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絵本『メルシーのすてきなおへんじ』発売1周年

はじめに

絵本『メルシーのすてきなおへんじ』

2023年10月15日(日)、秋の雨。秋の雨はなぜか良い薫りがするのは私だけでしょうか。
本日は『メルシーのすてきなおへんじ』(ひるねこBOOKSレーベル)発売1周年記念日です。

昨年のこの日、初めて東京・谷中ひるねこBOOKSさんで個展を開催しました。初めての開催場所での個展がレーベル絵本の原画展でしたので、当時は本当にドキドキしながら初日を迎えておりました。その展示からもう丸々1年が過ぎたのかと、驚きを隠せないでいます。

絵本の制作のきっかけや制作過程については下記の投稿をご覧いただければ嬉しいです。

今回は絵本ではなく、展示の振り返り、また「作るということ」について。書きたいと思います。

当時の展示の様子

当時のDM
当時の展示の様子

出版記念個展『メルシーのすてきなおへんじ』は2022年(猫の年ですね🐈)10月15日に開催しました。当時は秋晴れで、前日緊張して眠れず、電車の中でSNSの投稿文を書きながら、ぽやぽやしていたのを覚えています。

お越しいただきました皆様は懐かしんでいただけるかと思うのですが、上記の写真は小張さんが個展初日にギャラリー内全体を撮ってくださったものです。店内では音楽「ねこたちはきょうもすやすや」が流れていて、穏やかな空間が広がっていました。本当に懐かしいですね。

当時の様子その①
キャプションの紙にこだわっていて、
クラフト紙を使用していました。
当時の様子その②
はじめて制作を依頼したアクリルキーホルダー
当時の様子その③
私家版絵本『ねこたちはきょうもすやすや』の
原画を展示販売していました。

この個展では「視覚から、聴覚から、ほかほかと暖かい気持ちになれるように」と、テーマカラーを決めて、それに合わせて額装したり、キャプションなどの備品を制作しました。また、初めて特注でブックシェルフを作ってもらったり(そこに10種類以上あるポストカードを置きました。)、アクリルキーホルダーや、クッキーを知り合いや友人に作ってもらったり…たくさんの人の手を借りて、盛りだくさんな展示にすることができました。

個展の準備はそれはもう楽しい日々でした。私がいろんなことを試みだすものですから、時折ご店主の小張さんに軌道修正もしていただきながら準備をしていたな…と、今少し反省しながらこの文章を書いています。
いろんな方の支えがあって、この場ができたので、皆様に「可愛いね!暖かいね!」とご感想を頂けて、とても嬉しかったです。また、展示2週間で絵本が100冊以上売れたことは大きな自信にも繋がりました。

ひるねこBOOKSと作る絵本原画展

レーベル絵本も展示も作家さんとご店主の小張さんとの二人三脚で作っていきます。

後日このお話をご本人から聞いて、
きっかけって本当に大事だな...と実感しました。

小張さんが常日頃仰っているこの言葉。当時小張さんにレーベル絵本の話を持ちかけられた時に聞きましたが、まだ絵本の仕事がない私にとってどれだけの励ましの言葉だったか。その時、この人を信じて絵本を描いてみよう、展示を作ろうと思いました。
小張さんは精神論だけではなく、具体的な事も助言してくれました。化石化していたX(Twitter)を再開してこまめに文章や絵の投稿からはじめて、最初は20人ほどしかいなかったフォロワーも約2年で3600人程になりました。
「まずはSNSで自分のことを知ってもらうところから、それから編集の人が見てくれて仕事に繋がっていくから」コロナ化でマスクをしながらそんな話をしていました。

展示についてもたくさん助言をくれました。特に在廊時、私は10年以上書店員をしているので、お客さんとの接する時、どうしても書店員として接客する姿勢になってしまいます。(当時展示にお越しくださったお客さんに「ひるねこBOOKSさんスッタフ雇われたんですね」と言われる事もしばしばありました。)
その様子を見ていた小張さんから「書店員になってるよ。お客さんは絵本作家のぬまのうさんと話したいんじゃないかな。」と指摘を受けて、それからは絵本作家としてお話するように心掛けていきました。(いまだに書店員になってしまいますが...)
展示では、絵本作家として、たくさんのお客さんとお話しできて本当に楽しい日々でした。

宣伝担当ぬいぐるみメルシー

絵本と一緒に撮影中

店内では、ぬいぐるみ作家のA.さんに作っていただいた主人公メルシーのぬいぐるみがお出迎えしておりました。ぬいぐるみメルシーはSNSの宣伝担当としてもしっかりと仕事をしてくれました。

一生懸命宣伝するメルシーその①
一生懸命宣伝するメルシーその②

制作を依頼した当時、A.さんはイベント出店などでお忙しいにも関わらず、快く引き受けてくださり、初めてオーダーメイドの打ち合わせをすることになります。全体の生地、目の色、洋服の生地、フォルムなど、決めることがたくさんありました。生地も3種類の中から選ぶだけでもう大変。生地の知識が全くなかったので、A.さんはゆっくり丁寧に、生地の特性を、生地見本を見せてもらいながら説明してくださって、悩んでは選び、また悩んでは変更し、じっくり生地と対話しながら選んでいきました。
ぬいぐるみ作家さんの知識の豊富さは本当にすごい、と感銘を受けました。
ぬいぐるみメルシーはこうした打ち合わせが何度もあり、時間をかけて作られました。また、A.さんからの提案で豆本も作ってくださって、本当に可愛いメルシーができました。

A.さんに作っていただいた
ぬいぐるみメルシー

たくさんのお客様にメルシーの写真を撮っていただいたり、じっくりご覧いただいている方もいて、その方々のほころぶ顔が拝見できて、とても嬉しい気持ちでおりました。


作るということは、会話の繋がり

「秋はぬまのうさんの絵本が読みたくなるね」と話す
ひるねこBOOKS 小張さん
A.さんの作るぬいぐるみは本当に可愛い。

「絵本を作る時」も「個展を作る時」も、決してわたし独りで出来るものではありません。ぬいぐるみメルシーのように、A.さんや、誰かと一緒に作ったり、力を借りて作っています。
わたしの絵を絵本を好きだと伝えてくださる方々と会話を重ねて、その会話の中で生まれたアイデアを取り入れて、表現してみて、また会話して軌道修正して、作ってみて、また会話して…その繰り返しの末、絵本や個展などの媒体となって表現されます。その媒体を皆さんにご覧いただいて、ご感想、言葉をいただくことで、次回の媒体に繋げることができます。
「作るということは、会話の繋がり」です。

今回、出版記念個展『メルシーのすてきなおへんじ』を書くにあたって、当時のことを振り返り、そういえばよく喋っていたな、と感じました。わたし自身、喋ることが得意ではないので(むしろ普段は無口な方です。)ひたすらに喋っていたということではなく、物作りや本などに対して言葉を紡いでいるので、その言葉を快くしっかりと受け止めてくれる人がいて、言葉を返してくれる、という意味合いです。
受け止めてくれる人が周りにいるので本当にありがたいなと、書きながらその人達の顔を思い浮かべています。
そして当時、ひるねこBOOKS小張さんとたくさん会話をしたことで、絵本に携わる方々との繋がりが生まれて、今の絵本作家としての自分がいます。

これからも大切な人達と「会話すること」を心がけて、絵本や個展作りを行なっていこうと思います。


...
ぬまのうまき
https://lit.link/numanomaki

絵本作家。女子美術大学デザイン学科卒業。
懐かしさを感じるような、動物や人々の暮らしを描く。
2022年『メルシーのすてきなおへんじ』(ひるねこBOOKSレーベル)
『かくれんぼハウスへようこそ』(ほるぷ出版)で出版デビューする。
10月12日に私家版絵本「Nursery Rhymes」が発売。

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