました。

展示を終えて、まりさんとオムライスを食べました。
実はまりさんと2人でのおでかけは、これが初めてなのですが、全くそんな気がしなく、おしゃべりしていたらあっという間にこんな時間…となってしまうのでした。

卵がとろとろ半熟で美味しかった。

さて、「まきさんまりさん、おでかけ日和」
これから不定期ですが、更新していこうと思います。
秋といえば、読書の秋、芸術の秋です。たくさんの美術館、展示に行けたらいいなと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。


そういえば、わたし、ぬまのうまきは深秋に個展を行います。

Maki Numano Solo Exhibition
「Nursery Rhyme」

2023.10.12(thu.)-30(mon.)
東京•蔵前frobergue
(@frobergue )
open/12:00-18:00
close/毎週水曜日
最終日は16:00まで。

古くから愛される童謡の世界を描き、私家版絵本を作りました。絵本の販売、絵本原画の展示販売を行います。

今回題材とした古典童謡について
frobergueさんで古書絵本を拝見し、古くから子供たちに愛されている古典童謡。世界各国の先人画家が「Mother Goose」など、魅惑的な世界の挿絵を手がけ、絵本画家の道を歩んでいることを知りました。私も先人達に倣い、絵本作家として成長したいと、この題材に取り組むことを決めました。

古書店frobergueについて
東京蔵前の古書店。
「美しい絵本をすべての人に」
主に海外の古書絵本が多いですが、オールジャンル扱う古書店。重厚な扉を開けると、忙しない時が鎮まり、静かな空間で時を忘れて本探しに夢中になってしまうような、素敵な本屋さんです。

不思議な童謡の薫りを感じる展示しようと思います。新しい古典として楽しんでいただけますように。

秋の美術館巡りの途中、散歩の途中に、ぜひお立ち寄りください。
どうぞよろしくお願いいたします。


〖 まきさん、まりさんについて〗

まきさん(ぬまのうまき)
https://lit.link/numanomaki

絵本作家。女子美術大学デザイン学科卒業。
懐かしさを感じるような、動物や人々の暮らしを描く。
2022年『メルシーのすてきなおへんじ』(ひるねこBOOKSレーベル)
『かくれんぼハウスへようこそ』(ほるぷ出版)で出版デビューする。
10月12日に私家版絵本「Nursery Rhymes」が発売予定。

まりさん(やまぐちまりこ)
やまぐちまりこ
www.mariko-yamaguchi.com

東京都生まれ。イラストレーター。
2016年 セツ・モードセミナー夜間部へ通う
2017年 初の個展を開催。人物画の作品を発表する
2018年 ねこくんとねずみくん絵本を刊行(ひるねこBOOKSレーベル)
以後、イラストレーターとして活動中。

主な著書に『ねこくんとねずみくん』シリーズ(ひるねこBOOKSレーベル)
『イラスト映えBOOK』(翔泳社)など
教育書・実用書を中心に挿絵や装画などを担当
東京を拠点に、個展やグループ展なども精力的に開催している

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?